中国が「100機の水中自爆用ドローンを製造」…たった6本の海底ケーブル切断で「沖縄が完全に孤立化」中国軍のヤバすぎる封鎖計画

日本の海底ケーブル 台湾有事でネット接続全滅リスク 政治・経済

中国が「100機の水中自爆用ドローンを製造」…たった6本の海底ケーブル切断で「沖縄が完全に孤立化」中国軍のヤバすぎる封鎖計画(現代ビジネス 2023.03.25)

2025年までにおこるとされる台湾有事。もし台湾有事がおこれば日本も他人事ではない。そんな中、中国軍による海底ケーブル切断が始まっている。中国が目論む「沖縄封鎖作戦」とは……。

前編記事『【今年、台湾近海の馬祖列島で週に2度…鹿児島徳之島でも…】中国の「海底ケーブル切断」によって「島国は完全に孤立化」してしまう…!中国軍が進める「沖縄封鎖作戦」の恐ろしさ』に引き続き紹介する。

中国が狙う「沖縄の6つの海底ケーブル」

「大陸国の場合、海底ケーブルが断線しても代替の通信手段となる陸上ケーブルがあるので、被害は最小限に収まります。しかし、海底ケーブルのみで外界と繋がっている日本のような島国は絶海の孤島となり、国際社会から一時的に切り離されてしまいます」(軍事評論家の高部正樹氏)

沖縄には以下のように6つの商業用の海底ケーブルが通じている。

(1)~(3)は本土に接続しており、携帯電話での通話やメール、電子決済など公共インフラの通信を担う。(4)~(6)は海外へと繋がるケーブルで金融取引や海外サイトなどへの接続を支えている。

とくに、米空軍基地があるグアムへと伸びる(5)や、NATO(北大西洋条約機構)主要国にまで接続している(6)は、まさに沖縄の生命線と言えよう。

地図には記されていないが、重要な海底ケーブルは他にもある。

広域レーダーで「米軍用ケーブル」の位置を探る

それが米軍の軍用ケーブルだ。

「軍用の海底ケーブルは機密性が高く、所在は一切明かされていません。中国は躍起になってこれらの場所を探していると推測されます。もし切断できれば、在日米軍の機能は著しく低下しますから」(前出・土屋氏)

沖縄封鎖作戦の準備段階として行われているのが、尖閣諸島沖にある領海や、日本の排他的経済水域へ侵入すること。その際に、沖縄の海底ケーブルのどのポイントを切れば効果的なのかを探っていると見られる。

そして、このような工作活動は、直近で3月15日にも中国船が領海へ侵入するなど、常態化している。

これも中国の狙いの一つだ。侵入が続けば「またか」と警戒心が緩む。そして、監視の目が弱まった好機を見計らい、中国漁船が錨や漁網で海底ケーブルを引っかけたり、掘削機で巻き込んだりして、一気に沖縄の海底ケーブルを切断してしまうのだ。

そして中国が断線を図ったとしても、残念ながら日本にはそれを防衛する手段がない。

「同じ島国の英国は海底ケーブルの脆弱性を問題視しており、監視、反撃能力も備えた『マルチロール海洋監視船』を3年かけて建造し、’24年に就役する予定です。しかし、現状、海上自衛隊は中国の不審船が現れても、哨戒機がスクランブル発進して、警告するのみ。そもそも、海底ケーブルを防衛する体制はないに等しい」(海上自衛隊関係者)

民間船が海底ケーブルの切断ポイントを探すのと同時に、軍用ケーブルの位置も探っている。海自関係者が続ける。

「近年、尖閣諸島沖やその接続水域への侵入を繰り返す中国漁船ですが、彼らは広域レーダーやソナーを備えています。『漁のためだ』と言い訳されれば、それまでですが、データは中国海軍に引き渡されているでしょう。それをもとに軍用ケーブルの位置が割り出されるリスクは否めません」

中国が開発した「ケーブル破壊用ドローン」

そして、いざ台湾侵攻が始まれば、その初期段階として無防備な沖縄の海底ケーブルが同時多発的に破壊されることになる。それを遂行するのが、中国が開発した海底ケーブル破壊用の自爆ドローン「NH-1」だ。

「’17年、国営中国航天科技集団が開発した無人海中ドローンで、全長3m、重量180kgに及びます。1台あたりの製造費は8000万円で、すでに100機製造されていると見られます。高感度センサーで海底ケーブルに接近、自爆することにより破壊します。最大深度や破壊能力を高めた後継機も開発済みです」(前出・山崎氏)

この段階まで来ても、日本の対応は後手に回ると予測される。海底ケーブル防護に詳しい大阪経済法科大学教授の矢野哲也氏が話す。

「トニー・ラダキン英国防参謀総長は英紙タイムズのインタビューにおいて『海底ケーブルを切断する敵国のいかなる試みも戦争行為と考えることができる』としています。一方で、日本政府は海底ケーブル防護に関するガイドラインを定めていないので、自衛隊が迅速に対応することは難しいと言わざるを得ません」

6本の商業用ケーブルが断線すればその瞬間、沖縄はパニックに陥る。本土との通信が遮断され、電話やインターネットを使うこともできなくなる。異常事態が起きていることは分かるが、ネットに接続することができないので、実際に何が起きているのか、客観的に知ることはできない。電子マネーやクレジットカードは使えないし、ATMも止まるから現金も下ろせない。

さらに、軍用ケーブルが切られれば、頼みの綱である米軍も機能不全に陥ってしまう。

「有事の際はリアルタイムで現地の情報を収集し、本国司令部を中心に作戦立案を行います。しかし、台湾や沖縄と通信が途絶され、何が起きているか分からないと対処のしようがありません。軍事衛星が代替手段として運用されますが、海底ケーブルに比べて速度はかなり落ちます。命令にタイムラグが生じ、指揮系統が一時的に混乱し、米軍は動けなくなる。その間に中国は瞬く間に台湾制圧を成し遂げるでしょう」(前出・高部氏)

海底ケーブルは「日本のアキレス腱」だ。このままだと、近い将来、日本は中国の台湾侵攻を、指をくわえて見ているだけになりかねない。

「週刊現代」2023年3月25日号より