新型コロナの第3波の勢いが続いている。毎日の新規感染者は、世代別で20代の若者が最も多く、次に30代、40代と続く。テレビなどの街頭インタビューを見ると、緊急事態宣言が発せられた今も若者には緊張感が薄い。
昨年4月に発令された第1回緊急事態宣言の時は、新型コロナウイルスがどういうものか分かっていなかったため、誰もが恐怖を抱いて自粛した。その後、第2波、第3波と続く中で、若者は感染しても比較的軽症であることが多かった。そのことが若者の気の緩みの一因になっているのだろう。
しかし、回復しても、長い間、けん怠感や息苦しさ、味を感じない味覚障害などといった後遺症に苦しんでいる若者が多くいることも事実である。
最近は、後遺症を警告する報道が多くなった。
症状は軽くても、その後の後遺症で学校や会社に行けなくなる人もいる。
東京都渋谷区にある「ヒラハタクリニック」では、2020年3月以降、新型コロナの後遺症とみられる症状を訴える患者、700人以上の診療を行ってきた。
平畑光一医師によると、症状を分析した475人の患者のうち、10代から30代の若い世代が全体の47%に上ったという。
新型コロナの後遺症
具体的な症状としては、複数回答で、けん怠感95%、気分の落ち込み86%、思考力の低下83%、息苦しさ75%、髪の毛が抜ける脱毛50%、味覚障害30%となっている。
平畑医師は、「最初の発熱などの症状は軽くても、その後の後遺症で学校や会社に行けなくなる人もいる。新型コロナウイルスを軽く考えてはいけないし、若い人も感染しないように気を付けることが大切だ」と訴えている。
コロナ “後遺症 若い世代にも” 700人以上診療の医師訴える
NHK 特設サイト「新型コロナウイルス」 2021年1月15日
働き盛りの世代、軽症者に続出する「コロナ後遺症」の実態。500人以上を診療した医師が語る「今わかっていること」
週プレNEWS 2020年12月22日
和歌山県の調査…働き盛りの年代で後遺症の有症状者が多かった。
和歌山県が2020年9月に、退院後2週間以上経った163人を調査したところ、75人に後遺症と見られる障害があった。
目 的:和歌山県における新型コロナウイルス感染者の退院後の症状や生活状況等を把握し、啓発や対策に繋げる
対象者:新型コロナウイルス感染者で9月14日時点で退院後2週間以上経過している者
方 法:感染者の管轄保健所からの郵送若しくは聞き取り調査
対象者数:216人
回答者数:163人 回答率:75.5%
退院後の症状(全体)
複数回答で、嗅覚障害(30人)が最も多く、倦怠感(26人)、味覚障害(20人)、呼吸困難(20人)、頭痛(16人)、脱毛(12人)、胸痛(11人)、記憶障害(6人)が続いた。
退院後の症状(6月末までに退院した者)
6月末までに退院し9月14日以降に、すなわち退院から75日以上の後に確認された後遺症である。新型コロナ感染症から回復してもその後長い間、けん怠感、呼吸困難、頭痛、脱毛、胸痛などの後遺症に悩まされている。
新型コロナウイルス感染症の後遺症等のアンケート調査の結果について
令和2年11月 和歌山県
新型コロナの嗅覚への後遺症 「肉が焦げた匂いがする」
女性セブン 2020年12月17日号 2020.12.08 16:00
国立国際医療研究センターの研究チームがCOVID-19回復者を追跡調査
国立国際医療研究センターの研究チームが、COVID-19回復者を追跡調査し、後遺症に焦点を当てた論文が2020年10月に発表された。それによると、発症から120日超の時点でも依然続く呼吸苦やけん怠感、咳などを訴えたり、数か月後になって脱毛を経験した人がいたことがわかった。
インフルエンザならば、「2週間前は大変だった」という感じで、症状が出ている時期と回復後は大きく異なる。しかし、COVID-19の場合は、症状が長く後を引き、けん怠感や呼吸苦があって仕事に行けないなど日常生活に影響を及ぼす症状が多く、大きな社会的問題にもなっている。
本研究では、センターにCOVID-19で入院し、2020年2~6月に退院した人に対し、7月30日~8月13日に電話による聞き取り調査を実施。回復後の持続症状および遅発性症状の有無、自覚症状やその期間について尋ねた。
主な結果は以下のとおり。
・本研究において追跡調査対象となったのは78例。このうち、退院後死亡の2例と認知症などにより聞き取りができなかった13例を除く63例について調査を実施した。
・21例(33.3%)は女性で、平均年齢は48.1歳(標準偏差[SD]:18.5)、BMIの平均は23.7(SD:4.0)、56例(88.9%)が日本人、3例(4.8%)が中国人、バングラデシュ、ベトナム、米国、フランスが1例ずつ(各1.6%)であった。
・入院時に、47例(74.6%)が肺炎症状を有し、17例(27.0%)が酸素療法、5例(7.9%)が機械的換気を必要とし、29例(46%)が抗ウイルス薬を服用した。
・発症から60日時点で、咳(5例、7.9%)、倦怠感(10例、15.9%)、呼吸苦(11例、17.5%)、味覚異常(3例、4.8%、不明1)、嗅覚異常(10例、16.1%、不明1)といった症状を訴えていた。
・発症から120日時点では、咳(4例、6.3%)、倦怠感(6例、9.5%)、呼吸苦(7例、11.1%)、味覚異常(1例、1.7%、不明1)、嗅覚異常(6例、9.7%、不明1)といった症状を訴えていた。
・58例(対象者から不明5例を除く)のうち14例(24.1%)が脱毛を報告した。うち5例が女性で、4例が男性だった。
・COVID-19発症から脱毛症が出現するまでの期間は58.6日(SD:37.2)だった。
・14例中5例で脱毛症は解消し、有症期間は平均76.4日(SD:40.5)だった。9例は調査時にも症状が続いており、有症期間は平均47.8日(SD:32.2)だった。
Long-COVID:専門医が語る新型コロナ後遺症の実態
Care Net 公開日:2020/12/10
新型コロナ後遺症、4ヵ月後も続く例や遅発性の脱毛例も/国際医療研究センター
Care Net 公開日:2020/10/27
後遺症に悩む働き盛りの若者
関東地方に住む20代の女性
感染から2か月余りがたった11月ごろから、髪を洗う際などに抜け毛が多いことに気付き、インターネットなどで調べると、新型コロナの後遺症として髪が抜ける症状を訴える人が多いことを知った。
女性は「いつまで症状が続くのか、今後、治るのか不安で仕方がないです。なぜこれほど苦しまないといけないのか。若い人の中には感染しても症状が重くならないと、新型コロナを軽視している人がいると思います。自分も症状が出なくて安心していましたが、回復したあとに影響が出る可能性があることを知ってほしい」と話している。
名古屋市の40代の男性会社員
「最近息しづらい。コロナの後遺症かな。味も匂いもしないし、生きていて楽しくなくなっていく…」「入院していたのが遠い昔のようだけど、まだ4か月前。朝は体の痛みから始まる。コロナを忘れたいのに、忘れられない」
東京都内の20代男性会社員
半年近くたった今も味覚や嗅覚がなく、「感覚が狂い、自分が自分でないみたい」と話す。大好きだったカップ焼きそばも「味がなくて麺はまるでゴムのよう」。友達に感染の事実すら打ち明けられず、外食も楽しめなくなった。
神奈川県に住む48歳女性
「ずっとけん怠感が抜けないため、もしかしてうつ病ではないかと心配になって心療内科を受診したこともありましたが、問題ないと言われてしまいます。原因のわからない不調がダラダラと続いていて治療もできず、もんもんとする状態が今も続いています。9月頃からは症状がひどくなり、今では日常生活に差し支えるほど症状が重くなることもあります」