水道橋博士辞職でれいわの参院議員になる蓮池透さん “ローテーション批判”について聞いた(デイリー新潮 2023年01月22日)
れいわ新選組の山本太郎代表は、1月16日、議員辞職した水道橋博士氏の残りの任期5年半を、全国比例で落選した5人がローテーションで務めると発表した。これで参院議員になることが確定した、元拉致被害者家族会副代表の蓮池透氏(68)に話を聞いた。
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昨年7月の参院選では、水道橋博士は11万7794票で当選した。次点は元参院議員の大島九州男氏(61)、3位は元緑の党共同代表の長谷川羽衣子氏(41)、4位は元衆院議員で弁護士の辻恵氏(74)、5位は蓮池氏は、6位は元新宿区区議の依田花蓮氏(50)だった。彼ら5人が順番に1年ずつ議員になるという。
日本では初となる「れいわローテーション」に対して、批判の声が数多く上がった。前東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏は、「制度の私物化」と指摘し、日大の岩井奉信氏は「落選者救済で、有権者は納得しない」と語った。
たかが1年、されど1年
「まず、前提として、私たち5人がローテーション制を求めたというわけではありませんと申し上げたい」
と語るのは、蓮池氏。
「昨年末、山本代表から提案がありました。水道橋博士が議員辞職するので、彼の残りの任期5年を落選した5人が交代でやってもらいたいと。ドイツの緑の党もローテーション制を導入したというのです。最初聞かされた時は、びっくりしましたね」
蓮池氏が一番気になったのは、次点で落選した大島氏のことだった。
「ローテーションにしなければ、大島さんは5年以上務めることができます。それが1年になるわけですからね。でも彼は、党の方針を受け入れると。大島さんがよしとするのなら、私を含めた4人は受けましょうとなったのです」
緑の党のローテーションは、2年で交代することになっている。
「それもあって、1年で何ができるという批判も出てくるでしょう。私に言わせればたかが1年、されど1年です。れいわ新選組の看板政策は消費税の廃止と脱原発です。5人ともこの政策に重きを置いているので、1年で交代してもそのままバトンタッチすればいいのです。ローテーション制は議席をたらい回しにするようでよくない、との批判がありますが、決してそうではないのです」
さらに、5人にはそれぞれ個性があるので、それを政治に生かせるとも言う。
「長谷川さんは、グリーン・ニューディール政策(自然エネルギーや地球温暖化対策に公共投資して経済成長を促す政策)に取り組んでいました。私は東京電力の社員でしたから、原発についての知識があります。依田さんは、トランスジェンダーの問題を提起できるでしょう」
中身の濃い1年
非拘束名簿式の全国比例は、個人名での投票が2、3割で、政党名が7割以上だった。
「個人より政党を支持してくれた方が多いので、ローテーション制にしても民意は裏切らないと思います。1年間しか任期がないので、中身の濃い1年になると思います。任期が6年もあると、その間は安泰だと考える議員がいるのではないでしょうか。1年しかない分、全力で取り組みたいと思っています」
場合によっては、北朝鮮による日本人拉致問題にも力を注ぐという。
「その時の政権に関心があれば、積極的に拉致問題にも取り組みたいですね。解決のための糸口がつかめればと思っています」
自民党の世耕弘成参院幹事長は、ローテーション制は憲法の趣旨に合致しないと批判した。
「憲法の趣旨にそぐわないのは、安倍晋三内閣が2014年に閣議決定した集団的自衛権であり、今月岸田文雄首相がバイデン大統領と合意した敵基地攻撃の方でしょう。弱小政党が奇抜なことをやると、袋叩きに遭うんです」
新人議員がわずか1年で何ができるのか、という指摘もある。
「私たちは、みなそれぞれ社会経験を積んでいます。1年で何ができる。弱小政党に何ができるというのなら、大政翼賛会でしか政治は動かせないということになり、それはそれで危険なことだと思います。独裁国家にならないように、ローテーション制で政界に一石を投じ、新風を吹き込みたいです」