年金保険料「納付5年延長」の衝撃! 1人100万円の“大増税”を国民に押し付け、給付はケチる

年金納付5年延長で64歳まで、負担額“100万円増” 政治・経済

年金保険料「納付5年延長」の衝撃! 1人100万円の“大増税”を国民に押し付け、給付はケチる(日刊ゲンダイ 公開日:2022/10/26 13:20 更新日:2022/10/26 14:58)

年間20万円の負担増──。厚労省は25日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会を開き、国民年金の保険料の納付期間を延長する議論をスタートさせた。現行の20歳から59歳までの40年間から、64歳までの45年間に延長する。

自営業者や60歳までに退職した人の負担はかなり大きくなる。現在の国民年金の保険料は月1万6590円だから、年間約20万円、5年間で約100万円も負担が増える。支払総額は796万円(40年間)から896万円(45年間)へと12.5%も増額する。

国民年金は40年間満額支払っても、65歳から受け取れる受給額は月額わずか6万5000円。保険料を100万円多く払えば、受給額も引き上げられるのか──。厚労省に聞くと「仮定の話なのでコメントできません」(年金課)と答えた。

「今後、さらに少子高齢化が進行するので、年金を受給する高齢者は増え、社会保障を支える現役世代は減っていく。そのため、保険料の納付期間を延長して、受給水準を維持する狙いがある。あくまで維持です。延長により、保険料を多く納付しても、受給額は横ばいか、多少色を付ける程度とみられています」(厚労省担当記者)

「岸田政権が続けば、国民生活は破壊される」

負担が増えてもリターンは期待できそうにない。これでは年間20万円、総額100万円の大増税を押し付けられるに等しい。立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)が言う。

「物価が高騰する中、岸田政権は現役世代の賃金が下がったことを理由に、今年6月支給分から年金を減額しました。保険料の納付期間5年延長も強行するつもりでしょう。これからも、年金の負担は増やし、給付はケチる姿勢を続けていくはずです。

一方で、防衛費は2023年度から5年間の総額を43兆~45兆円程度にしようとしています。岸田政権はこれまでの自公政権以上に、社会保障を切り捨て、軍拡に邁進する政権であることがハッキリしました。岸田政権が続けば、国民生活は破壊されてしまいます」

納付期間の延長は24年までに結論を出し、25年の通常国会での法改正を目指すという。粛々と進めさせてはならない。