決断・実行できない岸田総理 政権の実態は、政策は高市・安倍、人事は甘利・麻生

岸田政権_自民党4役 政治・経済・社会

10月4日に岸田内閣が誕生した。8日に所信表明演説を行い、11日から13日に代表質問、そして14日に衆議院を解散した。選挙日程は19日公示、31日投開票。結果はどうなるか。

さて、岸田内閣の実態を見ると、政策面では、総理が自民党総裁選で掲げた政策はことごとく後退・消滅した。代わって、高市政調会長の持論が選挙公約の前面に出てきた。

人事面では、内閣の要である官房長官は松野博一氏(細田派)、財務大臣は麻生前財務大臣の義弟である鈴木俊一氏(麻生派)、党の実権を握る幹事長は甘利明氏(麻生派)、総務会長は福田達夫氏(細田派)、政調会長は高市早苗氏(無派閥、安倍系)、選挙対策委員長は遠藤利明氏(谷垣グループ)。内閣及び党の重要ポストに岸田派はいない。

岸田総理が総裁選で掲げた政策はことごとく消滅、代わって高市政調会長の持論が前面に

自民公約「党高政低」浮き彫り 「岸田カラー」薄く(JIJI.COM 2021年10月13日07時11分)

自民党は10月12日、衆院選公約を発表した。岸田文雄首相が党総裁選で掲げた「デジタル田園都市国家構想」などを盛り込む一方、抜け落ちた目玉政策も少なくなく、「岸田カラーが薄い」との声が漏れる。

作成過程を通じて、政府と党の力関係が安倍・菅政権時代の「政高党低」から「党高政低」に変化しつつあることも浮き彫りとなった。

「公約はあくまでも党としての公約だ。抜けているものも多少あると思うが、内閣でしっかりと進めて(もらえばいい)」。自民党の高市早苗政調会長は12日、公約発表の記者会見で、首相の総裁選公約を完全には採り入れていないと認めた。

党公約は首相が訴える「新時代共創内閣」を反映し、「新しい時代を皆さんとともに」がキャッチフレーズだ。首相の総裁選公約に沿って「新しい資本主義で分厚い中間層を再構築する」と宣言。具体策として、賃上げに積極的な企業への税制支援や看護師や介護士らの所得向上を明記した。

しかし、首相自身が発言を後退させた「令和版所得倍増」や金融所得課税見直しだけではなく、分配政策の柱に据えた子育て世帯の住居費・教育費支援が脱落。健康危機管理庁創設や科学技術顧問設置も盛り込まれなかった。党内の根強い反発を受け、役員任期の3年制限を柱とする党改革も完全に抜け落ちた。

一方、公約では高市氏や安倍晋三元首相が主張する保守的な政策が目立った。高市氏の持論である「危機管理投資・成長投資」を冒頭に掲げ、核融合開発の推進を明記。敵基地攻撃能力の保有を含めた抑止力向上も記した。憲法改正に関しては「時代の要請に応えられる憲法を制定するために力を尽くす」とした。

党関係者によると、公約の作成過程では首相官邸と党の間で激しいせめぎ合いがあった。公約策定に当たった党政務調査会には、古屋圭司会長代行ら保守系議員が多い。首相に近い官邸幹部が素案に「赤ペン」を入れて党に戻すと、政調幹部が「出入り禁止だ」と激高する場面もあったという。

党高政低への変化をうかがわせるのは公約だけではない。副大臣・政務官人事には甘利明幹事長が大きな影響力を及ぼしたとされる。首相に近い閣僚経験者の一人は「甘利氏、高市氏、安倍氏が力を持ち、首相は単なるお飾りになりかねない」と懸念を漏らした。

高市氏は12日の記者会見で、衆院選公約にない政策は内閣として推進すればいいと指摘しつつ、首相にこうくぎを刺すのも忘れなかった。「内閣で進める前には、自民党でしっかりと徹底的に審査を行わせてもらう」。

岸田政権の人事は甘利幹事長の思惑どおり

岸田首相“脱安倍・麻生傀儡”シフト鮮明で…「3A」支配に深い亀裂か(日刊ゲンダイ 公開日:2021/10/10 06:00 更新日:2021/10/10 20:07)より抜粋

岸田新政権の人事の特徴は、甘利カラーが前面に出ていることだ。甘利氏に近い議員が次々にポストに就いている。山際大志郎経済再生担当相も、小林鷹之経済安保担当相も、田中和徳幹事長代理も甘利人脈。さすがに、安倍元首相の出身派閥“細田派”からは「これじゃ甘利内閣だ。甘利がやりたいようにやっている」と不満の声が上がっている。

その一方、意向が反映されなかったのが安倍氏だ。「高市幹事長、萩生田官房長官」を求めたが、どちらも蹴られたという。しかも、細田派からも抜擢はされたが、松野博一官房長官も、福田達夫総務会長も、高木毅国対委員長も、安倍氏とは距離がある。「3A」のメンバー甘利氏が幹事長に就いているのに、意向が通らない。安倍氏は一連の人事に苛立ちを募らせているという。

これまで「3A」のタッグは鉄壁だとみられていたが、いったい、なにが起きているのか。

「念願の幹事長に就き、権力を握った甘利さんが暴走しているという見方もあります。ただ、麻生派に所属している甘利さんは、派閥領袖の麻生さんに逆らうことはない。2人は一体でしょう。実際、“甘利人事”によって、麻生派には満点の人事になっている。“3A”が対立しているわけではないでしょうが、岸田政権の誕生によって、立場が1Aと2Aに分かれた。いくら盟友だとしても、麻生さんも甘利さんも、自分たちの利益を削ってまで安倍さん個人のために動くことはない。そもそも、安倍―麻生の結束が固かったのは、二階前幹事長や石破元幹事長など“共通の敵”が存在したからです。でも、二階さんも石破さんも弱体化してしまった。共通の敵がいなくなったことで盟友関係に変化が起こることは十分あり得ることです」(政界関係者)