立憲民主党・泉 健太代表 政府4演説に対する代表質問(全文)

施政方針演説に対する代表質問_立憲民主党・泉健太代表20220119 政治・経済

岸田文雄首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が19日、始まった。立憲民主党の泉健太代表は「政策提案型」から踏み込み、政権が先送りや幕引きを図ろうとする課題、姿勢を追及した。

政府4演説に対する代表質問(準備原稿)

 立憲民主党の泉健太です。
 まず新型コロナウイルスにり患した患者の皆様にお見舞い申し上げますとともに、奮闘を続けておられる医療従事者、介護や保育、教育、公共交通、行政など社会基盤を支えるエッセンシャルワーカーの皆様に心から感謝申し上げます。
 また、先のトンガ沖の噴火については、日本の漁船や養殖施設などの被害復旧とともに、トンガへの迅速な支援を行うよう提案いたします。

 こうして、感染症や災害、事故や失業のように、人には、どんなに平穏な日常生活を送っていても、誰にでも突然振りかかってくるリスクが存在します。
 年末、私は仕事や住まいを失った方の一時宿泊支援や相談事業を行っている団体を訪問し、実際にコロナで仕事が激減し、家賃を払えず、家を失った方々から直接話をお聞きました。「何とかしたい。でもどうしようもなくて。」その声が胸に刺さりました。

 成長も賃上げも低位なままで、格差は広がり、将来が見通せない。そんな日本ではなく、人と地球に配慮した新たな経済成長にも挑戦し、同時に富を国民全体に再分配し、社会の各所に手厚いセーフティーネットを構築し、誰もが生きていてよかった、有難い。頑張ろう。と再起できる日本にしようではありませんか。

 新自由主義的な過度な競争や効率化で、多くの人をリスクに追い落とすのではなく、リスクに遭遇した人を「自己責任」だと孤立に追い込むのではなく、私たち立憲民主党は、誰一人取り残すことなく一人一人の再起を応援する。
 そんな「普通の安心が得られる社会」を目指します。

新型コロナウイルス対策

 さて、オミクロン株が急拡大をしています。国民の皆様、マスク、手洗い、換気、身近な感染防止策の徹底をお願いいたします。
 オミクロン株は、重症化率は低くとも感染力が高く、感染者と濃厚接触者の急拡大で、医療機関や高齢者施設、交通、行政などの業務継続に支障が生じる可能性があります。「感染を抑え、医療と社会を守る」「自宅死を阻止する」立憲民主党は、その立場で、質問いたします。

医療提供体制

 まず、政府の対応策を、急ぎオミクロン前提に改善すべきです。例えば、コロナ対策の基本文書である「取組の全体像」の2回目接種者の扱い、そしてまん延防止等重点措置や緊急事態宣言の発令要件も、オミクロン以前の感染力を想定しているものです。
 現に各都道府県も、これまでの基準でまん延防止等重点措置を出すべきかどうか判断が難しくなっています。総理、これらの見直しを速やかに行いませんか。見解をお聞かせください。

 立憲民主党は当初から官邸の「司令塔機能の強化」を提案してきましたが、総理は悠長に「6月を目途に」と演説しました。遅すぎて驚いています。なぜ今ではなく6月からなのか、6月からの司令塔強化策とは何なのか、お答えください。

 加えて問題なのは、「感染症法改正案」の提出見送りです。
 立憲民主党は、既に国会に、緊急事態宣言下で知事から医療機関に、設備、人員の配置の変更等の要請・指示できることを規定した「特措法改正案」を提出しています。自民党も総選挙で「法改正を行う」と公約し、総理も昨年「医療資源確保のための法改正」と明言していたのに、なぜ感染症法改正案の提出を見送るのか。驚いています。なぜ後回しにするのか?すぐ議論しませんか。お答えください。
 ワクチンの3回目接種は更なる前倒しが求められます。今後、ファイザー・モデルナの供給見通しの更なる前倒しについて、お答えください。
 感染初期に有効な経口薬「モヌルピラビル」を自宅療養者に配送する人材が足りていません。当日配送、当日投与を達成すべく、広く宅配業やボランティアの活用も含め柔軟な対応を求めます。
 コロナ禍は予想を上回り長期化しています。多くの事業者の経営環境が激変し、今後の見通しも不透明です。無利子無担保融資の返済猶予や、来年10月からのインボイス制度の延期を行いませんか。総理の認識を伺います。
 立憲民主党は、国民の命と暮らしを守るため、今後もより良い改善提案を続けます。

日本の諸課題

 さて、日本はバブル以降、長期の混迷の中にいます。私たちは、日本が抱え続けている根深い構造的課題の解決にあたらねばなりません。この間の行き過ぎたグローバル化、富の偏在によって、国民生活や地方、そして将来世代が打撃を受けたのです。
 総理は「新しい資本主義」と演説しましたが、その中身は依然不明なままです。来年度予算案を見ても、これまでの政策の焼き直しばかりです。新自由主義的な考え方が基本だったアベノミクスとの政策的な違いはどこにあるのか、具体的にお答えください。

 私たちは、持続可能な日本を実現するための、「3つの分配」を提案します。

 1つ目は「所得の再分配」、この30年間、格差は拡大し、経済は停滞してきました。まさに大半の国民の消費からの経済再生が必要です。

 2つ目は「地方への分配」、この30年間、地方圏は衰退を続けてきました。コロナでは都市の過密解消も求められています。地方圏の通信、交通、教育、介護、住居環境などを格段に向上させ、地方圏人口を増やす「地域からの再生」を図るべきです。

 3つ目は「将来への分配」、この30年以上、少子化傾向が変わらず、縮小再生産の不安が高まっています。今こそ、日本の将来をつくる若い世代に率直に向き合い、課題解決の糸を探るべきです。

分配① 所得の再分配

 まず、1つ目の「所得の再分配」について伺います。我々は、先の総選挙でも、所得層によってはご負担をお願いする厳しい政策ですが、所得税の最高税率の引き上げ、金融所得課税の強化を正面から訴えました。
 ですが、総理の施政方針演説には、具体的な所得再分配政策が見当たりません。どこにあるのか教えていただけますか。
 あえて言えば、給与を増やした企業の法人税を下げる「賃上げ税制」でしょうか。しかし約7割の企業は赤字経営で、これ法人税はゼロ。賃上げ税制の対象外です。インセンティブが働きません。
 立憲民主党はこの点、中小企業が新たに正社員を増やした場合に、社会保険料事業主負担の軽減を提案しています。また希望する非正規雇用の方々の正社員化を進めるための派遣法の見直しを行うべきと考えます。この2点に関する、総理の見解を伺います。正社員となることで、生活の安定性が高まれば結婚や出産も考えられる。そんな社会を目指します。
 政府の賃上げ税制自体も、ボーナスや残業代を含む「給与等支給額」の増加が要件ですが、安定的な可処分所得の増加とそれによる消費の活性化を図るなら、基本給の増加を要件にしてはどうですか。お答えください。
 最低賃金については、中小企業への公的助成とともに段階的に引き上げ、将来的には1500円を目指しましょう。総理は「早期に全国加重平均千円以上」と述べました。時給千円でも、週5日8時間勤務で、月収16万円。これではぎりぎりの生活にしかなりません。過去の政権とどこが違うのか、お答えください。

ベーシックサービス

 現在、子育て、教育、医療、介護、障がい者福祉など、誰もがいつかは必要とするベーシックサービスに従事する人材の賃上げは急務です。「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、全産業平均に比べて現金給与額の月額は、保育士、介護職員、が8万円程度低く、人材不足の要因となっています。
 立憲民主党はこれも既に、ベーシックサービス従事者の賃金引き上げの2法案、具体的には、「介護・障害福祉従事者の月額1万円改善法」と「保育・学童クラブ従事者の月額5万円改善法」を提出しています。

 こうした提案は政府にも届き、政府は来年度予算で、介護・障害福祉職員、保育士等の賃金を3%程度、月額9000円引き上げることとしました。しかしこの上げ幅は十分ではありません。総理は、これらの職種において、全産業平均比で、どこまでの賃上げを目指そうとしているのか、お答えください。
 また政府は、介護職員等の賃上げを、来年度後半から「報酬改定」で対応するとしました。これだと報酬が上がると利用者負担も上がることになります。今後引き上げる介護職員の9,000円分の賃上げは、利用者負担を増やさない形で行うべきと考えますが、総理お答えください。
 この分野では、外国人材の活用も進んでいますが、賃金や労働条件、生活相談や多文化共生施策なども充実させ、入管法も改めねば、外国人材はいずれ日本に来なくなります。こうしたことについていかがお考えですが。

分配② 地域活性化

 二つ目の分配は地域への再分配です。地域課題について伺います。
 総理は、デジタル田園都市国家構想で、地方のデジタル化を進め、インフラをバージョンアップさせるのならば、この際明確に、目標の一つに、地方圏の人口増を掲げてはいかがでしょうか。お答えください。

農業

 農林水産業・農山漁村は、古来より我が国の食文化や精神文化を形成し、現代においても、水源の涵養や生物多様性の確保、食料供給、輸出、地域振興などにおいて重要な役割を担っています。今後も後継者や就業者を育成し、生業として成り立つ仕組みを整えていかねばなりません。

 そこで、水田から畑への転換に協力した農家を支援する水田活用の直接支払い交付金について伺います。政府は令和4年度からの見直しを進めていますが、耕作放棄地化や、土地改良区の頓挫などを懸念する声が挙がっています。昨年秋に唐突に打ち出され、既に交付金を前提に来年度の種子や肥料の手配を終えてしまい対応できないという声もあります。
 本当に令和4年度から強行するのですか?お答えください。

再生可能エネルギー

 今、次世代を担う多くの若者が「気候危機」に懸念と抗議の声を挙げています。立憲民主党は、日本が脱炭素化など気候危機対応の分野において世界を主導するとともに、国内では再生可能エネルギーの導入で地域の自立を図るべきだと考えます。
 自治体が、また住民や地元企業が、再生可能エネルギーを生み出すことは、地域に雇用も生み、域内経済の活性化にもつながります。
 第6次エネルギー基本計画においては、再エネについて「主力電源化を徹底し、再エネに最優先の原則で取り組む」とされていますが、例えば住宅用太陽光発電の国内における普及率は2019年で9%であり、導入件数も鈍化しています。住宅用太陽光発電の更なる普及を制度的に後押ししませんか?

 また立憲民主党の提出法案「公共施設省エネ・再エネ義務化法」は全国の公6共施設の改修や新築において、省エネ再エネ導入の義務化を図るもので、地域活性化にもつながります。この提案はいかがですか?問題点があればご指摘ください。

分配③ 将来への分配

少子化対策

 三つ目の分配は、少子化対策と教育です。
 我が国の家族関係政府支出は、GDP比で1.73%。先進国の中で最低水準。欧州諸国に比べると半分程度です。総理、低すぎるとは思いませんか?
 この国会では『子ども家庭庁』設置も議論されます。ただ、より大事なのは、必要な助けやゆとりが得られる子育て環境をつくることです。
 現在の家族関係政府支出は少なすぎます。総理の演説には若者世代の所得引き上げが書かれていましたが、具体策はありませんでした。具体策を提示してください。

 子育て支援策において所得制限はやめるべきです。普遍主義にすべきです。親の所得は変動します。18歳以下の子どもへの10万円給付も、児童手当も、子どものための支援ならば、所得制限はなくすべきです。そして児童手当は高校卒業年次まで拡充すべきです。総理はどうお考えですか。

 総理、子どもへの10万円給付で問題が起きています。ご存じですか。
 昨年9月以降に離婚した世帯の推計4万人の子どもに、給付金が届かない事例が相次いで確認されているのです。なぜか。
 昨日、当事者の方、支援団体の方に直接お会いし、話を伺いました。
 「DVが理由で子ども3人を連れて離婚。なのに30万円は、支給決定時点で世帯主だった元世帯主の口座に振り込まれた」「自治体からは『元世帯主と連絡して受け取ってもらいたいというのが国の方針』と言われたけど、無理です。」との声でした。
 総理、国は本当にそんな方針なのですか。ぜひ「聞く力」発揮してください。ここを改善してください。立憲民主党は昨日、離婚世帯子ども給付金支給法案を国会へ提出しました。総理、こうした子どもたちに国費で給付金を届けるよう指示いただけませんか。

教育

 日本は他の先進国に比べ、高等教育に関する家計負担が重すぎます。人を育てなければ国の未来はありません。日本政府は、すでに国連社会権規約を批准し、中等・高等教育を漸進的に無償化する責務を負うことを国際的にも明確にしています。総理、立憲民主党の提案する、国公立大学の授業料半額化や、給付型奨学金の大幅拡充を進めるつもりがあるか、お答えください。

各課題

文書通信費

 これまで国会で議論となっていることについて伺います。文書通信交通滞在費についてです。立憲民主党は、昨年の臨時国会で、①日割、②差額の国庫返納、③使途報告・公開、の三点セットの法案を提出し、自民党に速やかな対応を求めています。自民党から各党各会派に対し、協議の呼びかけがありましたが、議論を長引かせることなく、全議員共通のルールを作り使途を公開すべきと考えます。そうした指示を党にしていただけませんか?

赤木裁判

 森友問題で公文書改竄を強いられ、命を絶った赤木俊夫さんに関する裁判についてです。国は突如認諾し、一億円以上の賠償金を払い、真相の究明を願うご遺族からの裁判を終結させました。
 先日、ご遺族の赤木雅子さんとお会いしました。思いは一つ「真実を知りたい」でした。
 総理、なぜ認諾したのですか。実直な公務員だった夫を、権力が精神的に追い込み、死に追いやった。でも財務省の調査報告書では、その真相は明らかになっていないのです。遺族の問いに答えていないのです。だからこそ真相を知るために訴訟したのです。認諾はその究明を妨害したのです。

 岸田政権誕生の意義は、安倍・菅政権による文書改ざん、隠ぺい、虚偽答弁の政治を清算することにあったのではないのですか。総理の「聞く力」「謙虚さ」は嘘なのですか。嘘でないならば総理、直ちにご遺族の疑問に答える真相究明を指示してください。黒塗りファイルの全面開示を指示してください。検察が持つ全資料の開示を指示してください。
 そして認諾の賠償金は、国民の税金からではなく、公文書改ざんを指示した人物に負担を求める、つまり求償権を行使すべきです。総理の答弁を求めます。

学術会議

 総理は、日本学術会議の梶田会長と面談したものの、学術会議法に違反する任命拒否の状態が続いています。学問の自由の観点からも、学術会議の独立性・自律性が尊重されるべきです。総理、現状違法状態という認識はあるのかないのか、理由も含めてお答えください。
 その他、建設統計の不正問題、衆議院の10増10減などの論点は、この後の小川政調会長に譲りたいと思います。

外交・安全保障

核不拡散

 自由、民主主義、人権、法の支配を原則に、我が国は特に非軍事手段としての外交、経済活動、人間の安全保障の観点からの国際貢献に重点を置くべきです。今年3月の核兵器禁止条約第一回締約国会議にオブザーバー参加してはどうですか、お答えください。

拉致問題

 昨年12月18日、拉致被害者家族会前会長の飯塚繁雄さんが、妹の田口八重子さんの帰国を果たせぬまま亡くなられました。痛恨の極みです。総理、代々の総理が何年も施政方針演説で「条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意」との言葉を繰り返し、今回の岸田総理の演説もまた一字一句同じでした。これでは不誠実です。今年中に、何か行動を起こす。その決意があるか、お答えください。

地位協定改定

 日米地位協定の見直しです。沖縄や岩国など、米軍基地からのオミクロン株感染拡大は、国民の命と暮らしに直結する問題です。日米地位協定第9条では日本の検疫法が適用除外となっています。この部分を改定することにどんな不都合があるかお答えください。
 実は検疫だけの問題ではなく、基地への立ち入り、環境基準、訓練承認、事故調査などは、ドイツやイタリアなど他国ではホスト国に権限がありますが、日本ではすべて米軍主導となっています。総理、他国並みのホスト国権限を米国に求められない理由をお答えください。
 立憲民主党は地位協定見直しの協議入りを求めます。総理の見解をお答えください。

辺野古基地

 沖縄県名護市の辺野古基地建設。今後の基地運用上も看過しがたい軟弱地盤が判明し、工事費も当初から大きく膨張、今後更なる米海兵隊の運用見直しの可能性も含めれば、進めるべきではない。それが辺野古の基地建設です。辺野古は中止すべきです。総理の見解をお願いします。

経済安全保障

 米中のせめぎあいの中で、政府は企業の公正な競争環境を確保せねばなりません。米政府が日本企業に中国との取引規制を求める一方で、米国企業には個別に許可しているといった不公正な扱いがないか。米国法の域外適用によって、日本企業が中国の半導体市場においてどの程度影響を受けているのかを調査していますか。米国には「日米の企業に公平な扱いを」と求めるべきと考えますが、いかがですか。

自国民保護

 総理は、危機に晒された海外在留邦人を輸送する自衛隊法改正案を国会提出すると演説しました。果たしてどのような改正案なのでしょうか。あらゆる国と地域を想定すれば、例えば台湾からの邦人輸送はどう確保していくのか、これも重要な課題となるでしょう。
 一方、昨年8月のアフガンからの邦人退避については、岸防衛大臣が「自衛隊法が障害となった事実はない」と発言しています。総理、何を改正するのですか。お答えください。

敵基地攻撃能力

 1956年の鳩山一郎首相の答弁に基づく必要最小限の反撃は、法理上、当然可能だと考えます。また周辺国の状況に応じた防衛能力の向上も必要です。
 ただ立憲民主党は、国民のために、国家間の暴発を防ぎ、現実的な防衛政策の展開を目指す立場から、指摘をいたします。

 現代は周辺国の列車や潜水艦、移動式発射台などからミサイル発射が相次ぐ時代です。基地攻撃だけで、敵国からの攻撃を防げるものでもなく、また敵基地攻撃を実行したならば、その後は全面戦争への突入も想定され、国民の命を危険にさらします。
 抑止力として機能させるには、米軍ほどの打撃力が必要です。だから専門家も、米国と日本の明確な役割分担、いわゆる日本は盾、米国は矛、との役割分担が必要だ。と述べているのです。サイバーや衛星、電磁波技術などの活用は検討の余地があるでしょう。しかし日本が矛を担うかどうかの議論が曖昧なまま、用語の整理もせぬまま、なし崩し的に防衛予算をつぎ込むことは、防衛予算の過度な圧迫を招くだけでなく、今後の防衛政策をいびつにしてしまいます。

 総理、この敵基地攻撃能力の保有は米国から要望があるのか。お答えください。保有を検討すべきとしている敵基地攻撃能力とは、我が国への攻撃の着手があった場合の反撃能力を指すのか、それとも、存立危機事態、つまり集団的自衛権に基づく防衛出動時に、我が国に対する攻撃着手がない段階でも、他国を攻撃する能力も想定しているのか、お答えください。
 またどのような兵器が想定されるか具体的にお答えください。
 こうした「国家安全保障戦略」の改定は、絶対に政府与党のみで決定してはなりません。「国会で議論する」総理はこれを約束すべきです。答弁を求めます。

皇室・憲法

有識者会議の報告書

 昨年末、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議が報告書を取りまとめました。しかし、附帯決議が求めていた安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等については、なんと結論も方向性も示しませんでした。

 有識者会議の設立趣旨は、附帯決議の課題をまとめるではなかったですか。総理はこの報告書が、その趣旨を満たした報告書だと考えていますか。議事録の公開、議論のやり直しの必要性についても、お答えください。
 立憲民主党は、党内に検討委員会を立ち上げました。有識者会議報告書を検証し、附帯決議の求めに沿った提言をまとめたいと思います。
 附帯決議では、政府から報告を受けた国会が「安定的な皇位継承を確保するための方策について、『立法府の総意』が取りまとめられるよう検討を行う」となっています。総理も、「有識者会議の報告はあくまで参考」最終とりまとめは立法府に委ねられている。との認識でよろしいですか。

憲法

 憲法です。立憲民主党は、「論憲」の立場です。
 「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持し、「立憲主義」を深化させる立場から、国会においても真摯に憲法議論を行ってまいります。

 その上で総理、憲法に自衛隊を書かねば日本の防衛に不備が生じる、緊急事態条項を書かねば国民の命を守れない、高等教育の無償化を明記せねば高等教育の充実は不可能とお考えですか。お答えください。

 また憲法改正手続きにおいて先に整備が必要な国民投票法について、まず外国から不当な干渉を受けぬようCM規制、ネット広告規制、などの議論を優先して行ってまいります。

 立憲民主党は、憲法の改正は、中央集権など国家権力を強大にするものではなく、国民の権利を奪うものではなく、平和構築に反するようものであってはならないと考えます。これからも改正が必要であるかを議論し、国民の皆様に示してまいります。

 以上、私たち立憲民主党は、国民の自由と多様性、ジェンダー平等を大切にし、人にやさしい持続的な経済成長を目指す政党です。
 この通常国会においても、国民の生活と地方、将来世代、そして平和を守る立場から、現実的でバランス感覚のある政策提案を続けてまいります。同時に政府や提出法案に問題点があれば、鋭く指摘し是正してまいります。

 衆参140名の国会議員だけでなく、立憲民主党は、北は北海道から南は沖縄県まで、全国 1200 名以上の自治体議員が、国民の皆様の声を伺い、提案を立案し、実現する活動を続けます。ぜひ皆様の声をお寄せください。

 今後も着実に、まじめに、前向きに、声を集め、国民の幸せのために働き続けることを、お約束申し上げ、私の質問といたします。