感染力が強いとされる変異ウイルスの確認は、現在、陽性者全体のおよそ10%の検体を遺伝子解析して変異ウイルスかどうかを判定している。政府は、検体の遺伝子解析を現在の4倍まで拡大することを目指し、国内での変異ウイルスの広がり状況を確認する方針だ。
神戸市はすでに約60%の検体を調査
独自の新型コロナウイルス変異株監視体制を展開する神戸市は今年3月11日、2月26日から3月4日までの1週間に英国株変異型(N501Y変異)の検出例が26件確認されたと発表した。
この期間に市内で新規陽性者数は97人で、このうち変異株検査数67のうち変異株確認数は26となり、変異検査件数に占める割合は38.8%で、監視を開始した1月1日以降、上昇傾向が続く中で最多となった。
神戸市は新型コロナPCR陽性検体のうち約60%に相当する検体について、変異株(N501Y変異)を確認するPCR検査を実施している。
監視が始まって以降の推移を振り返ると、変異株の検出率は上昇傾向を強めており、3月4日までの38.8%は過去最多だった。
【出典・引用】コロナ変異株の検出率、38.8%に上昇の意味(日経メディカル 2021/03/16)
東京都で変異株が少ない理由は、検査数が5%以下
厚労省は2月5日、変異株の広がり状況を調査するため、新規感染者の「5~10%」を検査するよう要請した。
【厚生労働省から都道府県特別区に要請した文書】
新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査における検体提出等について(要請) 令和3年2月5日
管内の全陽性者数の約5-10%分の検体(週)を目処に、変異株の疑いを確認するための PCR 検査を実施ください。ただし、リンクの追えない変異株に感染した者が地域において確認された場合においては、割合を上げてスクリーニングをすることがあります。
変異株が確認された都道府県は3月5日時点で以下の通りである。
この数字で意外なのは、東京都の変異株確認者が埼玉県や兵庫県に比べて少ないことだ。
理由は検査数を見れば、一目瞭然。変異株蔓延への懸念が日々増しているのに、東京都は、逆に検査を減らしているのだ。緊急事態宣言下で一番懸念される東京都が検査を渋っている。
厚生労働省から2月5日に、変異株の検査を陽性者数の5%~10%するようにとの要請を受けて、2月8日の週は13.80%としたが、その後、10.08%、9.63%、3月1日の週は4.50%で5%を切り、8日-9日は2.96%である。
正確に言えば、陽性を確認した検体をその後スクリーニングして変異株を確認するので、それぞれの検査日は若干ずれる。それを考慮しても、東京都は変異株の検査を徐々に減らしている。
変異株感染が少ないことを見せるためか。
【データ出典】