2023年6月9日 今日の出来事

改正入管法が成立 難民認定申請中も強制送還可能に

外国人の収容と送還のルールを見直す改正入管法は9日、参院本会議で自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。廃案を求めていた立憲民主党、共産党などは反対した。外国人が入管施設で長期収容されている問題の解消を図る狙いがあり、公布から1年以内に全面施行される。

国外退去とされた外国人は速やかな送還のため、入管施設に原則収容される。ただ、難民認定申請中は送還されない現行ルールを逆手に取り、難民認定申請を繰り返して送還を拒む「送還忌避者」がいるとして、政府は法改正を目指していた。

改正法は、入管の強制送還の機能を強化したのが柱で、送還が停止される難民認定の申請を原則2回までに制限する。併せて国外退去とされた外国人を入管施設に収容せずに送還手続きを進める「監理措置」を創設。紛争地から逃れた外国人を難民条約上の難民に準じて保護する制度も新たに設けた。

参院本会議での改正入管法成立後、ウィシュマサンダマリさんの遺影を手に記者の質問に答えるワヨミさん (中央左)とボールニマさん (同右) =東京都千代田区で2023年6月9日

政府、在留資格「特定技能2号」の11分野拡大を閣議決定

政府は9日、熟練した技能を有する外国人労働者が取得できる在留資格「特定技能2号」を現在の2分野から11分野へ拡大する案を閣議決定した。2号を取得すれば無期限就労が可能になる上、家族の帯同も認められる。日本が人口減少社会に突入する中、外国人労働者の永住に道を開く大きな転換点となる。

特定技能は人手不足が深刻な特定産業分野で外国人を受け入れるため、2019年4月にスタートした。在留期間が通算5年の「1号」と、在留期間の更新回数に上限がない「2号」がある。1号は相当程度の知識・経験、2号はより熟練した技能が求められる。いずれも同じ分野内であれば職場を自由に選べる「転籍」ができる。

1号は全12分野あり、家族の帯同は認められていない。一方、2号は家族の帯同が可能だが、これまでは「建設」「造船」の2分野しか認めていなかった。

今回、2号の追加が決まったのは、ビルクリーニング▽製造業▽自動車整備▽航空▽宿泊▽農業▽漁業▽飲食料品製造業▽外食業――の9分野。12分野のうち「介護」は別制度で2号と同様の待遇が認められており、1号の全分野で無期限就労ができることになる。

特定技能の対象分野

新型コロナ、前週比1.25倍 沖縄最多「注意必要」

厚生労働省は9日、全国約5000の医療機関から5月29日~6月4日に報告された新型コロナウイルスの定点把握に基づく、感染者数を公表した。医療機関1カ所当たりの平均は4.55人で、前週(3.63人)から1.25倍増えた。国立感染症研究所の鈴木基・感染症疫学センター長は「全国で増加傾向が続いている。沖縄は前回の波(第8波の数値)に近いので注意が必要だ」と述べた。

同省によると、4日までの1週間に対象の医療機関から報告があった感染者数は、2万2432人だった。

都道府県別の1医療機関当たりの患者数は、沖縄県の15.80人(前週比1.53倍)が突出して多く、石川県(6.98)、北海道(6.71)が続いた。最少は島根県の2.29人だった。少なかったのは島根2.29人、高知2.45人、滋賀2.47人など。42都道府県で増えた。

全国で新たな入院患者数は4003人で、前週比1.20倍だった。

エルニーニョ現象、4年ぶり発生 気象庁「今夏は暑い見通し」

気象庁は9日、南米ペルー沖の海面水温が高くなり、世界的な異常気象の原因とされる「エルニーニョ現象」が発生したとみられると発表した。2018年秋~19年春以来4年ぶりの発生で、夏は15年以来8年ぶりとなる。日本では冷夏になることが多いが、今夏は冬まで続いた「ラニーニャ現象」の影響が残り、暑くなる見通しだという。

気象庁によると、エルニーニョ現象は春に発生していたとみられ、冬にかけてピークを迎えるとみられる。担当者は「海水に蓄えられた熱量が大きく、今後、強いエルニーニョ現象になる可能性がある。冬には日本にも影響が出てくるだろう」と予想した。日本では暖冬になる傾向がある。

エルニーニョ現象とラニーニャ現象

ウクライナのダム決壊600平方キロ水没 東京23区の面積に匹敵

ウクライナ南部ヘルソン州にあるカホフカ水力発電所のダムが決壊した問題で、同州のプロクジン知事は8日、通信アプリ「テレグラム」で同州の約600平方キロが水没していると明らかにした。東京23区の面積に匹敵する規模となる。ロイター通信によると、これまでに数千人の住民が避難したとみられるという。

プロクジン氏は、ダム決壊による洪水で少なくとも9人が死亡したと明らかにした。米ABCニュースが報じた。またロシア通信によると、ロシア占領下のノバカホフカ市の市長も5人が死亡したと明らかにした。残された住民は屋根の上などで救助を待っており、ウクライナ、ロシア双方による救出活動が続いている。

情報機関のウクライナ保安局(SBU)は9日、決壊はロシア側による爆破だと証明する通話を傍受したと主張した。ロシア兵だとする人物が、ダムを決壊させたのはウクライナ側ではなく、ロシアの「破壊工作グループ」だと話しているという。ロイター通信が伝えた。

2023年6月7日、水浸しとなったヘルソン市街地の光景

中国の5月の物価、0.2%上昇 ゼロコロナ終了も経済回復は鈍化

中国国家統計局は9日、5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で0.2%上昇したと発表した。上昇率は前月から0.1ポイント上がったものの、市場ではデフレに対する懸念がくすぶりそうだ。

習近平指導部は新型コロナを徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策を終了させ、自動車などの大型消費や不動産取引の活性化を進めているが、経済回復の勢いは鈍化している。

ゼロコロナ期間中に失業した若者が貯蓄を取り崩すなどしており、消費意欲は高まっていない。

食品価格が1.0%上昇したが、庶民の食卓に欠かせない豚肉は3.2%下落した。ガソリンも11.1%のマイナスだった。

中国で消費者物価指数(CPI)の停滞が長期化する懸念が出てきた。

米、山火事の大気汚染続く NY改善も首都で悪化

米東部や中西部、南部で8日、カナダの山火事を原因とする大気汚染が続いた。前日に世界最悪レベルの汚染度だったニューヨークはやや改善したものの、南方の首都ワシントンやボルティモアで悪化した。

ワシントンでは大リーグの試合など屋外のイベントが中止され、ホワイトハウスの庭で開催予定だった行事も延期となった。バイデン大統領は8日「気候変動がもたらす影響をまざまざと示している」とする声明を発表。消防士の増派などカナダの支援要請に応じるよう政府機関に指示した。

首都ワシントンも煙に包まれる カナダ山火事“大気汚染” が拡大

海中に舞う淡いピンクのカプセル 奄美大島でサンゴが一斉産卵

鹿児島県・奄美大島で7日夜、サンゴの一斉産卵があった。奄美海洋生物研究会長の興(おき)克樹さん(52)が大和浜(同県瀬戸内町)沖合約50メートル、水深5メートルの海に潜って撮影した。

サンゴはオトメミドリイシなどミドリイシ属5種。午後9時半ごろから約1時間、卵と精子の入った直径約0.5ミリの淡いピンク色のカプセル「バンドル」を放ち、ピーク時は前が見えないほどに。興さんは「命の営みを身近に感じられる」。

バンドルは海面ではじけて他のバンドルに入った卵や精子と受精。プラヌラという幼生を経て、サンゴに成長する。

奄美大島周辺では、8月ごろまで、さまざまなサンゴの産卵が続く。

南部鉄器の風鈴、JR水沢駅ホームに700個 涼やかな音色奏でる

本格的な夏の訪れを前に、岩手県奥州市のJR水沢駅ホームで南部鉄器の風鈴約700個が飾られ、涼やかな音色を奏でながら乗降客らを出迎えている。

水沢鋳物工業協同組合などで組織する実行委員会が、地場産業の南部鉄器をPRしようと1962年から続けている。地元特産のリンゴなどをかたどった風鈴や、同市出身で米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手を応援する「投打猛進」と書かれた短冊などがつるされている。

同組合の佐藤康平さんは「南部鉄器の音にはリラックス効果があるとも言われている。涼しさとともに感じてほしい」と話している。風鈴は東北新幹線の水沢江刺駅ホームにも約300個が取り付けられ、9月上旬まで楽しめる。

涼やかな音色で乗降客らを出迎える南部鉄器の風鈴=岩手県奥州市のJR水沢駅で2023年6月8日

タウリン欠乏、老化の要因 摂取の動物、健康長寿に

人や動物の体内にあるアミノ酸「タウリン」は加齢とともに減るが、中年期の動物に毎日摂取させると長生きし、健康的になるとの研究結果を、米コロンビア大などのチームが8日、米科学誌サイエンスに発表した。マウスは寿命が1割延長。サルでも体重や脂肪の増加が抑えられ、骨が強くなった。タウリン欠乏が老化の要因だと示した。

人に補った場合の効果は未解明。欧州の中高年約1万2千人のデータでは、血中のタウリン濃度が高いと肥満や糖尿病が少なかった。チームは「毒になるとも考えられず、口から補える。臨床試験をする価値はある」とした。

タウリンはイカやタコ、貝などに多く含まれ、人の体内でも作られる。

タウリンと老化の研究のポイント

【1年前の今日の出来事】 2022年6月9日