利害関係者から接待を受けたとして、総務省と農林水産省の多数の幹部が処分された。総務省幹部らは菅義偉首相の長男、正剛氏の勤務する会社側から接待に誘われ、農水省幹部らは当時農水相だった吉川貴盛被告(収賄罪で在宅起訴)から誘いを受けていた。
しかし、両者の事情は全く異なる。
農林水産省の場合は、大臣からお誘いがあり、大臣と会食することは問題でない。問題は、大臣が会食の場に利害関係にある業者を呼んでおり、費用も業者に負担させたことだ。
総務省の場合は、官僚はいやいや誘いを受けたのではない。総務省に絶大な影響力を持ち、官房長官その後総理の菅氏の長男の会社からの誘いがあれば、官僚は喜んで出席し長男と親しく知り合う機会となる。自身の将来にもプラスになる。
山田真貴子内閣広報官は2月28日に体調不良を理由に入院し、3月1日に辞職した。
「山田広報官は、菅総理や菅政権の被害者、犠牲者の面もある」との声があるが、同情する必要はない。しばらくしてほとぼりが冷めた頃、山田氏はどこか一流企業に天下りし、幹部に就任している。
【参考記事】
玉川徹氏、山田内閣広報官の辞職で石原良純に反論「かばう様な発言ですけど、そういう話なのかなと」(スポーツ報知 2021年3月1日 10時27分)
1日放送のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・午前8時)では、総務審議官時代に首相の長男ら利害関係者から1回で7万円を超える接待を受けた山田真貴子内閣広報官が2月28日に入院し、辞職を申し入れたことを速報した。
同局の玉川徹氏は、「この週末で農水省、財務省、国交省の課長級2人と局長級1人を取材しました」として「共通で言えるのは、彼らは接待には『絶対に行かない』と。3人とも、とてもじゃないが利害関係者からごちそうになってしまうということは考えられない」と回答を得たという。
続けて「当然、山田広報官もわかっていたはずで、わかっていながら行ったわけです。局長級の方は、たぶん総務省の方は嬉々として行っただろうと。僕は断り切れなくて仕方がなく行ったのかなと思っていたのですが、たぶん嬉々として行ったと思うと。菅首相のご子息とお近づきになれる機会で、自分の将来を考えても非常にいい機会だと、嬉々として行ったと思うと言っていた」と話した。
接待、大臣ら仲介役 官僚「断りにくい」(産経新聞 2021.2.26 23:24)
鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループの元代表が農水省幹部らを接待したのは、平成30年10月と令和元年9月の2回。30年は枝元真徹事務次官らが、元年は水田正和生産局長らが参加し、いずれも吉川被告が同席。飲食代は1人当たり1回約2万2000~2万3000円で、アキタ側が全て負担していた。枝元氏は吉川被告に誘われたとした上で、「吉川氏が支払ったと思っていた」と釈明した。
放送事業会社「東北新社」による総務省幹部の接待では延べ39回のうち半数以上に正剛氏が同席。飲食代も同社が負担していた。正剛氏は菅首相が総務相だった当時に大臣秘書官を務め、複数の幹部とは面識があった。接待は東北新社側から持ちかけられ、ある現役官僚は「誘われたら、顔を出さざるを得ないのではないか」と指摘した。
NTTの執行役員に天下り 柳瀬秘書官が従う「首相案件」(「週刊文春」編集部2020/10/20)
NTT執行役員の柳瀬唯夫氏(59)。安倍政権の首相秘書官だ。
「柳瀬氏と言えば、加計学園の獣医学部新設問題を巡って、官邸で学園側と面会していたことが物議を醸しました。その際、『本件は首相案件』と発言したとする愛媛県の文書の存在も明らかになっています。にもかかわらず、『記憶の限り、お会いしていない』と“迷答弁”を重ね、時の安倍晋三首相を守り抜いた。18年7月に経済産業審議官を最後に退官しますが、約5000万円の退職金は満額支給されました」(官邸関係者)
その後、19年2月にNTTグループの海外事業を統括する「NTTインク」の社外取締役に天下り。株主総会では「政府に忖度したのか」という質問も出たが、“NTTのドン”と言われる澤田純社長は「政府からの依頼は一切ない」としつつ、「もともと知人であり海外に広い人脈を持つことから私からお願いした」と起用の経緯を明かした。
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