「ロシア軍が地下貫通弾使用」 ウクライナが非難、製鉄所攻撃で
ウクライナでロシアとの停戦交渉代表を務めるポドリャク大統領府長官顧問は19日、ロシア軍が包囲した南東部の都市マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で露軍が「地下貫通弾を使っている」とツイッターに投稿し、ロシアを非難した。同製鉄所には徹底抗戦を続けるウクライナの民族主義者の準軍事組織「アゾフ大隊」の戦闘員らが立てこもるほか、子供を含む民間人約1000人が地下施設に避難しているとみられている。
地下貫通弾は、爆弾が地下に到達した後に爆発するため、地下施設を直接、破壊することができる。
ウクライナ侵攻 「製鉄所ほぼ破壊された」 マリウポリ、アゾフ大隊幹部
ロシア軍は19日、ウクライナ南東部の要衝マリウポリの完全制圧を目指し、ウクライナの戦闘員が抗戦を続けるアゾフスターリ製鉄所に大規模攻撃をかけた模様だ。ウクライナ紙ウクラインスカ・プラウダによると、立てこもっているウクライナ民族主義者の準軍事組織「アゾフ大隊」の副隊長は「製鉄所が爆撃され、ほぼ完全に破壊された」と語った。
副隊長によると、製鉄所の至る所に爆弾が落とされ、多くの人ががれきの下敷きになっているという。
米欧日がウクライナ支援強化で一致 岸田首相、2億ドル借款追加表明
バイデン米大統領は19日、日本や欧州の首脳らとのオンライン会合を開き、ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナに対して、軍事、経済、人道面の支援を強化していく方針で一致した。対露制裁に関しても協議し、米政府は追加制裁案を説明した。岸田文雄首相はウクライナへの経済支援として2億ドル(約258億円)の借款を新たに表明した。
会合はバイデン氏が主催した。主要7カ国(G7)、欧州連合(EU)、ポーランド、ルーマニアの首脳と、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長が参加し、約1時間20分間にわたって意見を交わした。
ロシアの最恵国待遇撤回、改正法成立 魚介類など関税引き上げ
ロシアに対する貿易上の優遇措置「最恵国待遇」を撤回するための改正関税暫定措置法が20日、参院本会議で可決、成立した。ウクライナ侵攻に伴う経済制裁強化の一環で、ロシア産魚介類などの関税が来年3月末まで引き上げられる。暗号資産(仮想通貨)が制裁の抜け穴として悪用されることを防ぐための改正外為法も可決、成立した。
ロシアへの最恵国待遇の撤回で、ロシアからの輸入品に優遇措置が適用される前の関税率が課されることになる。サケの関税率は現行の3.5%から5%に、カニは4%から6%に上がる。一方、原油や液化天然ガス(LNG)、希少金属のパラジウムなどは優遇前も関税率がゼロのため影響はない。
国外追放のロシア外交官らが出国 8人、羽田から専用機使い
ウクライナ情勢を踏まえ、日本政府が国外追放を決めた在日ロシア大使館の外交官らが20日午後、ロシアの政府専用機で羽田空港から出国した。関係者が明らかにした。
外務省によると、追放対象は在日ロシア大使館に在籍する外交官と在日ロシア通商代表部職員の計8人で、ガルージン駐日大使は含まれない。ロシア外交官の追放は初めて。
東京で新たに6776人感染確認 前週比1477人減 新型コロナ
東京都は20日、都内で新型コロナウイルスの感染者が新たに6776人確認されたと発表した。前週水曜日(8253人)を1477人下回った。新たに5人の死亡も確認された。
「県民割」の財政支援、5月末宿泊分まで延長 大型連休中は除外
観光庁は20日、都道府県が行う住民向け旅行割引「県民割」に対する財政支援を5月31日宿泊分まで延長すると発表した。大型連休期間(4月29日~5月8日)は割引がなくても需要が見込めるとして、国の支援対象からは除外する。割引は自治体の独自財源を充てることも可能で、実施期間や連休中の適用可否は都道府県が決定する。
県民割は、2020年末から停止している全国一斉の観光支援事業「GoToトラベル」の代替。都道府県が割引事業をする場合、国が財政支援している。観光庁によると、20日正午時点で、東京、愛知、大阪を除く44道府県が県民割を実施している。
円安進行、一時129円台前半 20年ぶり水準、1週間で3円超安
20日の東京外国為替市場の円相場はドルに対して一段と下落し、一時1ドル=129円台前半を付けた。朝方のシドニー市場では129円40銭まで円売りが進み、2002年4月以来20年ぶりの円安ドル高水準となった。円相場は1週間で3円以上安くなった。米長期金利上昇を受けて、日米の金利差拡大を意識した円売りドル買いが続き、節目の130円台に迫った。
日銀は20日、利回りを指定して金融機関から国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」の実施を通知した。国債を売ったり買ったりする公開市場操作の一つで、長期金利の上昇を抑える狙いだ。
世界経済成長率 22年は3.6% IMF、大幅に下方修正
国際通貨基金(IMF)は19日、最新の世界経済見通しを発表した。2022年の世界経済成長率を3.6%とし、1月の前回見通しから0.8ポイント減と大幅に下方修正した。ロシアによるウクライナ侵攻が資源価格高騰などのインフレを招き、新型コロナウイルス禍からの回復途上にある世界経済に深刻な影響を与えると分析した。
IMFは、22年のインフレ率について、先進国が5.7%、新興国が8.7%と予測。前回からそれぞれ1.8ポイント、2.8ポイント上方修正した。ロシアは世界最大級の石油と小麦の輸出国で、半導体製造に必要な希少金属なども産出している。ロシアへの経済制裁でエネルギーや食料価格が上昇し、半導体不足による世界的な部品供給網の混乱で製造業の停滞を招くと見込んだ。
国・地域別の成長率では、ロシアとの経済的なつながりが強いユーロ圏は2.8%と、前回から1.1ポイント下方修正。ロシアからのエネルギー輸入が多く製造業の割合も高いドイツは2.1%と1.7ポイント引き下げ、ウクライナ侵攻の影響が際立った。ロシアとウクライナはそれぞれマイナス8.5%、マイナス35.0%で、経済縮小が深刻なものになると分析した。
米国は3.7%と前回から0.3ポイント引き下げた。ウクライナ侵攻の影響は限定的だが、インフレ抑制のための急激な金融引き締めが景気を冷やすリスクを反映させた。
中国は、新型コロナの感染再拡大による上海の都市封鎖などを反映して、4.4%と0.4ポイント引き下げた。資源小国の日本は原油高騰の影響が大きく、2.4%と0.9ポイント引き下げた。
【1年前の今日の出来事】 2021年4月20日