衆院「10増10減」閣議決定 140選挙区見直し、今国会成立へ 与野党の候補調整が焦点

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衆院「10増10減」閣議決定 140選挙区見直し、今国会成立へ―与野党の候補調整が焦点(JIJI.COM 2022年10月22日07時11分)

政府は21日、「1票の格差」を是正するため衆院小選挙区を15都県で「10増10減」する公職選挙法改正案を閣議決定した。定数が変わらない道府県も含め25都道府県の計140選挙区で区割りを見直す。今国会で成立する見通し。与野党の候補者調整や、将来の選挙制度の抜本見直しに向けた議論の行方が焦点となる。

公布から1カ月の周知期間を経て施行し、その後の衆院選から新たな区割りを適用する。衆院選前に行われる補欠選挙は、現行の区割りで実施する。

衆院小選挙区の「10増10減」

定数は宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎の10県で各1減り、東京都で5増、神奈川県で2増、埼玉、千葉、愛知各県が1増える。

人口比を重視して定数を配分する「アダムズ方式」を初めて導入した。政府の衆院選挙区画定審議会が2020年の国勢調査の結果に基づき区割り案をつくり、今年6月に岸田文雄首相に勧告した。同調査に基づく「1票の格差」は現行の最大2.096倍から1.999倍に縮小する。

改正案は比例ブロック定数の「3増3減」も盛り込んだ。東京が2増、南関東が1増、東北、北陸信越、中国が各1減となる。

「10増10減」を巡っては、地方に多くの現職議員を抱える自民党内に異論が根強かったが、将来の選挙制度見直しの議論を始めることを条件に了承にこぎ着けた。次回の国勢調査が行われる25年を念頭に結論をまとめる方向だ。

自民党は改正案成立後に公認調整に乗り出す。森山裕選対委員長は21日の講演で「140選挙区で誰が戦うかを明確にしないと(いけない)」と述べ、作業を急ぐ考えを示した。

保守地盤で有力議員がひしめく和歌山、山口両県などを中心に難航が必至だ。山口は前回衆院選で自民が4議席を独占したが、定数が3に減る。安倍晋三元首相の死去による山口4区補選が来年春以降に行われるため、補選も絡んだ調整となる。和歌山は、世耕弘成参院幹事長が衆院くら替えを模索する。

選挙区が増える都市部では公明党や野党が積極的な擁立を図る考え。公明党の石井啓一幹事長は21日の記者会見で、「小選挙区の数が増える地域は積極的な擁立を目指したい」と重ねて強調、自民党との協議に意欲を示した。

これに対し、森山氏は「公明党ともよく相談をしなければならない。与党として議席を増やしていくために、どうあるべきかは大事な議論だ」と述べるにとどめた。