「落選してほしい失言議員」3000人が回答、1位は不妊に悩む女性を傷つけた“無神経人間”(週刊女性 2021/10/22 週刊女性2021年11月2日号)
10月14日、誕生したばかりの岸田文雄首相が衆議院を解散。19日の公示から31日の投開票を目指し、衆議院総選挙がスタートした。
政治家は選挙に落ちれば“ただの人”。先生であり続けるため、465の議席をかけて熾烈な争いが繰り広げられる。だが、この中には信じられない失言をした政治家たちがおり、今も平然と活動している。彼らをのさばらせておいて、いいのだろうか。
そこで週刊女性は18歳から70歳の全国の女性3000人にネットアンケートを実施した。
放言王 殿堂入りは・・・麻生太郎 副総裁
まず、アンケートに失言を報じられたことがある現職の衆議院議員20人をリストアップ。その中から、もっとも国民軽視だと思う失言と議員名を選んでもらい、その理由を自由記述で回答してもらった。
「セクハラ罪という罪はない」「アルツハイマーの人でも、これぐらいはわかる」など、失言連発の“放言王”麻生太郎は“殿堂入り”として選択肢からはずした。さあ、ポスト麻生は誰の手に!?
1位 桜田義孝 元五輪相
1位は桜田義孝元五輪相で680票を獲得した。
’19年5月、千葉市内で行われたパーティーのあいさつで、少子化問題に言及し、
「お子さんやお孫さんにぜひ、子どもを最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」
と呼びかけた。この発言に女性たちから怒りの声が。
「私も産みたくても産めなかったひとり。だったらもっと早くに不妊治療を保険適用にしとけよ。それと育てるには金がいる。この世の中では3人はかなり厳しい。世の中の現状をわかっていない」(46歳大阪・インフラ関係)
「自分は不妊治療で1人産むのにも苦労した。産みたくても産めない人はたくさんいる。若い人は賃金が少なく結婚すらできない人も。その背景も知らずに“子どもを産め”は無神経」(30歳福岡・専業主婦)
桜田の失言は、これ以外も。
「(放射能に汚染されたゴミを焼いた焼却灰は)原発事故で住めなくなった福島に置けばいい」(’13年10月)
水泳選手・池江璃花子の白血病公表に、
「がっかりした」(’19年2月)
極めつきは、自民党議員のパーティーに出席し、
「(東日本大震災からの)復興以上に大事なのは、〇〇さんでございます」(’19年4月)
などと発言し、桜田は五輪相を更迭された。学習能力がなく、失敗を繰り返す姿は、“失言王”にピッタリだ。
桜田のツイッターを見ると、次の衆院選に向けて活動しているようだが、“失言”を挽回できる日は来るのか?
2位 杉田水脈 議員
524票を獲得し、2位にランクインしたのは’20年9月、自民党本部で行われた会合で問題発言をした杉田水脈(みお)。
「女性はいくらでも嘘をつける。そういう方は多々いた」
これは女性の性暴力被害者を支援するための相談事業に関しての発言だ。
「女性だけでなくとも、男性だって政治家だって、平気で嘘つく人もいるのに。そうやって平気で差別的なことを言うのは許せない」(39歳埼玉・建設業)、「嘘をつくかどうかは性別ではなく、人としての資質だと思う。なぜ男女で分けるのか意味がわからない」(49歳大阪・医療福祉関係)
自身も女性でありながら、性別で括った差別発言に批判が殺到。’18年には「LGBTは生産性がない」とする論文を雑誌に寄稿し、大問題に。最終的には掲載した雑誌が休刊に追い込まれた。一方で杉田は今も議員として活動中だが……。
3位 今村雅弘 元復興相
3位にランクインしたのはこの人。’17年4月に自民党の政治資金パーティーで東日本大震災について触れ、
「まだ東北、あっちのほうでよかった。首都圏あたりだと莫大、甚大だったと思う」
などと発言した今村雅弘元復興相で、489票を獲得。
「東北に住んでいたので“あっち”にどのような意味が含まれているのか考えると悲しかった。世界のどこで起こっても、よかったとは思えない」(41歳宮城・教育関係)、「福島に住んでいて、原発事故により避難や精神的苦痛を味わった者としてこの発言は許せない。福島原発で作っていた電気はほぼ東京に送られていたってことがわかっているのか」(56歳福島・自由業)
’11年3月11日に発生した未曾有の大災害から今年で10年。家族を失い、住む場所を奪われ、多くの人が絶望に打ちのめされた。にもかかわらず、どこか他人事のような発言をしたのが、復興担当大臣というのだからビックリだ。人の気持ちがわからないなら、政治家の資質が問われる。
4位 生方幸夫 議員
「(北朝鮮による拉致被害者で)生きている人はいない」
この発言により現在進行形で炎上中なのは、4位にランクインした生方(うぶかた)幸夫。
「拉致被害者の家族の活動を頭から否定する、国会議員として絶対にしてはならない発言だから」(40歳大阪・専業主婦)、「横田めぐみさんのご両親は自分の人生を懸けてめぐみさん救出のために生きてきて、血の滲むような活動をしてきた。なのに“生きている人はいない”という言葉がなぜ出てくるのか。議員として最低で、血も涙もない」(39歳兵庫・小売業)
問題の発言は千葉県松戸市で今年9月23日に行われた会合で話したもの。これを受け10月11日に『北朝鮮による拉致被害者家族連絡会』が発言の取り消しと謝罪を求める抗議声明を発表した。
生方はツイッターで謝罪したが、実は今年2月に森喜朗元首相の“失言”に対してこんな投稿をしていた。
《森元総理、結局辞任せず。失言という“本音”を吐いても、撤回すればOK(中略)誰も責任を取って議員を辞めようとしない。頼りは有権者の判断だけ》
最近は、街頭演説を頑張っているようだけど、頼りの有権者はどう判断するだろう?
5位 平沢勝栄 元復興相
5位に選ばれたのは平沢勝栄元復興相だ。’19年1月に山梨県内で開かれた集会で、
「(少子高齢化問題に触れ)LGBTばかりになったら国がつぶれる」
と発言。政治家は多様性への理解がなければいけない立場のはずなのに……。
「LGBTの方々を否定するような発言は、不愉快でしかない。まだまだ理解されにくい世の中だと思うけど、個人の自由。どう生きようと他人に何か言われる筋合いはない」(32歳東京・サービス業)、「LGBTQの人が増えても出生率は変わらない。 それよりも出生率を上げるために改善するべきところがある」(26歳鳥取・金融関係)
こんな議員ばかりになったら、日本がつぶれる。
6位 安倍晋三 元首相
6位に登場したのが安倍晋三元首相。’17年に行われた東京都議選の応援演説に駆けつけたのだが、登壇すると聴衆からの「帰れ」「辞めろ」コールが、演説の妨げになるほど大きくなった。この声に、
「誹謗中傷したって、みなさん何も生まれないんです。こんな人たちに、私は負けるわけにはいかない!」
ちょ、待てよ。「帰れ」と言っているのも国民ですが……。
「自分に都合の悪い意見には耳を傾ける気がないように聞こえる。自分にとって賛成派の人間ばかりではないし、反対派の意見もきちんと聞いて、反論すればいいのに」(42歳北海道・建設業)、「演説を聞いてるひとりひとりに理解してもらう立場にもかかわらず、“こんな人たち”と馬鹿にして見下した発言をする人が首相だったのは日本の恥」(37歳長野・運送業)
もう少し謙虚にならないと、足をすくわれますよ。
7位 小泉進次郞 前環境相
小泉進次郎前環境相は7位に入賞!
「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールでセクシーでなければならない」
’19年9月、ニューヨークで開かれた国連の気候変動サミットに出席した小泉が記者会見で述べたのが、この言葉。
「この案件でセクシーという言葉を使ったことに気持ちの悪さを感じる」(58歳愛知・金融関係)、「セクシー発言だけでなく、自分がレジ袋有料化を推進したのに、今になって自分がやりだしたことではないと、言い訳しだした。具体的な案を何も考えず、当たり前のことを突っ込まれたら拗ねて黙り込むのも最悪」(48歳大阪・製造業)
食べ物だけでなく、レジ袋の恨みも怖いですよ!
8位 三ツ矢憲生 議員
続いて8位にランクインしたのは、自民党の三ツ矢憲生。
「この6年間で〇〇議員のいちばん大きな功績は、子どもをつくったこと」
批判しているようにも受け取れるこの発言。実は’19年7月に自民党の女性議員の応援演説で三ツ矢が語った言葉だった。この発言が物議を醸して……。
「議員の功績と関係ない部分をいちばんの功績というのは、バカにしてる感じがするし、女性の価値を子どもを産むことだけと言ってるように感じる」(36歳福岡・専業主婦)、「この女性議員が子どもを産んだことだけを認め、ほかの業務内容や人間性を否定してるよう」(19歳神奈川・学生)
三ツ矢は今期限りで引退することを表明している。
9位 下村博文 前政調会長
9位には自民党の下村博文前政調会長。福田淳一元財務事務次官のセクハラ行為を、テレビ局の女性記者が週刊誌で告発。これを受け、当時文科相だった下村は、
「週刊誌に売るってこと自体がある意味で犯罪だと思う」
これにはセクハラ被害を受けた女性たちから怒りの声が。
「会社に訴えても解決できず、週刊誌に告発する以外手段がなかった女性の心情を理解できない暴言としか思えない」(45歳東京・無職)、「私もセクハラされた経験がある。それを公にするのにどれだけ勇気が必要か。された側にしかわからない」(44歳高知・公務員)
10位 谷川とむ 議員
ラスト10位は自民党の若手議員、谷川とむ。’18年7月に放送されたインターネット放送の討論番組に出演。同性婚について話が及ぶと……。
「多様性を認めないわけではないが、法律化する必要はない。趣味みたいなもので」
社会的に認められず、多くの人が苦しんでいる現状を、理解していないのか。
「自分の子どもがLGBTに生まれたときも同じことを言えばいいと思う」(30歳青森・小売業)
気の緩みからポロリとこぼれた本音の言葉。
まだ、この人たちを国会議員にしますか?