立憲・森ゆうこ副代表 岸田総理の所信表明演説に対する参議院代表質問(全文)

政治・経済
  1. 立憲・森ゆうこ副代表 岸田総理に対する参議院代表質問
      1. 予算委員会、開きませんか。
      2. オリンピックのために7000名も医療従事者を集めた。
      3. 公立・公的病院を削減する地域医療構想はもうストップしませんか。
      4. 科学的根拠に基づいた合理的な感染対策に転換しませんか。
      5. アベノミクスは成功したのか、失敗したのか。
      6. 日本だけがなぜ時給が上がらずマイナスになったのか。
      7. 弱肉強食、市場原理万能の新自由主義から決別するのか、しないのか。
      8. 新自由主義の旗振り役である竹中平蔵氏と決別することを勧める。
      9. 国の政策に大きな影響を及ぼす規制改革推進会議、国家戦略特区WG
      10. 消費税5%への時限的減税、所得税の減税
      11. 後期高齢者の窓口負担2倍に、児童手当特別給付の削減
      12. インボイス制度の導入
      13. クリーンエネルギー成長戦略とグリーン成長戦略はどのように違うのか。
      14. 今後は親になる世代の人口が減少し、出生数を増加に転じさせることは極めて困難
      15. 子ども政策に関して自民党は大胆な政策転換ができるのか。
      16. 人口減少する地域の農林水産業と後継者不足の中小・小規模事業
      17. 選択的夫婦別姓、LGBT、ジェンダー平等
      18. 憲法改正、特に緊急事態条項の創設について
      19. 拉致問題、これまでの総括と今後の打開策
      20. なぜ担当大臣を置かないのか。
      21. 我が国の民主主義の危機
      22. 選挙に勝つため、お金を使い業者を雇ってネット工作
      23. 1億5000万円がネット工作に使われていなかったか。
      24. フェイクニュースを発信して野党を攻撃
  2. 森ゆうこ議員に対する岸田文雄内閣総理大臣の答弁
  3. 野田聖子国務大臣の答弁

立憲・森ゆうこ副代表 岸田総理に対する参議院代表質問

立憲民主党副代表の森ゆうこでございます。私は、立憲民主・社民の会派を代表して質問いたします。

岸田総理、御就任、誠におめでとうございます。偏狭なナショナリズム、今だけ、金だけ、自分だけ、そんたく政治、もう飽き飽きなんです。穏健な保守を代表する岸田総理に御期待を申し上げております。

予算委員会、開きませんか。

今年八月、新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中だった妊婦の方が、入院先が見付からず、一人自宅で出産、赤ちゃんが亡くなるという本当に痛ましい事件が起きました。私は三人子供を産み育てましたが、たった一人で出産するなんということは想像したことはありません。どんなに怖かったでしょう。どんなに苦しかったでしょう。胸が詰まる思いです。

私たちは、オリンピック開催下で感染爆発し、医療が崩壊の危機に瀕している、そんな状況から国民を救いたい。国会を開いて迅速に対応することを何度も強く求めました。いえ、懇願しました。でも、自民党は、公明党は、政府は応じてくれませんでした。

私は、参議院予算委員会の野党筆頭理事です。岸田総理、予算委員会、開きませんか。一年前の今頃も感染は小康状態で、でも第六波は必ず来ます。そして、苦境にあえぐ生活者、事業者はもう限界なんです。今審議をして予算を通さなければもう間に合わない。そう思いませんか。見解をお願いいたします、総理。

オリンピックのために7000名も医療従事者を集めた。

野党の修正が反映された特措法の改正によって臨時医療施設はいつでも開設できるのに、菅政権は国主導で開設しても医療従事者の確保が困難だと言ってきました。しかし、オリンピック対応の医療従事者は七千人も集めました。なぜオリンピックのために集められて、自宅で放置されているコロナ感染症患者を救うためには集めることができないんでしょうか。総理、教えてください。

公立・公的病院を削減する地域医療構想はもうストップしませんか。

消費税を使って公立・公的病院を削減する地域医療構想はもうストップしませんか。安倍、菅政権は、コロナ禍で病院のベッドを増やさなければいけないのに、ベッド数を削減するという支離滅裂な政策を進めてきました。こんなばかげたことはもうやめませんか。

コロナ感染症が発生した去年の一月から今年七月までの間、一体、公立・公的病院のベッドを何床減らしましたか。幾ら予算を使いましたか。総理、具体的な数字でお答えください。

科学的根拠に基づいた合理的な感染対策に転換しませんか。

この際、支離滅裂な政策をやめて、科学的根拠に基づいた合理的な感染対策に転換しませんか。新型コロナウイルス感染症の主たる感染経路は空気感染。これが今の世界の常識です。WHOやCDCも認めています。八月十八日に日本の科学者たちが最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明を出し、空気感染を前提に対策を取るように提言しました。

こうした指摘を踏まえ、空気感染を前提に、高性能の不織布マスク装着や換気の重要性を国民に周知し、熱交換換気装置などの導入を支援したり、公共交通機関等における換気対策を支援すべきであると考えますが、総理の見解を伺います。

アベノミクスは成功したのか、失敗したのか。

岸田総理の答弁に驚きました。アベノミクスの自慢話の中で、さっきもありましたけど、六重苦と言われた旧民主党政権の経済苦境とか民主党政権の失敗から学んだとか、まるで安倍元総理が乗り移っているようで、全然岸田さんらしくないですよ。

民主党政権はたったの三年ですよ。もう十年近くたつのに、まだ民主党の悪口を言わないと自分たちを正当化できないんですか。結局、悪口を言っただけで、アベノミクスの評価にはストレートに答えませんでした。総理、アベノミクスは成功したんですか、失敗したんですか。はっきり御答弁ください。

日本だけがなぜ時給が上がらずマイナスになったのか。

過去二十年間、時給の変化、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、主要先進国各国では六〇から八〇%増加しました。しかし、日本だけが九%も下落しているんです。庶民の生活が苦しいままでは、経済が良くならないのは当たり前じゃないですか。

この二十年間のうち、ほとんどの期間は自民党政権でした。主要先進諸国が大幅に時給を増加させている中で、なぜ日本だけが時給が上がらずマイナスになったのでしょうか。総理、その理由をどう分析されていますか。お答えください。

弱肉強食、市場原理万能の新自由主義から決別するのか、しないのか。

岸田総理は、新自由主義からの転換を高らかに主張されていたと思いますが、この間の答弁で、本当に転換する気があるのかどうかよく分からなくなってきました。弱肉強食、市場原理万能の新自由主義から決別するのですか、しないのですか。どちらなのか、はっきりと御答弁ください。

新自由主義の旗振り役である竹中平蔵氏と決別することを勧める。

新自由主義からの決別を国民に分かりやすく示すならば、新自由主義の旗振り役であると多くの国民が認識している竹中平蔵氏と決別することをお勧めします。総理、いかがですか。

国の政策に大きな影響を及ぼす規制改革推進会議、国家戦略特区WG

国の政策に大きな影響を及ぼしてきた規制改革推進会議、国家戦略特区ワーキンググループなどのいわゆる官邸会議の構成員は、選挙で選ばれたわけでもなければ、利益相反や守秘義務について定めた国家公務員倫理規程が必ずしも適用されません。このような無責任な体制を改めるべきではありませんか。総理の見解を伺います。

消費税5%への時限的減税、所得税の減税

総理、分配を重視するというなら、なぜ庶民減税を行わないんですか。立憲民主党は、消費税五%への時限的減税、所得税の減税を提案しています。分配のために減税をすべきではないですか。なぜ減税を行わないのですか。理由をお答えください。

後期高齢者の窓口負担2倍に、児童手当特別給付の削減

分配を重視するというのであれば、庶民への負担増は厳に慎むべきではないでしょうか。来年度後半からは、後期高齢者の窓口負担が二倍になります。来年の十月からは、子育て罰の厳罰化とも言われた児童手当特別給付の削減が行われ、新たに所得制限が設けられます。

若い人たちから、子育てと両立しながら綱渡りで一生懸命働いて、税金も保険料も真面目に納めているのに、働いて収入が増えると児童手当さえも削られる、何でこんないじめを受けなきゃいけないんだという怒りの声が数多く寄せられました。これらは我々の反対を押し切って決められましたが、いずれも中止すべきではないですか。総理の明快な御答弁を求めます。

インボイス制度の導入

中小・小規模事業者への追い打ちもやめてください。消費税一〇%への増税の言い訳として軽減税率が採用され、インボイス制度の導入が予定され、今月から申込みも始まっています。

地域の中小事業者や税理士会からは、インボイス制度で取引過程から排除されたり廃業を迫られたりする免税事業者が生じる、とりわけ中小・小規模事業者にとってはインボイスの発行、保存に係るコストが大きな負担になるといった問題が指摘されています。中止してほしいという要望を地元でもたくさん受けています。総理、どう対応されるんでしょうか。

クリーンエネルギー成長戦略とグリーン成長戦略はどのように違うのか。

ところで、所信表明の中にあったクリーンエネルギー成長戦略とはどのようなものなのでしょうか。総理、昨年の十二月に二〇五〇カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略は策定済みですが、クリーンエネルギー成長戦略とグリーン成長戦略はどのように違うのでしょうか、お答えください。いや、多分、原発を推進するという意味じゃないかと私は思っているんですけど。

今後は親になる世代の人口が減少し、出生数を増加に転じさせることは極めて困難

総理の所信表明には人口減少という言葉がありませんでした。二〇二〇年の出生数は八十四万人、これは、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口より三年も早いペースです。

ちょうど十二年前、民主党政権の時期は、第二次ベビーブーム世代がぎりぎり出産適齢期でした。少子化、人口減少を食い止める最後のチャンスでした。民主党政権では子ども手当を創設しましたが、当時の野党自民党からは、子育ては自己責任だろう、ばらまきだと猛烈な批判を受け、子ども手当は頓挫しました。

安倍元総理は、子ども手当によって民主党が目指しているのは財政を破綻させることだけではなく、子育てを家族から奪い取り、国家や社会が行う子育ての国家化、社会化です、これは実際にポル・ポトやスターリンが行おうとしたことですなどと、ばかばかしい批判を展開しました。

第三次ベビーブームは幻に終わりました。自民党の責任じゃないんですか。これからは親になる世代の人口が少なくなります。これから出生率が上がったとしても、出生数を増加に転じさせることは極めて困難です。この冷徹な事実を総理は認識していますか。国の存続の危機ではないですか。総理の認識をお答えください。

子ども政策に関して自民党は大胆な政策転換ができるのか。

私たち立憲民主党は、チルドレンファースト、社会全体で子供の育ちを支えるという理念の下、子ども・子育て予算を倍増します。子ども省を創設します。出産費用を無償化します。児童手当の所得制限撤廃と対象の拡大を行い、義務教育の学校給食を無償化、高校授業料無償化の所得制限を撤廃します。まだまだあります。

従来の自民党の考え方を転向しないと、このような大胆な政策は実現できません。安倍元総理が乗り移っているように見える岸田総理にできますか。明快な答弁を求めます。

人口減少する地域の農林水産業と後継者不足の中小・小規模事業

また、地域に根差した農林水産業、中小・小規模事業者の後継者不足などが深刻です。総理は、こうした地域の人口減少にどのように向き合いますか。

私たちは、地域の潜在力を生かした自然エネルギー立国、多面的機能を十分に発揮できる農林水産業、農山漁村など、地方が活力に満ちあふれるような産業政策を実現していきます。

選択的夫婦別姓、LGBT、ジェンダー平等

野田聖子大臣にお聞きします。

岸田総理は、多様性が尊重される社会を目指すと言いながら、選択的夫婦別姓、LGBT、ジェンダー平等についてほとんど意味のない答弁を繰り返しています。どうなっているんですか。これでいいんですか。

自民党は、選挙公約から選択的夫婦別姓という言葉さえ削除しました。賛成の人と反対の人の意見をよく聞いて、反対の人の言うことを聞いたということなんですかね。

憲法改正、特に緊急事態条項の創設について

参議院予算委員会の小ばなしをさせてください。

昨年一月二十九日、武漢からチャーター機で初めて邦人が帰国したとき、まだコロナ政府対策本部は設置されていませんでした。昼休みに当時の加藤厚労大臣になぜ設置しないのかと聞いたところ、上が聞いてくれない、森先生から働きかけてほしいと頼まれ、午後の審議開始直前、翌日に対策本部を設置することが大臣席でのミニ閣議で決まりました。加藤さんからは大変感謝され、私は笑顔で、一つ貸しなと言いました。

感染症二類相当の施行日前倒しも、最高裁の判例を探してサポートしました。マスクの買占め、高値転売防止に使える法律に提案したときには、使える法律を提案したときには、衛藤消費者担当大臣からわざわざお礼に来られました。

誤解していただきたくないんですが、私は、野党の働きに感謝をしろとか、もっと褒めてくれと言っておるわけじゃないんです。政府対策本部の設置に始まり、法律の適用、現金給付の法案などなどなどなど。実は手を取り足を取り、野党が政府のお尻をたたきながら、後手後手であっても何とか対策を実施してきたのが実情なんです。

しかし、自民党からは事あるごとに、憲法に緊急事態条項がないからコロナ対策がうまくいかないと言われました。

冗談でしょう。こんな無能な政権に、国会の審議なしに法律と同一の効力を持つ緊急政令の制定権を認める緊急事態条項などを与えたら、一体どうなっていたでしょう。憲法改正の口実が欲しかったとしても、余りにもお粗末です。

総理は御自身のお考えとして、憲法改正、特に緊急事態条項の創設をどうしても進めたいのですか。お答えください。

拉致問題、これまでの総括と今後の打開策

二〇〇二年七月十七日に北朝鮮が拉致を認め、五名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、ただの一人も拉致被害者の帰国は実現せず、拉致被害者の方々の消息に関する新たな情報もなく、何の道筋も付けられないまま十九年が経過しました。私は、二〇〇五年に横田めぐみさんの御両親と一緒に、韓国の故金泳三元大統領の御自宅で、金正日総書記のナンバーツーで北朝鮮から亡命した黄長ヨプ氏と会談し、北朝鮮が死亡と発表していた拉致被害者が生きている、めぐみさんは生きていると確信しました。

残念ながら、横田滋さんは昨年帰らぬ人となり、お元気なうちにめぐみさんと再会を果たしてほしいというみんなの願いはかないませんでした。今、拉致問題の解決に一刻の猶予もないという言葉の重みを痛感しています。

この度の生方衆議院議員の誠に許し難い発言について、立憲民主党拉致問題対策本部長として心からおわびを申し上げます。

立憲民主党は、昨年の結党後、直ちに拉致問題対策本部を立ち上げ、私が本部長となり、枝野代表にも参加していただき、これまで、家族会、救う会、特定失踪者問題調査会、関係者の皆様としっかりとお話を伺い、緊密に連携を取り、運動を共にしてまいりました。我々は拉致被害者が生存していると信じています。北朝鮮による拉致問題は主権と人権の重大なる侵害であり、早期に全ての拉致被害者が帰国できるよう全力で取り組んでまいります。

総理は、御自身が外務大臣を務められた時期もあったこの間、拉致問題について何の成果も得られなかった事実をどのように総括されていますか。その上で、どのようにしたらこの状況を打開できるとお考えですか。具体的にお答えください。

なぜ担当大臣を置かないのか。

拉致問題は最重要課題であるはずなのに、なぜ専従の担当大臣を置かないんでしょうか。横田早紀江さんは、いつまでたっても本気でないのかなと落胆されています。総理の見解を伺います。

我が国の民主主義の危機

岸田総理、今まさに我が国の民主主義そのものが危機にあると訴えてこられました。安倍元総理の百十八回の国会虚偽答弁や、公文書の改ざんが行われ自殺者まで出たのに政治家が誰も責任を取らないことは民主主義の危機かという辻元清美衆議院議員の極めて具体的な質問に対して、総理はこう答えられました。

国民の声が政治に届かない、政治の説明が国民の心に響かない、こういった状況を捉えて、今まさに我が国の民主主義そのものが危機である、このように申し上げた次第です。

意味が分かりません。

このように、国会において内閣総理大臣が質問にまともに答えない、これこそが民主主義の危機ではないですか。総理、明確にお答えください。

選挙に勝つため、お金を使い業者を雇ってネット工作

河井案里前参議院議員の裁判の過程で、河井克行元法務大臣が業者を雇い、架空の人物を名のったブログ記事で対立候補のイメージ悪化を狙った投稿をするなどのネット工作を行ったことが分かりました。

日本でも、選挙に勝つためにお金を使い、業者を雇ってネット工作を行っているという事実は、陰謀論の類いと思っていたが本当だったのかと人々を驚かせました。しかも、自民党の法務大臣です。

これは民主主義の危機ではないですか。総理、お答えください。

1億5000万円がネット工作に使われていなかったか。

自民党本部から河井陣営に渡った政党交付金を原資とする一億五千万円がネット工作による世論操作に使われていたとすれば、選挙という民主主義の根幹を税金を使ってゆがめたことになります。

総理、一億五千万円がネット工作に使われていなかったと断言してください。お答えください。

フェイクニュースを発信して野党を攻撃

今、同僚の小西、杉尾両参議院議員が行った発信者情報開示請求手続により、重要な問題が明らかになってきました。

国会質疑の動画を編集して、本来の意図とは全く違う内容のフェイクニュースをつくり上げ、拡散し、野党を攻撃してきたツイッターアカウントの運営者が法人であることが分かりました。しかも、バズフィードニュースの調査によれば、その法人は、自民党の議員や支部との、自民党の支部との取引があることも分かりました。

間もなく解散・総選挙が行われます。総理、今回の選挙では、お金を使ってネット工作を行い、選挙の結果を不当にゆがめるような卑劣な行為を自民党の議員に行わせないとこの場でお約束いただけませんか。総理の明確な御答弁をお願いします。

 ◇   ◇   ◇

今だけ、金だけ、自分だけ……。一部の人だけが得をする忖度政治はもうやめましょう。政治の変える、政治を変えるのは主権者の皆さんです。そう訴えて、この場での質問を終わります。

ありがとうございました。

森ゆうこ議員に対する岸田文雄内閣総理大臣の答弁

森ゆうこ議員の質問にお答えいたします。

新型コロナ対応の予算についてお尋ねがありました。新型コロナの感染が落ち着いている今こそ、様々な事態を想定し、徹底的に安心確保に取り組んでまいります。

医療提供体制については、病床、医療人材の確保、在宅療養者に対する対策など、対応策の全体像を早急に国民にお示しするよう、コロナ病床が十分に稼働しなかったことなど、この夏の反省も踏まえ、今週中にその骨格、お示しいたします。

国民の切実な声を踏まえ、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、総合的かつ大胆な経済対策を策定いたします。総選挙後、速やかに決定して補正予算を提出いたします。

また、補正予算成立までの間も、事業や雇用、暮らしを守るための支援に万全を期していくとともに、必要な対策を、新型コロナ予備費などを柔軟に活用してまいります。

総選挙後、速やかにこうしたコロナ対策あるいは経済対策、思い切って行うために、早期にこの総選挙をお願いした、お願いすることを表明させていただいた次第であります。

臨時の医療施設の開設等についてお尋ねがありました。

臨時の医療施設については、地域の実情を踏まえ、各都道府県において開設いただくものであり、全国各地で設置が進んでおり、現在、二十五都道府県の四十五施設となっております。この夏に病床が逼迫した状況も踏まえ、新型コロナの感染が落ち着いている今こそ、様々な事態を想定し、徹底的に安心確保に取り組んでまいります。

医療提供体制については、病床と医療人材の確保、在宅療養者に対する対策など、対応策の全体像を早急に国民にお示しするよう指示を出し、今週中にその骨格、示させていただきます。その中で、臨時の医療施設や医療人材の確保にもしっかりと取り組んでまいります。

また、御指摘の政策については、質の高い医療を効果、効率的に提供できる体制を構築するため、地域での合意を踏まえ、自主的に行われる病床の減少に対する支援を行うものです。開始初年度である昨年度に支給対象となった公立・公的病院の病床数は約一千百床、予算の執行額は約二十億円であります。

いずれにしても、公立・公的病院の在り方については、病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえつつ、地方自治体と連携して検討を進めてまいります。

科学的知見に基づく新型コロナ対策についてお尋ねがありました。

昨年七月に、WHOが新型コロナの感染経路に関する見解として、特に室内の密集した空間等でのエアロゾル感染のリスクについて発表しており、我が国としてもそうした知見も踏まえて対応してまいりました。

議員が指摘、議員が提案された不織布マスクの装着方法や具体的な換気の手順については、既に国民に周知しているところです。

また、御提案の熱交換換気装置などの導入についても、令和二年度第三次補正予算や地方創生臨時交付金等を活用し、既に公共交通機関等においても導入を支援させていただいております。

アベノミクスと賃金の推移についてお尋ねがありました。

アベノミクスによって、デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大しました。我が国経済の成長、そして体質強化に大きな役割を果たしました。

賃金については、OECDの時給のデータによれば、過去二十年の変動率はマイナスですが、二〇一二年以降の八年間ではプラス二%に転じております。賃金が伸び悩んでいるのは、雇用が増加する中で、相対的に賃金水準の低いパートで働く方の比率が上昇したことなどが要因となったと考えております。

今後とも、最大の目標であるデフレからの脱却に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努め、その上で、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現、目指してまいります。

働く人への分配機能の強化、看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入増などを通じ、成長の果実をしっかりと分配し、広く国民の所得を上げていくことで初めて次の成長が実現いたします。成長も分配も実現するために、官と民が共に役割を果たしながら、あらゆる政策を動員いたします。

新自由主義についてお尋ねがありました。

新自由主義的な政策には様々な捉え方があると思いますが、市場原理あるいは競争原理に偏重したという評価が多くあります。

私が目指すのは、そうした単に市場や競争だけに任せるのではなくして、官と民が共に役割を果たしながら成長を実現し、そしてその果実をできる限り多くの方々に所得という形で実感していただける社会です。そうした社会に向けて、成長と分配の好循環による新しい資本主義、実現してまいります。

また、人事に関わる御質問がありました。

人事に関わるお答えは差し控えるべきだとは思いますが、御指摘の規制改革推進会議や国家戦略特区ワーキンググループについては、議論の透明性の確保に努めるなど、法令にのっとりオープンなプロセスで進められており、これは無責任という御指摘は当たらないと考えております。

そして、消費税、所得税の減税、後期高齢者の窓口負担の見直し及び児童手当の見直しについてお尋ねがありました。

消費税については、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から社会保障の財源として位置付けられており、当面、消費税について触れることは考えておりません。所得税の減税については、所得税を負担されていない低所得者の方には効果が及ばない等の課題があると考えております。

全ての世代の方々が支え合い、安心できる持続可能な全世代型社会保障の構築は待ったなしの課題です。

前通常国会で成立した七十五歳以上の高齢者の方の窓口負担割合の見直しに当たっては、経過的に負担増を抑える措置を講ずることとしており、こうした措置を含め、法律の円滑な施行に努めてまいります。

年収一千二百万円以上の者に対する月額五千円の児童手当の見直しは、総合的な少子化対策の中で全体のバランスを考えて行うものであり、御理解をいただきたいと考えております。

インボイス制度についてお尋ねがありました。

インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から、免税事業者を含めた事業者の準備のため、軽減税率の実施から十年間の十分な経過措置を設けています。

今後とも、制度の円滑な移行に向けて周知広報など必要な取組、進めてまいります。

クリーンエネルギー戦略とグリーン成長戦略についてお尋ねがありました。

気候変動対策は、地球規模であり、かつ喫緊の課題です。岸田政権においても、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年のマイナス四六%という削減目標を維持し、その実現に向けてエネルギー政策や成長戦略、策定をしてまいります。

グリーン成長戦略に基づき、既に二兆円のグリーンイノベーション基金などを活用して、大規模水素サプライチェーンの構築に必要な研究開発と社会実装に向けた具体的な動き、始まっております。

二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年のマイナス四六%という削減目標の実現に当たっては、温暖化対策のみならず、電力価格の抑制や安定供給の観点から、再エネ一本足打法というのは現実的ではありません。

そのため、再エネのみならず、原子力、水素などあらゆる選択肢を追求することで、将来にわたって安定的で安価なエネルギー供給を確保し、更なる経済成長につなげていく、これがこのクリーンエネルギー戦略の趣旨であります。

グリーン成長戦略、エネルギー基本計画も踏まえつつ、こうしたクリーンエネルギーの選択肢をしっかりと追求し、経済成長につなげていくこの戦略策定をしていきたいと思います。これにより、野心的な削減目標の実現を目指すとともに、国民生活の向上と企業投資の後押し、強力に推進してまいります。

子供政策と地域の人口減少についてのお尋ねがありました。

戦後、我が国の合計特殊出生率は低下傾向となっています。特に、今般の出生数や婚姻数の減少については、新型コロナの感染が拡大する中で、多くの方が日常や将来に不安を感じ、結婚行動や妊娠行動に、妊娠に少なからず影響を及ぼした可能性があるものと認識をしています。

こうした長年にわたる我が国の課題である少子化対策、さらにはこの人口減少、こうした課題も含めて、子供をめぐる様々な課題に適切に対応するため、子供目線に立って縦割りを排した行政を進めていかなければなりません。

こうした行政の在り方について、年末までに基本方針を決定し、可能であれば来年の通常国会に法案を提出するというスケジュールを念頭に検討を進めてまいります。

また、地域の人口減少への対応として、農林水産業分野では、農林水産業の成長産業化を進めるとともに新規就農等を支援してまいります。あわせて、中小企業等の後継者不足に対応するため、マッチング支援等による円滑な事業承継を進めてまいります。

緊急事態条項の創設など、憲法改正についてお尋ねがありました。

憲法改正については、国会でお決めいただくことであり、この具体的な内容について内閣総理大臣としてお答えすることは控えますが、様々な論点について建設的な議論を重ね、主権者である国民の皆様の理解を深めていくことは、私たち国会議員の責任ではないかと考えております。

今回の新型コロナウイルス感染症への対応を受けて緊急事態への備えに対する関心が高まる中、与野党の枠を超えて、これまで以上に活発な議論が行われることを期待いたします。

北朝鮮への対応についてお尋ねがありました。

私が外務大臣時代の北朝鮮とのやり取りの詳細については控えますが、北朝鮮との関係において、二〇一四年、当時のアジア大洋州局長をストックホルムに派遣し、北朝鮮側とぎりぎりの交渉を行いストックホルム合意を成立させるなど、様々な取組を試みてまいりました。

私の内閣においても、拉致問題は最重要課題です。拉致被害者の御家族が御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。

私自身、就任後早速、米中ロなど各国首脳との電話会談を行い、拉致問題について直接提起をいたしました。米国バイデン政権を始めとした関係国と緊密に連携しつつ、私自身、金正恩委員長との、委員長と直接向き合うチャンスを逃さず、全力で取り組んでまいります。

拉致問題担当大臣については、政府一丸となった取組が重要であり、そうした観点から内閣官房長官に兼務させることといたしました。

民主主義の危機等についてお尋ねがありました。

一昨日の衆議院本会議では、民主主義の危機について説明をさせていただきました。あわせて、国民の信頼と共感を最優先する政治姿勢を堅持し、丁寧な対話を積み重ねることで、真に国民が必要とする政策に取り組んでいくことによってのみ民主主義の危機は乗り越えられていけるものと信じているということも申し上げたところであります。私自身、自分の言葉で丁寧に説明させていただいたと考えております。

また、選挙運動や政治活動については、公職選挙法などに定めがあります。我が党の議員に限らず、それぞれの議員や候補者がそれらのルールに従って発信をし、選挙運動を行い、政治活動を行うべきであるということ、これは当然のことであると考えます。

残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。

野田聖子国務大臣の答弁

森議員にお答えします。

岸田総理は、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けしっかりと取組を進めると述べており、同じ内閣の一員として、多様性が尊重される社会を目指してまいります。

選択的夫婦別氏制度を含む夫婦の氏の在り方については、昨年末閣議決定した第五次男女共同参画基本計画において、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、更なる検討を進めることとしており、男女共同参画や女性活躍の推進の観点から、私は担当大臣としてしっかりと進めていきたいと考えています。

また、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないことです。

男女共同参画は日本政府の重要かつ確固たる方針です。また、国際社会で共有されている規範です。第五次男女共同参画基本計画及び今年の六月に策定した女性活躍・男女共同参画の重点方針二〇二一に基づき、政府全体として全力で推進してまいります。