霊感商法「過去も現在も行ったことはない」 統一教会が会見

日本外国特派員協会で記者会見する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長(左) 社会

霊感商法「過去も現在も行ったことはない」 統一教会が会見(毎日新聞 2022/8/10 19:46 最終更新 8/10 19:46)

安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と政治との関係が取り沙汰される中、旧統一教会の田中富広会長は10日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で記者会見し「政治に友好団体が強く関わってきたことは事実。政治工作や霊感商法の批判から逃れるためではなく、よりよき国づくりに向かっての交わりだ」と述べ、自民党議員の政治活動に組織的に関与してきたことを認めた。

銃撃事件後に会見するのは2回目。田中会長は質疑を前に約40分にわたり、事件後の報道などへの批判を展開した。予定時刻を過ぎたところで説明を切り上げるよう司会から求められても、応じることなく用意した文書を読み上げ続けた。

田中会長は選挙での支援について、友好団体「世界平和連合」が中心になって関わっているとし「基本姿勢は共産主義と対峙すること。その視点から自民党議員の方々が多くの接点を持つと思う」と述べた。

田中会長は2015年に文化庁に名称変更を申請した経緯についても言及した。当初は同庁の説得を受けて引き下がったが、その後も同庁の姿勢が変わらなかったため「訴訟もやむを得ない」として専門家の意見書を添えて申請した結果、認証されたと説明。「適法に処理され、政治的介入や不正はない」とした。

社会問題化した高額献金や物品販売については、09年に信徒が刑事事件で検挙されて以降、改善指導を徹底したとし「霊感商法なるものを過去も現在も行ったことはない」と主張した。

これに対し、旧統一教会の被害対策に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の渡辺博弁護士は会見後の取材に、09年以降の被害相談も受けていることを明かした。渡辺氏は「過去から今までの被害に関する謝罪と反省を示すべきだ」と批判し、会見を開いた理由については「実態が報じられることに対する焦りがあるのではないか」と推量した。