やくみつる氏 葉梨前法相に「死刑のはんこ」以外の問題発言指摘「誰もそこ突っ込まないけど」
やくみつる氏 葉梨前法相に「死刑のはんこ」以外の問題発言指摘「誰もそこ突っ込まないけど」(スポニチ 2022年11月12日 16:21)
漫画家のやくみつる氏(63)が12日、TBSラジオ「ナイツのちゃきちゃき大放送」(土曜前9・00)に生出演し、「死刑のはんこ」発言への批判を受けて法相を辞任した自民党の葉梨康弘衆院議員を巡る問題について、私見を語った。
葉梨氏は9日、都内の会合で「だいたい法相は朝、死刑(執行)のはんこを押す。昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職だ」などと述べた。10日には自身の発言について謝罪したが、11日に辞表を提出。葉梨氏の後任には、斎藤健元農水相が決まった。
死刑にまつわる話をジョークのネタのように使い、人命軽視の批判を受けた葉梨氏に対し、やく氏は「死刑をやゆするような鉄板ネタにしてたって、法務大臣どころの騒ぎじゃなくて政治家として言語道断だと思う」と厳しく批判した。
しかし、葉梨氏の発言には、もう一つの問題があったという。「大臣としておっしゃったせりふで、“法務大臣、金にならない”ということの方がむしろ問題なんじゃないかと。誰もそこ突っ込まないんですけど。死刑の方ばっかりに質問が集中してしまって」。葉梨氏が「外務省と法務省は票とお金に縁がない。外務副大臣になっても金がもうからない。法相になってもお金は集まらない」などとも話していたことを問題視した。
やく氏によると、その発言にこそ金権政治の一端が見えるという。「じゃあ何大臣がもうかるのか? どうしてそれはもうかるのか?」と疑問を呈し、「(葉梨氏は)本当のことを言っているはずですから。どこの大臣がもうかるのか。想像は付きますよね? 利権と密な関係にある、職掌の大臣の方がもうかるんだろうな」と、利権にあやかれるポストの存在を指摘。「そこのへんをむしろ記者の方には突っ込んでいただくと、よりえぐれるんじゃないのかな?」と提案していた。
葉梨法相を更迭 首相のお粗末な危機対応
葉梨法相を更迭 任命者の首相は猛省せよ(産経新聞 2022/11/12 05:00)
岸田文雄首相は、「法相は死刑のはんこを押すときだけトップニュースになる地味な役職」などと発言した葉梨康弘法相を更迭した。職責と人命を軽視した発言であり、更迭は当然だ。
この程度の問題意識しか持たない人物を起用した首相の任命責任は重大である。しかも山際大志郎前経済再生担当相を更迭したばかりである。政権のタガが外れているのではないか。
首相は11日午前の参院本会議で「職責の重さを自覚し、説明責任を果たしてもらいたい」と葉梨氏の更迭を直前まで否定していた。方針を急転換したのは、続投させた場合、政権に打撃を与えると判断したからだろう。
首相の判断は機敏さを欠いている。死刑執行を命令する法相の職責を軽んじる葉梨氏の失言には、与党からも強い批判が出ていた。更迭判断が遅れたことで、11日に予定していた首相の東南アジア歴訪の出発も延期されるなど、外交日程にも影響を与えた。
首相の判断遅れは今回ばかりではない。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との深い関係が次々に発覚した山際氏の更迭も大幅に遅れ、世論の強い反発を招く結果となった。
さらにはその山際氏を更迭後、自民党の新型コロナウイルス等感染症対策本部長に就任させた人事もいただけない。萩生田光一政調会長は「私の判断で山際氏を指名した」と釈明したが、最終的な責任が党総裁である首相にあるのは言うまでもない。
臨時国会は12月10日の会期末まで1カ月を切った。総合経済対策の裏付けとなる令和4年度第2次補正予算案のほか、旧統一教会問題をめぐる被害者救済新法など重要な法案がめじろ押しである。窮屈な日程を強いられる中で、国会の空転を避けるためにも首相には果断な判断が欠かせない。
野党は政治資金問題が相次いで判明している寺田稔総務相に対しても追及を強めており、寺田氏の進退も今後の焦点となる。
葉梨氏も寺田氏も首相自身が率いる自民党岸田派(宏池会)に所属している。18歳の女子学生に飲酒させたと週刊誌に報じられ、離党した吉川赳衆院議員も所属していた。岸田政権を支える立場の岸田派が、この体たらくで政権運営が安定するはずはない。首相はもっと危機感を持つべきだ。