【リニア】「一度壊れればもとに戻せない。やめてくれというのが本音」世界最高の技術と南アルプスの環境保全は両立できるのか(LOOK 2022-11-18)
「水資源への影響」から「南アルプスへの環境保全」
静岡県 森貴志副知事:
「トンネルを掘るに当たって絶対守らなきゃいけないというのを意識しながら、流域住民を含めて疑問、不安を払しょくしていただけるようなそういった回答を求めていくことになる」
16日、リニア工事をめぐる国の有識者会議のあと、強い決意を示した県の森貴志副知事。
長年、リニア問題を担当してきた難波前理事の退任により、新たに県のリニア対策本部長に就任しました。
国の有識者会議は、これまで議論してきた「水資源への影響」から、「南アルプスへの環境保全」に議論のテーマが移っています。
16日は、JR東海から高山植物への影響に関する調査内容が示されました。
また、南アルプスのリニア工事現場の土地を所有する企業、「十山(じゅうざん)」の社長らへ聞き取りが行われました。
土地を所有する企業の意見は
十山 鈴木康平取締役:
「(JR東海に)自然環境保護、地域貢献、井川山林維持の3つの条件を掲げ、JR東海から一定の回答が得られたことと、今後もしっかり対応していくという約束を得られたので、弊社は準備工事を受け入れた」
自然環境保護を前提とした上で、準備工事を受け入れたという土地所有者。
その一方でリニア本線のトンネル掘削工事については…。
十山 鈴木康平取締役:
「自然環境の保全については、静岡県・静岡市もそれぞれ会議が続いている。弊社としてはトンネル掘削の前に利水者の合意もいただいてもらいたい。これもまだという状況で掘削は認められない」
さらに、こんな意見も…。
十山 鈴木康平取締役:
「南アルプスは、リニアという世界最高の技術と世界が認めた自然環境が交わる場所。自然を守りつつ、世界最高のリニアを通した例として、世界から視察が訪れるくらいの対応をお願いしたい」
自然環境は守れるのか
南アルプスの美しい自然環境は、登山者にも人気で国の特別天然記念物に指定され、絶滅危惧種でもある「ライチョウ」や高山植物の「ミヤマキンバイ」や「キバナシャクナゲ」などが自生しています。
こうした自然環境をどう保護するか議論が続く国の有識者会議。
16日は十山の他に、南アルプスの自然環境調査などに取り組むボランティアにも聞き取りが行われました。
南アルプス高山植物保護ボランティアネットワーク 西畑武会長:
「一番心配しているのは、花がどういうふうに変化していくのか、一度壊れればもとに戻すことが出来ない。やめてくれというのが本音」
会議終了後、県とJR東海は
県 森貴志副知事:
「自然環境保全というのが非常に重要だということを改めて認識した。こちらに対する不安を払拭していただけるような、そういった回答を求めていく」
JR東海 中央新幹線推進本部 澤田尚夫副本部長:
「有識者会議の先生方に現地を見ていただいている。測り方とか場所とかご意見いただいて、そこはできる限り先生方にいただいた意見も反映して、これから調査をやっていきたい」
去年「水」に関する取りまとめが節目を迎え、今年から「環境保全」に関するヒアリングを進めてきた国の有識者会議。
次回以降は論点整理を進める方針です。
一方、JR東海の金子社長は
JR東海 金子慎社長:
「有識者会議を開いているが、(水の問題と)環境の問題について議論をいただいている。私たちとしてはこの2つの問題をしっかりやるから知事に静岡工区の着工について前向きに何か検討・協力をできないかということを、いろんなことがあるが、そういうお願いをしているが、これについてお答えいただけないという状態」