【グラフで解析】日本の新型コロナ対策、政府の3つの致命的な失敗

コロナ感染_国内20210124 政治・経済・社会

政府は昨年、新型コロナが収束していない段階で、GoToトラベルとGoToイートに補助金をつけて推奨した。その結果、秋以降、春の第1波、夏の第2波をはるかに超える勢いで第3波が襲った。

今年に入り、政府は1月8日に首都圏1都3県に、14日には大阪府、愛知県など7府県に緊急事態宣言を発出した。それまで総力を挙げてアクセルを踏んで来たGoToキャンペーンに、突然急ブレーキを掛けたのである。

政府には新型コロナ感染を収束させる明確なプランがないように見える。場当たり的だ。

緊急事態宣言の発動によって感染が収まることを願うが、実態はどうか。感染状況と死亡者数の推移をグラフ化し、視覚的に分かりやすくし、解析した。

全国の感染状況 新規感染者数、重症者数、死亡者数の推移

1日ごとの新規感染者数、重症者数、死亡者数の推移をグラフにした。新規感染者数(ブルー)と重症者数(ピンク)は縦棒グラフで、死亡者数(赤)は7日間移動平均を折れ線グラフで記した。

新型コロナウイルス 全国の感染状況・・・1日ごとの新規感染者数、重症者数、死亡者数

グラフを見てわかるように、第3波は、第1波、第2波に比べて異常に大きい。

第2波が第1波に比べて感染者数が多くなったが死亡者数が少ないのは、第2波では比較的軽い症状で終わる若者の感染者が多かったことと、未知の感染症がどういうものなのかその実態が少しわかって来たからである。

陽性者の半数以上が自宅療養を強いられている。すでに「医療崩壊」

しかし、第3波では中高年者の感染者が増大しており、中高年の重症化及び死亡が増えている。また、感染者数が急激な勢いで伸びているため、陽性者や患者に対して十分な医療を提供できない状況になっている。

厚生労働省が1月22日に公表した「新型コロナウイルス感染症患者の療養状況、病床数等に関する調査結果(1月20日0時時点)」によると、1月20日時点において、PCR検査「陽性」者が6万9314人(退院者等除く)存在し、その内、「入院」できている者(入院確定者数を含む)は1万4724人(21.2%)、宿泊療養者が7089人(10.2%)、自宅療養者が3万5394人(51.1%)、社会福祉施設等療養者が603人(0.9%)、確認中が1万1504人(16.6%)となっている。

実に陽性者の半数以上が自宅療養なのである。高熱が続いても入院できる病院がなく自宅療養を強いられ、中には死亡する事態が各地で発生している。これはすでに医療崩壊である。

新型コロナウイルス感染症患者の療養状況、病床数等に関する調査結果(1月20日0時時点)

療養状況等及び入院患者受入病床数等に関する調査について

政府(安倍内閣・菅内閣)の3つの失敗

今日の感染拡大と医療崩壊を招いた原因は、政府(安倍内閣、菅内閣)の3つの失敗にある。

春の第1波への対処にいろいろな失敗があった。

一つは、水際対策の失敗だ。春節を祝う中国人の訪日観光(約90万人)による経済効果を期待して遮断しなかったことと、夏の東京オリンピック・パラリンピックを前にして中止又は延期の決断とその責任から逃げたこと、である。中国に隣接する台湾は、感染拡大を深刻に受け止め、迅速に水際対策を徹底した。

二つには、感染者への対応の失敗である。高熱症状があって帰国者・接触者相談センターに連絡しても、「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日日以上続く」というガイドラインに合致しなければ跳ね除けられ、また、高熱が続いても電話がつながらないという事態が続いた。

しかし、これから取り上げる「3つの失敗」はそれではない。未知の危機に突然遭遇すれば、誰でも完璧に危機管理することは難しいからである。そういう意味では、コロナ危機を初動で抑え込んだ台湾やニュージーランドは本当に素晴らしい政府であり国民であると言える。

新型コロナを封じ込めたニュージーランド 真逆の日本

ここで指摘するのは、第1回目の緊急事態宣言が発出され、新型コロナが収束に向かい、宣言が解除された、その後の失敗である。

【参考】第1回 緊急事態宣言

2020年4月7日 東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言
4月16日 対象を全国に拡大
5月14日 北海道、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、京都、兵庫の8つの都道府県を除く、39県で緊急事態宣言を解除
5月21日 大阪、京都、兵庫の3府県について、緊急事態宣言を解除
5月25日 首都圏1都3県と北海道の緊急事態宣言を解除。およそ1か月半ぶりに全国で解除された。

第1は「感染源対策」の失敗・・感染者数が減少した昨年5月中旬に無症状対策を実施すべきだった

感染症は、先ず「感染源」が存在し、そこからウイルスや細菌が伝搬し、先方に伝染する。従って、感染症拡大を防止するためには、各段階における対策が必要となる(感染症予防の三原則)。しかし政府は感染源対策(原則1)を徹底しなかった。

【参考】「感染症予防の三原則」 ⇒ 「人命は二の次」の緊急事態宣言

政府の感染源対策は、感染者が見つかれば患者の濃厚接触者を聞き取り調査し、その人たちにPCR検査をして新たな陽性者を見つけ出すという、いわゆるクラスター対策である。

この方法には致命的な欠陥がある。

発症した患者とその濃厚接触者を対策の対象にするので、対策は常に後手後手になる。ましてや、新型コロナウイルスは感染しても無症状や軽症であっても、他人にウイルスをまき散らすという厄介な存在でなのである。そのため、無症状或いは軽症者が無自覚のまま市中で他人に感染を拡大している可能性が大である。

今では陽性者の6割以上が感染経路不明である。市中に多数存在する無症状者にはクラスター対策は無力である。

クラスター対策のもう一つの問題は、この対策を保健所が担うため、感染者数が多くなると業務が膨大に膨れ上がり、各保健所の物理的能力を超えてしまうことである。すでにGiveUp宣言をしている自治体が出ている。

政府は、感染者数が激減した5月中旬から無症状対策を実施べきであった。

市中で自覚症状もなく活動する無症状者の対策は、PCR検査の拡大である。今では民間会社や一部の自治体がPCR検査を実施するようになって来たが、これは本来は政府と自治体が実施すべき対策である。

検査は完全に自動化され、性能も優れた機器がすでに開発されている。山中伸弥教授を始め多くの専門家がPCR検査の拡大による市中の無症状者対策を提案しているが、未だに政府は消極的或いは否定的である。

【参考】ノーベル賞学者4人が政府のコロナ対策に苦言「なぜ厚労省がやらないのか、理解に苦しむ」

第2は「GoToキャンペーン」の失敗・・実施条件を無視した結果、経済も命も危険に晒した

感染症対策の第2は「感染経路の対策」である。

新型コロナウイルスは、飛沫、空気、接触によって感染が拡大するので、マスクの着用、手洗い、3密回避の実行はウイルスが体内に入ることを軽減する。

政府は国民や事業者にこのことを要請し、まじめな国民とお客と従業員に責任をもつ事業者は懸命に努力した。

その一方で、政府は感染源対策をしないまま、感染の機会を高める政策を1兆7000億円もの補助金をつけて実施し、感染を拡大したのである。いわゆるGoToキャンペーンである。人が移動し、楽しく会食すれば、当然、感染は拡大する。

GoTo事業に関しては、政府が2020年4月20日に閣議決定した「『新型コロナウイルス感染症緊急経済対策』の変更について」に、GoToキャンペーンの実施に当たっては、「新型コロナウイルス感染症の拡大が収束し、国民の不安が払拭された後」、「新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後の一定期間に限定して」とあり、あくまでも、「感染拡大の収束」が前提になっている。

【参考】閣議決定「『新型コロナウイルス感染症緊急経済対策』の変更について」(令和2年4月20日)

【参考】新型コロナウイルス感染、『自助』では日本の冬を乗り切ることが出来ない。命と経済を守る提言 !!

政府は、市中感染を放置したままGoToキャンペーンを実施、しかも前倒しして7月22日から実施した。グラフでわかるように、その頃は感染が収束傾向にあるどころか、反対に、拡大傾向にあった。

今日の脅威的(驚異的)なコロナ感染拡大は、経済対策の実施時期を間違った政府の政策によってもたらされたものだ。その結果、経済も命も危険に追い込んだ。

第3は「医療体制」の失敗・・政府は、国民の命と暮らしを守ることに真剣でない

春の第1波が収まった時、半年後の秋・冬には本格的な感染拡大が発生することを誰もが予想していた。第1波は突然の出来事だったので十分な対策が出来なかった。そのことを反省し、感染が下火になっている間に秋以降の感染拡大に向けて備えるべきだったし、意思があれば出来たはずである。

絶対に準備すべきだったことは、医療体制・保健体制の強化であり、医師や看護師等の医療従事者への待遇改善であった。

今になって医療崩壊云々を言うのは、政府の無策の結果以外の何者でもない。政府は、国民の命と暮らしを守ることに真剣でない。

為政者を見るにつけ、何でこのような政治家が政府の要人なのか情けなく思うし、怒りを覚える。

安倍内閣・菅内閣が特殊なのかどうかは知らないが、この国の政府は自分たちに不都合な真実は隠ぺいし或いは改ざんし、国会で虚偽答弁を何度も繰り返す。

政府の対コロナ無策を棚に上げ、言うことを聞かない国民には刑事罰をもって取り締まるコロナ特措法の改正を現在進めている。