<社説>維新市議の秘書兼職 これで「身を切る改革」か…毎日新聞

池下卓衆院議員の地元事務所=大阪府高槻市 政治・経済

維新市議の秘書兼職 これで「身を切る改革」か(毎日新聞 2023/9/23 東京朝刊)

「身を切る改革」を掲げ、「税金の無駄遣いを見直す」と訴えてきた政党としての信用にかかわる問題だ。

日本維新の会の池下卓衆院議員が、地元・大阪府高槻市の市議2人を一時、公設秘書として採用していたことが明らかになった。市議と公設秘書の兼職により、議員報酬と秘書給与がともに支払われていた。税金が原資の「報酬の二重取り」をしていたことになる。

このうち1人は約1年半にわたって兼職し、昨年は計約2000万円を受け取っていた。

地方議員の公設秘書との兼職を禁じる規定は、地方自治法にはない。だが地方議員が、国会議員や、他の地方自治体の議員、地方自治体の常勤職員などの公職を兼職することは禁止されている。

一方、国会議員秘書給与法は、公設秘書の兼職を原則禁止している。ただし、国会議員が許可し、所属する院の議長に届けを出せば、例外として認められる。今回、兼職届は出されていなかった。

自民、立憲民主の両党の衆院議員計3人も、地方議員を公設秘書として雇用していたが、兼職届は提出していた。

池下氏は、今回の問題について「事務的なミス」と説明している。果たしてそうだろうか。

そもそも市議と公設秘書の兼職に無理があるのではないか。どちらも重要な公職であり、掛け持ちでできるような仕事ではない。

兼職していた1人は「市議と秘書の活動は非常に似ている」と話し、両立に問題はないとの考えを示した。地元回り、陳情・相談対応、支援者獲得などだという。

だが、双方の仕事内容は異なる。国と地方で政策をめぐる利害が対立することもあるだろう。

身内に甘い対応も目につく。維新の党本部は当初「兼職は仕事の実態やパフォーマンスで個別に判断されるべきで、何ら否定されるものではない」と説明していた。その後、批判が高まると「公設秘書が地方議員を兼ねるのはやめるべきだ」と方針を転換した。

最近は、ハラスメントや、政治資金疑惑などの不祥事が相次いでいる。次の衆院選で「野党第1党を目指す」と公言するのなら、以前にも増して重い責任が伴うことを自覚すべきだ。