自民5派閥「裏金疑惑」特捜部ついに本腰! “標的”は安倍派事務総長を歴代務めた3幹部(日刊ゲンダイ 公開日:2023/12/05 06:00 更新日:2023/12/05 06:00)
大物議員が立件されるのか──。自民党5派閥が、政治資金パーティーの収入を政治資金収支報告書に記載していなかった裏金疑惑を巡って、東京地検特捜部の捜査が本格化している。
最大派閥の安倍派では、所属議員10人以上が販売ノルマ超過分のパー券収入をキックバックさせるなどして、裏金づくりをしていた疑惑が浮上。2022年までの5年間で、裏金は1億数千万円に上るとみられている。特捜部は、裏金づくりに関与した疑いのある議員への事情聴取を検討。立件を視野に実態解明を進めているもようだ。NHKなど、大手メディアが一斉に報じている。
「本丸はやはり安倍派です」と言うのは、ある霞が関関係者だ。
「検察は、もともと安倍政権時の総裁派閥である清和会(安倍派)に恨みを抱いていた。原因は、安倍政権が検察人事に手を突っ込んだ“黒川事件”です。当時、安倍政権は東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長を閣議決定。官邸の守護神と称された黒川氏の検事総長就任が目的だったとみられている。最終的に、黒川氏は賭けマージャンが発覚し失脚しましたが、人事に手を突っ込まれた検察は今も恨みを持っているようです。今回の捜査は、河井元法相の公選法違反事件を手がけた森本宏最高検刑事部長が指揮を執っているようです」(同前)
エース級の検事が次々応援に駆け付け…
4月の東京・江東区長選を巡る、柿沢前法務副大臣の公選法違反事件は特捜部の若手検事が担当し、エース級が派閥裏金疑惑を追っているとみられている。「全国から検事が続々と応援に駆け付けている」(永田町関係者)という。
司直の手はどこまで伸びるのか。浮上しているのは、安倍派のカネの流れを知り得る立場にあった、歴代の事務総長だ。松野官房長官、西村経産相、高木国対委員長に捜査が及ぶ可能性があるとみられているのだ。
「派閥の事務方幹部は、すでに聴取を受けたようだ。『事務方の起訴でシャンシャン』という見方もあったが、どうもその程度では終わらなそうだ。特捜部はバッジを狙っているのだろう」(同前)
元東京地検検事の落合洋司弁護士が言う。
「どこまで立件するのか、検察のヤル気と証拠次第で変わってくると思います。小さくまとめるのだとしたら、資金の出入りを不記載にした派閥の会計責任者を起訴して終わり。ただ、会計責任者の意思ひとつで1億円以上を不記載にできるのか。より上の立場の人物との共謀を示す証拠があれば、派閥幹部を逮捕する展開も考えられます。また、キックバックを受けた議員が勝手に資金を懐に入れたとしたら、詐欺や横領に問われ得る案件だと思います」
幹部らはマスコミから逃げ回っているが、自ら進んで国民が納得できる説明をすべきではないか。