6月19日、自民党派閥の裏金事件を受け、改正政治資金規正法が参院本会議で可決、成立した。その後、開かれた党首討論で、岸田文雄首相が「四面楚歌(しめんそか)とは感じてない」と答え、議場からどよめきが起きる一幕があった。
岸田首相と野党4党首による3年ぶりとなる党首討論。そのラストバッターとして登場した、国民民主党の玉木雄一郎代表の持ち時間は3分。玉木氏は冒頭、こう切り出した。
「総理はいま、四面楚歌じゃないか。野党の協力が得られない、公明党からも『グズグズしている』と言われたり、自民党のなかからも総理の責任を問うような声が、公然と出てきている。国民の信頼も地に落ちている。四面楚歌、八方ふさがり、なぜこういう事態に陥ったと思うか」
岸田首相が「私自身は四面楚歌であるとは感じていない」と反論すると、議場からはどよめきが起きた。
岸田首相はどよめきを制するかのように、こう続けた。
「いま、これだけ難しい課題が山積しているからこそ、議論をおこなっている。難しい課題であるからこそ、結果を出さなければならない。判断をしなければならない。当然のことながら批判は出てくる。しかし、批判が出るなかでも、やるべきことはやる。これが政治家の責任であると考えている」
玉木氏はさらにこう追及した。
「四面楚歌の理由は、トップが責任をとらないことだ。小手先でごまかしても、ものは前に進まない。今回の法案もザル法だ。通ったからといって何かが変わるわけではない。政治に対する信頼を回復するために、いまいちばんやらなければいけないのは、潔く職を辞して、リーダーの責任をしっかり果たすことではないか」
野党4党首との討論中、野党からヤジは飛んでも、自民から岸田首相を応援する声はなし。Xでは《四面楚歌》が一時、トレンド入りし、玉木氏は翌20日、自身のXにこう書きこんだ。
《四面楚歌 がトレンド入りしていますが、昨日の党首討論でのやり取りがもとになっているようです。トップが責任を取って範を示さない限り、政治に対する信頼を回復することも、閉塞した現状を打破することもできません。》
自民党内では6月4日、横浜市連の会長から、岸田首相の退陣を求める声が上がった。16日には、麻生派議員も自身の政治資金パーティーで、政治資金問題をめぐり、岸田首相の責任を問う発言をしている。
党首討論が開かれた19日には、自民党の茂木敏充幹事長、石破茂元幹事長、高市早苗経済安全保障担当相が、相次いで講演会や勉強会に出席。茂木氏は同日夜、菅義偉前首相と東京都内のステーキ店で会食するなど、9月の党総裁選を見据えた動きが活発化している。
10日、NHKが報じた世論調査で、岸田内閣の支持率は21%と、内閣発足後、最低を更新。岸田首相は今国会での衆院解散・総選挙を見送った。
そんななかで、岸田首相が「四面楚歌とは感じてない」と強弁したことに、Xではツッコミが殺到している。
《岸田総理は議員に向いていない。今の現実すら見えていないとは。国民の誰が見ても四面楚歌でしょ。今の支持率すら右から左に受け流しているのか?》
《凄まじい鈍感力だな。五感を研ぎ澄まして国民や周囲の声を聞いて下さい。聞く耳を持たない厚顔無恥で無能な総理はさっさと退陣して下さい》
《もう結論出て四面楚歌なんすよね。それを四面楚歌だと思っていない岸田さんヤバいよあなた》
そのほか、《暴走してでも解散した方が今より良くなる気がしませんか?》という声もある。岸田首相に、この苦境を打破する術は残されているのだろうか。
( SmartFLASH )