韓国の全斗煥・元大統領が死去…光州事件で民衆蜂起鎮圧、退任後に無期懲役判決
韓国で1980年代、経済成長を優先して国民の政治的自由を制限する開発独裁体制を敷いた全斗煥(チョンドゥファン)元大統領(在任1980~88年)が23日朝、ソウル市内の自宅で死去した。90歳だった。
韓国南東部・慶尚南道出身。朴正煕(パクチョンヒ)元大統領が79年10月に暗殺された後、国軍保安司令官として同年12月の「粛軍クーデター」を主導し、軍事政権を継続した。朴氏の開発独裁を受け継ぐとともに、経済発展のために対日関係を重視した。83年に訪韓した当時の中曽根首相と40億ドルの経済協力を受けることで合意している。84年には韓国大統領として初めて日本を公式訪問し、昭和天皇と会見した。
88年のソウル五輪招致に成功するなど韓国の国際的地位を高めた一方、民主化運動を弾圧した。80年5月の「光州事件」では民衆蜂起を軍の特殊部隊投入で鎮圧し、200人超の死者・行方不明者を出した。大学生の拷問死を機に民主化を求めるデモが最高潮に達した87年の「6月抗争」で、大統領直接選挙制の導入を受け入れた。退任後、内乱や収賄などの罪で刑事訴追され、97年4月に無期懲役が確定したが、同年12月に特赦で釈放された。
パウエルFRB議長再任 課題は高インフレ抑制と雇用回復の両立
バイデン米大統領は22日、2022年2月に任期満了を迎える米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長(68)を再任すると発表した。新たな任期は26年2月までの4年間。新型コロナウイルス禍からの景気回復と物価上昇が急ピッチで進む難局のなか、パウエル氏の金融政策を継続することが重要と判断した。議会上院の承認を得て正式決定する。
金融緩和を重視する「ハト派」の代表格であるブレイナード氏を議長に指名すれば、「足元の高インフレ(物価上昇)への対応が遅れる」との観測から金融市場が不安定化する恐れがあった。金融市場の安定性とFRBの独立性を重視してパウエル氏を再任し、ブレイナード氏を副議長に起用することで党内の理解を求めた。
アジア市場 円安進み一時115円台 約4年8カ月ぶり水準
23日のアジアの外国為替市場で円がドルに対し下落し、一時、1ドル=115円台をつけた。2017年3月以来、約4年8カ月ぶりの円安ドル高水準となる。22日のニューヨーク外国為替市場では、バイデン米大統領が連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の再任を発表したことをきっかけに、早期利上げ観測が強まり、ドル買い円売りが広がった。東京市場は休場だが、アジアの市場でこの流れが加速した。