円買い介入「過去最大」3兆円半ばも円安は再加速「辞めときゃよかった」「3兆円をドブに」
円買い介入「過去最大」3兆円半ばも円安は再加速「辞めときゃよかった」「3兆円をドブに」識者からも猛批判(FLASH編集部 2022.09.27 17:41)
9月22日に、政府・日銀が実施した24年ぶりの円買い介入が、最大で3兆6000億円規模にのぼると推計されることがわかった。1998年4月10日の2兆6201億円を超える規模で、過去最大だった可能性がある。
日銀は26日、当座預金残高の見通しで、27日は財政等要因が3兆6000億円の不足になるとの見通しを公表した。介入がなくても、27日時点の残高は0~数千億円程度の減少が見込まれており、為替介入の実施額は、差額の3兆円台半ばと推計されるという。
22日の円買い介入で、米ドルは145円90銭から140円31銭へと押し戻されたが、連休明けの26日の外為市場では再び一時144円まで戻り、27日も144円後半から前半を推移。介入の効果が早くも薄れている。
経済評論家の藤巻健史氏は9月26日、自身のTwitterにこうつづった。
《金曜日の介入は円買い介入としては史上最高額、それでたった6円の押し下げ効果しかなく、それも一時的で、すでに元のレートに戻りつつある。しょぼい、恥ずかし。辞めときゃよかったのに》
9月27日には、立教大学大学院の金子勝特任教授が、自身のTwitterにこうつづった。
《【3兆円をドブに捨てた為替介入】22日の円買いドル売り介入は3兆円規模で過去最大だったが、1週間であっという間に、もずくと消えた》
ネット上でも、過去最大規模となる3兆6000億円もの円買い介入について「焼け石に水」という声が多く上がった。
《3兆円いれて結局逆戻り。やっぱ焼石に水だよなぁ》
《日本一国で介入しても一時的効果しかない。つまりただのパフォーマンス》
「アメリカなど、各国の中央銀行が金利の引き上げに動いた一方、日銀は金融緩和の継続を決めています。さらに、黒田東彦総裁は『当面、金利を引き上げることはない。当面というのは数カ月の話ではなく2、3年の話』と、異例ともいえる発言をしました。
介入資金も無尽蔵にある訳ではありません。日銀が動かない以上、今後も政府が円買い介入をしても、長期的な円安の流れを止めるのは難しいですよ」(経済部記者)
黒田総裁の任期は2023年の4月まで。このまま日銀は金融緩和政策を続けるのだろうか。
( SmartFLASH )
一時1ドル=145円超え…金融政策の転換こそ円安阻止の処方箋、為替介入は「牽制球」だ
一時1ドル=145円超え…金融政策の転換こそ円安阻止の処方箋、為替介入は「牽制球」だ(日刊ゲンダイ 公開日:2022/09/28 06:00 更新日:2022/09/28 06:00)
円安は輸入物価を上昇させる。8月の全国消費者物価指数(総務省発表)は前年同期比2.8%上昇、1991年9月以来、30年11カ月ぶりの高い伸び率となった。特に、都市ガスは26.4%、電気代は21.5%の上昇となっている。
この数値には生鮮食品は含まれていない。ウクライナ紛争による国際商品(エネルギー、穀物など)の高騰、円安が国民生活を直撃している。なにしろ、給料は30年間、ほとんど増えていない。暮らし向きは厳しくなるばかりである。
為替市場ではドル高・円安が進行している。9月22日には瞬間、1ドル=145円を超えた。1998年には147円60銭台の安値がある。そこを抜けると、90年の160円30銭台を意識する展開となろう。
今回の円安はスピードが速い。FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切った今年3月以降、わずか半年で約30円の円安だ。ヘッジファンドなど投機筋が暗躍しているのは確かだが、円が売られるには理由がある。
まず、金融政策の違いだ。FRB、ECB(欧州中央銀行)、オーストラリア、イギリス、カナダなどの中央銀行は利上げ、QT(量的金融引き締め)を続けている。
一方、日銀はゼロ金利政策(異次元の金融緩和)を継続している。加えて、日本の貿易赤字が恒常的なものになっている。それに、軍事的に西側諸国はアメリカに頼らざるを得ない。臆病なマネーが安全を求め、ドルに向かうのは当然ではないか。
■日本はすっかり縮んでしまった
昔、「日本人は縮み志向」と言われた時代があった。1980年代のこと。これは褒め言葉である。半導体では微細化技術を駆使し、圧倒的な競争力を誇った。アメリカとの貿易摩擦が起こったほど。
さらに、石庭、箱庭、盆栽などの日本文化が宇宙観を凝縮したものとしてクローズアップされた。いや~、懐かしい話だ。しかし、日本経済が本当に縮んでしまっては困る。
だが、それが現実のものになっている。ドル建てのGDP(国内総生産)は30年ぶりに4兆ドル割れ。4位のドイツに並ばれている。GDPは1990年代初めの水準に逆戻りだ。この間、世界のGDPは4倍になっている。30年前には世界のGDPの15%超だった日本のシェアはいまや、4%弱にすぎない。いやはや、すっかり縮んでしまったじゃないか。
円安を阻止する処方箋は何か。為替介入は「牽制球」だ。やはり、日銀の金融政策転換に加え、インバウンド、産業構造の転換など経済活性化策の推進、賃上げによる消費拡大などが不可欠だろう。