コロナ対策に万全 岸田首相所信表明演説、成長・分配へ政策総動員
岸田文雄首相は8日午後の衆院本会議で、内閣発足後初の所信表明演説を行った。首相は新型コロナウイルス対応に万全を期す考えを表明。「成長と分配の好循環」実現に向けて成長・分配戦略を「両輪」に掲げ、政策を総動員する姿勢を示した。中国を念頭に経済安全保障政策を推進するための法案策定を明言。看護・介護分野の収入増を目指す方針も打ち出した。
「中身すかすか」「三番煎じ」 野党、所信演説を一斉批判
野党は8日、岸田文雄首相の所信表明演説について「本当に中身はすかすかだ」(立憲民主党の枝野幸男代表)などと一斉に批判した。野党は月末に迫る衆院選に向け対決姿勢を強めており、週明けの各党代表質問で首相を厳しくただす方針だ。
枝野氏は国会内で記者団に対し、「岸田氏は首相になるために準備してきた方だと思っていたので、甚だ残念だ」と挑発。衆院選について「抽象論で中身を伴わない与党に対し、しっかりと具体策を示しながら戦う立民という構図になる」と強調した。
共産党の志位和夫委員長も「新しい資本主義も中身はアベノミクスの『三番煎じ』だ」と酷評。被爆地の広島出身を強調する首相が、核兵器禁止条約の是非に触れなかったことについても「結局、核抑止だ。広島出身と言うのであれば、そういう政治でいいのか」とこき下ろした。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、首相の目玉経済政策「令和版所得倍増」が演説から消えたことを疑問視。「アベノミクスと結局何も変わらない」と断じた。
安倍、菅両政権とは「是々非々」で対応してきた日本維新の会の馬場伸幸幹事長も「『改革』という言葉が全く出てこない。基本の部分がどうも私たちとずれている」と突き放した。
れいわ山本太郎代表、東京8区に出馬表明 「石原氏にリベンジ」
れいわ新選組の山本太郎代表は8日、次期衆院選で東京8区に立候補する方針を発表した。立憲民主、共産両党は立候補予定だった新人の取り下げを検討し、実現すれば山本氏が事実上の野党統一候補となる。
東京8区では自民党の石原伸晃元幹事長が、旧東京4区時代から10期連続で当選している。山本氏は2012年の衆院選で、同区から無所属で初出馬し、落選したが、当時の旧民主、共産両党候補の票を足すと石原氏を上回った。同区に立候補予定だったれいわ新人の辻村千尋氏(53)は比例北陸信越ブロックに回る。
日暮里・舎人ライナー、脱線車両を撤去 9日も終日運転見合わせ
7日の地震で車両が脱線した東京都営新交通システム「日暮里・舎人(とねり)ライナー」は8日の始発から全線で運転を見合わせた。8日夜からクレーン車で車両の撤去作業を始めた。車両と、走行時の列車を安定させる設備の損傷が確認されており、今後は走行路の点検や補修を実施する。9日も終日運転を見合わせ、復旧には数日かかる見通し。