【図解】日本はすでに第4波に突入。勢いは第3波を追い越す。医療崩壊は防げるのか。オリンピックは開催できるのか。

コロナ_第4波に突入_オリンピックは中止か 社会

グラフを見る限り、日本はすでに第4波に突入している。

聖火リレーが始まり、7月のオリンピック開催が迫る。しかし、新規コロナ感染は緊急事態宣言の全面解除の前から拡大の兆候を見せている。

ワクチン接種は遅れており、政府が唱える病床の確保やPCR検査の拡大は、以前と同様にかけ声だけだ。しかも感染力と重症化率の強い変異ウイルスが全国に広がりつつある。そんな状況下でGoToキャンペーンの再開。正気の沙汰とは思えない。

順当にオリンピックが開催されるとなると、世界中からスポーツ選手や関係者が万人単位で来日する。万が一にも選手が感染したら、収容する病院はあるのか。その間に日本国民が感染したら、すべて自宅に放置され、病院は選手優先となるのか。

第1回・第2回 緊急事態宣言の発出と解除

第1回 緊急事態宣言 安倍内閣

≪2020年≫

2月27日 全国の小中高に臨時休校を要請
2月28日 北海道が独自の緊急事態宣言
3月11日 世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言

4月07日 東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言を発出。5月6日まで
4月16日 対象を全国に拡大。13都道府県(先行の7都府県に加え、北海道、茨城、石川、愛知、岐阜、京都)を特定警戒都道県に指定
5月04日 緊急事態宣言を5月31日まで延長

5月14日 39県で解除、8都道府県(北海道、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、兵庫)は継続
5月21日 関西を解除、首都圏と北海道は継続
5月25日 すべての都道府県で解除

第2回 緊急事態宣言 菅内閣

≪2021年≫

1月08日 首都圏1都3県で緊急事態宣言を発出(東京、神奈川、千葉、埼玉)、2月7日まで
1月14日 愛知、岐阜、大阪、京都、兵庫、福岡、栃木に宣言を発出

2月07日 栃木を解除、他の10都府県は3月7日まで延長
2月28日 6府県で先行解除(愛知、岐阜、大阪、京都、兵庫、福岡)
3月07日 首都圏1都3県の再延長(東京、神奈川、千葉、埼玉)
3月21日 すべての都道府県で解除

全国における新規感染者数、重症者数、死亡者数の推移 政府の間違いだらけの対応

昨年4月に第1波、8月に第2波、暮れから今年1月にかけて大きな第3波が、日本を襲った。死者も増えた。今年1月に発出された緊急事態宣言は、3月21日に最後の首都圏が解除された。しかし、緊急事態宣言が発出されている期間中にもかかわらず、第4波が勢いづいて来た。

ちなみに、新規感染者数から2、3週間遅れて重傷者数と死亡者数が表れる。

政府の対応は問題だらけ

第一は、政府は第1波の時、春節を迎える中国から多数の観光客が訪日することを期待し、また夏のオリンピック開催を前にして、思い切った水際対策を実施しなかった。

第二は、第1回緊急事態宣言の後、感染が治まった期間が続いたが、この時にこそ、感染発生源となり得る地域や施設を対象に無症状者にPCR検査を実施し、感染源を断つべきだった。ウイルスがゼロにならなくても、感染源を極少化すれば、その後の感染拡大を抑えることが出来る。

一部の専門家や有識者はそのことを主張したが、政府は応じないばかりか、厚生労働省及び国立感染研究所はその考えを否定した。

第三に、感染が治まっている期間に次の感染拡大期に向けて医療体制の拡充と医療従事者の確保をすべきであった。しかし、そのことにも政府は真剣に取り組まなかった。

ウイルスは一般に冬に活躍し、暑くて湿気の多い夏には勢力を弱める。しかし、昨年8月の真夏に第2波が第1波を超える勢いで襲った。

政府は、第2波が十分に収束していない状態で、秋に、GoToトラベルとGoToイートのキャンペーンを大々的に実施した。その結果、案の定、第1波と第2波を遥かに超える大きな第3波が日本全土を襲った。

全国各地で医療崩壊の危機が叫ばれた。一部の地域では保健所の力量を超えたため、濃厚接触者を追跡することさえできない状態に追い込まれた。

そのような状況に対し、医療関係者や有識者がGoToキャンペーンの即時停止を提案したが、政府は「エビデンスが無い」としてGoToキャンペーンを強引に継続した。全国的に停止したのは12月28日であった。

第四の問題は、異常な勢いで感染が拡大していたにもかかわらずが、GoToキャンペーンを強行・継続したことである。

全国6地域の感染状況 東京、大阪、沖縄で第4波の兆候 宮城、山形でも

全国6地域、北から順に、北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県、沖縄県における新規感染者数の推移をグラフにした。

各都道府県によっては独自の警戒宣言を出しているので少し形状が異なるところがあるが、総じて第1波、第2波、第3波を同時期に形作っている。

注視すべきことは、2月下旬から、東京、大阪、沖縄で感染拡大の兆候が見られることである。第4波が頭をもたげてきた。

死亡者の累計をグラフにした。今年1月下旬の一時期に大阪府が東京都を抜いて1位になり、その後ややなだらかになった。東京都における累計死亡者数は強い伸びを示している。

次のグラフは新規感染者数の増減率、即ち、その日を含む過去1週間の新規感染者数(合計)をさらに1週間過去の新規感染者数(合計)で割った比率である。値が1であれば増減に変化がなく、1より小さいと感染者数が減少に向かい、1より大きい場合は増加することを示している。

第4波の兆候が見られる3月1日以降をグラフにした

極端に増加したのは宮城県である。大きいときは2.5を超え、最近でも1.5付近にある。増減率が2の場合、新規感染者数は1週間で2倍、4週間で16倍、1か月で20倍になる。

原因の一つは「GoToイート」の再開と見られている。宮城県では、感染者数が1月に急降下し、2月には1桁台になった。そのため、去年12月28日から一時停止していたプレミアム付き食事券の販売を、2月23日に再開した。

しかし、販売を再開した直後から感染者が急増した。そのため県は3月16日から当面の間、販売を再度停止した。

最近、高い伸び(第4波)を示しているのは、グラフの中では、1位大阪府、2位沖縄県、3位兵庫県、4位宮城県、5位東京都、6位埼玉県と続く。グラフ外でも、山形県や愛媛県が高い値となっている。

政府は、新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着いているステージ2相当以下の都道府県内の旅行に対する割引事業を財政的に支援する「地域観光事業支援」を4月1日以降、順次開始すると発表した。

地域観光事業支援は地域経済の振興に貢献すると思うが、感染拡大を心配する。店側は徹底した感染防止対策、利用客は静かに観光を楽しんで頂きたい。

北海道・東北地方の感染状況

北海道における新規感染者数の推移と累計死亡者数

宮城県における新規感染者数の推移と累計死亡者数

2月に入り新規感染者数は10人前後になったが、2月23日にGoToイートを再開するや否や、感染は一挙に拡大し、第3波を越える第4波を形成している。村井知事のコロナに対する危機管理の甘さと仙台市民・宮城県民の気の緩みが感染暴発を招いた。

山形県における新規感染者数の推移と累計死亡者数

宮城県における感染拡大の大部分は仙台市で発生している。その仙台市と山形市は鉄道と高速バスで繋がっており、生活圏と経済圏の連携が進んでいる。そのため、仙台市での感染拡大が山形市での感染拡大を引き起こしている。

首都圏の感染状況

首都圏の3県は、緊急事態宣言下で新規感染者数が100人前後まで減少したが、そこで下げ止まっている。東京都は300人前後まで減少したが、その後、じわじわと増加する傾向を示している。

埼玉県における新規感染者数の推移と累計死亡者数

千葉県における新規感染者数の推移と累計死亡者数

東京都における新規感染者数の推移と累計死亡者数

東京都は3月に入り、感染が拡大する傾向を示している。

神奈川県における新規感染者数の推移と累計死亡者数

中部・愛知県の感染状況

愛知県における新規感染者数の推移と累計死亡者数

3月に入り、拡大傾向を示している。

関西の感染状況

大阪府における新規感染者数の推移と累計死亡者数

大阪府は、3月に入り第4波の形状が顕著になり、第3波を追い抜く勢いである。その原因は、吉村洋文知事が国に緊急事態宣言の先行解除を強く求め、2月28日に解除したことである。

早期解除を求める吉村知事をテレビで見て、「子どもがはしゃいでいる」ような印象を受けた。かつては、「イソジンに効果あり」と浮かれて発表した。そして、第4波の兆候が出てきた今、「まん延防止等重点措置」(略称:まん防)の適用を国に求めると記者団に示した。

感染の急拡大が心配される宮城県の村井知事は、まん防の適用に関し「今のところ要請する予定はない」と否定し、「場当たり的ではなく、しっかりと様子を見ながら対策を打つ」と強調した。

吉村知事には、場当たり的ではなく、しっかりと様子を見ながら的確な対策を打って頂きたい。

大阪府と兵庫県は人流と物流が盛んなため、大阪府での感染拡大は即兵庫県での感染拡大となる。

九州地方の感染状況

福岡県における新規感染者数の推移と累計死亡者数

沖縄県における新規感染者数の推移と累計死亡者数

すでに第3波を追い抜こうとしている。

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すでに第4波が始まっている。宮城、山形、愛媛など地方で感染が急拡大。前週比は、東京が1.11倍、愛知、大阪、京都、兵庫が1.5倍前後。

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