戦後77年、全国戦没者追悼式を開催 「戦争の惨禍、再び繰り返されぬことを切に願う」(天皇陛下)

全国戦没者追悼式でお言葉を述べられる天皇陛下と皇后さま 社会

終戦から77年となる15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館(東京都千代田区)で開かれた。約310万人の戦没者を全国の遺族らが悼んだ。コロナ禍の影響で例年の6分の1となる約1千人が参列した。式には全国の遺族約600人のほか、天皇、皇后両陛下、岸田文雄首相らが出席した。

戦争の惨禍、再び繰り返されぬことを切に願う 天皇陛下おことば(全文)

戦争の惨禍、再び繰り返されぬことを切に願う 天皇陛下おことば全文(朝日新聞 2022年8月15日 12時33分)

陛下の「おことば」は次の通り。

本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。

終戦以来77年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。

私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による様々な困難に直面していますが、私たち皆が心を一つにし、力を合わせてこの難しい状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。

ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

岸田文雄首相、安倍政権からの文言踏襲 戦没者追悼式の式辞(全文)

岸田文雄首相、安倍政権からの文言踏襲 戦没者追悼式の式辞全文(朝日新聞 2022年8月15日 15時27分)

岸田首相の式辞は次の通り。

天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、戦没者のご遺族、各界代表のご列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行いたします。

先の大戦では、300万余の同胞の命が失われました。

祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦場に斃(たお)れた方々。戦後、遠い異郷の地で亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、各都市での爆撃、沖縄における地上戦など、戦乱の渦に巻き込まれ犠牲となられた方々。今、すべての御霊(みたま)の御前にあって、御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。

今日、私たちが享受している平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念を捧げます。

未だ帰還を果たされていない多くのご遺骨のことも、決して忘れません。一日も早くふるさとにお迎えできるよう、国の責務として全力を尽くしてまいります。

戦後、我が国は、一貫して、平和国家として、その歩みを進めてまいりました。歴史の教訓を深く胸に刻み、世界の平和と繁栄に力を尽くしてまいりました。

戦争の惨禍を二度と繰り返さない。この決然たる誓いをこれからも貫いてまいります。未だ争いが絶えることのない世界にあって、我が国は、積極的平和主義の旗の下、国際社会と力を合わせながら、世界が直面する様々な課題の解決に、全力で取り組んでまいります。今を生きる世代、明日を生きる世代のために、この国の未来を切り拓(ひら)いてまいります。

終わりに、いま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様にはご多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。

令和4年8月15日 内閣総理大臣 岸田文雄

(多田晃子)