創価学会員の何割が中道候補に投票? 衆院選小選挙区で軒並み敗北【解説委員室から】(時事通信 2026年02月13日17時00分)
8日投開票の衆院選の小選挙区で、中道改革連合(中道)の候補者は軒並み敗北した。公明党の選挙を支えてきた多くの創価学会員には、「中道勢力の結集」という大義はあっても、長年戦ってきた立憲民主党出身の候補者を支援することに、少なからず抵抗があっただろうし、地域によっても違うだろう。学会員のどの程度が小選挙区で、中道の候補に投票したのか? 選挙区事情が異なる東京の3選挙区から探った。(時事通信解説委員長・高橋正光)
中道に投票、多くて7割か―東京29区
公明党が立民と直近で戦った国政選挙は、昨年7月の参院選。わずか半年で、両党の衆院議員で新党・中道を結成し、立民出身者を支援することになった。原田会長ら学会幹部は当然、比例代表以上に小選挙区での票固めが難しいことを想定。中道勢力の結集が、信仰上の師匠である池田大作名誉会長(2023年11月死去)の教えに沿っていることを、機関紙「聖教新聞」で繰り返し説いた。
また、各選挙区で学会が最大限ひねり出せる票数は、昨年6月の東京都議選から推定できる。これらを考慮し、まず最初に、東京29区の結果を分析した。

前回2024年10月の衆院選で、公明党が都内で唯一候補者を擁立したのが29区。荒川区全域と足立区の約3分の1(有権者数)が選挙区だ。前回は、公明(岡本三成氏)のほか、立民(木村剛司氏)、国民民主、日本維新の会、共産の各党が候補者を立て、岡本氏が勝利。得票は6万0100票(得票率33.2%)で、次点の木村氏は4万7996票(同26.5%)だった。
今回は、岡本氏が比例に回り、木村氏が中道から出馬。自民、国民、日本保守、参政、共産の各党と議席を争った。結果は、投票率が上昇したにもかかわらず、木村氏が4万5358票(同23.3%)にとどまり、8万0538票(同41.4%)を得た自民・長沢興祐氏に大差で敗れた。
一方、都議選での公明の得票を見ると、足立区5万1138票、荒川区1万6398票。足立区票の3分の1を29区の票と仮定すれば、29区での学会の集票力は、最大で約3万3400票となる。
また、立民が都議選の足立区で得たのは3万3525票で、3分の1は約1万1200票。候補者を立てなかった荒川区でも、一定数の支持者がいることを考えると、中道は組織を固めきれば、5万票程度の確保は可能だ。
組織に勝る自民が集票力で公明を上回っているとはいえ、初めて候補者を立てた自民が大勝。木村氏が得票数・率とも低下させたことは、かなりの学会員が長沢氏に投票したことを示していると言えよう。
前回、岡本氏が同区で勝てたのは、自民の支援があってのこと。多くの学会員が、前回戦った木村氏を支援することに抵抗を感じたとしても、当然だ。木村氏に票を投じた学会員は「多く見積もって7割、少なめに見て5割」。ある党関係者は、こんな見方を示す。
「反平沢」で大多数が中道に―東京17区

東京17区(葛飾区)は、公明党が毎回、自民党候補(平沢勝栄氏)を推薦しない選挙区。衆院に比例代表が導入された直後の1996年の選挙で、山口那津男元代表が平沢氏に敗れた経緯から、学会員の平沢氏への反発が今なお根強いとされる。
前回、立民は国民への配慮から候補者擁立を見送り、裏金事件で非公認の平沢氏が6万4495票(得票率34.8%)で当選したが、国民の円より子氏も5万1975票(同28.0%)を得て比例復活。相当数の学会票が流れたとみられる。
そして、今回は、中道・反田麻里氏、国民・長谷川貴子氏に加え、円氏も無所属で出馬。平沢氏が7万3234票(同36.2%)で勝利し、反田氏は4万4594票(同22.0%)で次点。以下、長谷川氏2万8282票(同14.0%)、円氏7328票(同3.6%)で、3氏の票を合わせると(8万0204票、同39.6%)と平沢氏を上回った。
そして、都議選で各党が得た票は、公明2万6572、国民2万7413、立民1万6054。公明と立民票を合わせると(4万2626票)反田氏に肉薄。長谷川氏の得票と都議選での国民の票に大差はない。このことから、前回衆院選で国民に投票した学会員のほとんどが、今回は中道・反田氏に票を投じたことがうかがえる。
組織票の目減り少なく―15区
東京15区(江東区)は、公明の支援する候補が、自民から立民出身の中道に変わった選挙区。前回は、自民・大空幸星氏と立民・酒井菜摘氏に、共産と無所属2人が加わり、5人で議席を争った。結果は、酒井氏が6万6791票(得票率27.5%)で当選し、大空氏は6万2771票(同25.9%)で比例復活した。
今回は、自民、中道、国民、維新、参政、減税日本・ゆうこく連合の6党による激戦となり、大空氏が得票数(10万9489票)、得票率(42.5%)とも大幅に伸ばしたが、次点の酒井氏も票を増やし(7万0911票)、得票率(27.5%)は維持。これに、国民の深見紗采氏(2万8674票、同11.1%)らが続いた。
一方、都議選での各党の得票を見ると、公明2万7128、立民1万8084、国民3万0790、共産2万0519など。中道の基礎票を、公明と立民を合わせた約4万5000と仮定。酒井氏の得票から、同氏にほとんどが投票したとみられる共産票を差し引いても、中道の基礎票より多い。
ちなみに、中道が江東区で得た比例票は4万0734票。選挙結果からは、学会員の多数は酒井氏に投票し、大空氏に流れたのはわずかだった可能性が高そうだ。
東京に限らず、全国の小選挙区で創価学会がどの程度、中道候補の票をひねり出せたかは地域事情により当然異なる。さらに、超短期決戦により、公明出身者が名簿の上位を占めた比例を重視し、小選挙区まで手が回らなかった面もあるだろう。
同時に、次の衆院選も中道で戦うならば、それまでに学会員と立民出身の候補者との親交が深まり、支援への抵抗感が弱まるのは間違い。再生への第一歩は、足元を固めることと言えそうだ。(2026年2月13日掲載)
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高橋正光(解説委員長)
1986年4月時事通信社入社。政治部首相番、自民党小渕派担当、梶山静六官房長官番、公明党担当、外務省、与党、首相官邸各クラブキャップ、政治部次長、政治部長、編集局長などを経て、2021年6月から現職。公明党担当として、連立政権の発足を取材。

