内閣不支持40%で支持32%を上回る…時事通信世論調査 「歯止めがかからない。菅政権の末期と似てきた」(二階派幹部)

岸田内閣の支持率推移202209_時事通信 政治・経済

内閣支持32%、発足後最低 国葬反対51%・・時事世論調査

内閣支持32%、発足後最低 国葬反対51%―時事世論調査(JIJI.COM 2022年09月15日23時40分)

岸田内閣 支持32.3%(前月比12.0ポイント減)、不支持40.0%(11.5ポイント増)

時事通信が9~12日に実施した9月の世論調査で、岸田内閣の支持率は前月比12.0ポイント減の32.3%と急落し、昨年10月の政権発足後最低となった。不支持率は同11.5ポイント増の40.0%で、初めて不支持率が支持率を上回った。安倍晋三元首相の国葬については「反対」が51.9%で、「賛成」は25.3%にとどまった。

支持率の急落からは、岸田文雄首相が世論と乖離した国葬を推し進めようとしていることへの反発や、自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係に国民がなお疑念の目を向けている状況がうかがえる。

旧統一教会問題への対応 「評価しない」62.7%、「評価する」12.4%

首相の旧統一教会問題への対応を尋ねたところ「評価しない」が62.7%を占め、「評価する」は12.4%だった。

首相や議員の説明に関しても、「納得できない」が74.2%、「納得できる」が5.5%。無党派層では「納得できない」が76.5%に上った。

支持しない理由(複数回答) 「期待が持てない」23.7%、「リーダーシップがない」15.7%、「政策がだめ」14.6%

政府の新型コロナウイルス対応を「評価しない」と答えた割合は、前月と同じ36.8%だった一方、「評価する」は前月比3.8ポイント減の35.8%だった。

内閣を支持する理由(複数回答)は、「他に適当な人がいない」12.5%、「首相を信頼する」6.9%、「印象が良い」6.8%など。支持しない理由(同)は、「期待が持てない」23.7%、「リーダーシップがない」15.7%、「政策がだめ」14.6%などが続いた。

政党支持率 自民22.4%(前月比1.9ポイント減)、立憲4.0%(0.8ポイント減)

政党支持率は、自民党22.4%(前月比1.9ポイント減)、立憲民主党4.0%(同0.8ポイント減)、公明党3.4%(同0.6ポイント増)。以下、日本維新の会3.4%、共産党2.3%、国民民主党1.3%、れいわ新選組0.7%、参政党0.7%、社民党0.2%、NHK党0.2%だった。「支持政党なし」は59.1%。

調査は全国18歳以上の男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は61.9%。

内閣支持急落、迫る「危険水域」 国葬・旧統一教会、支持層も不満

内閣支持急落、迫る「危険水域」 国葬・旧統一教会、支持層も不満―時事世論調査(JIJI.COM 2022年09月16日08時54分)

時事通信の世論調査で、岸田内閣の支持率は32.3%と急落し、政権維持の「危険水域」が目前に迫った。安倍晋三元首相の国葬や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題が最大の要因で、自民党支持層からも不満が漏れる。効果的な浮揚策は見当たらず、岸田文雄首相の政権運営は厳しさを増している。

首相は15日昼の岸田派会合で、臨時国会を10月に召集する考えを示し、「国内外に歴史を画する課題が山積している。緊張感を持って取り組み、国民の負託に応えたい」と強調。座長を務める林芳正外相は「臨時国会が正念場だ」と引き締めを図った。

危険水域は支持率30%が目安。これを割り込むと、首相の求心力低下に拍車が掛かり、政権維持が困難になるとされる。

世論調査は、首相が国葬について国会で説明し、自民党が所属国会議員と教団の接点に関する点検結果を公表した後の、今月9~12日に実施した。内閣支持率は前月比で12ポイントも落ち込んでおり、一連の対応が世論の反発を和らげるどころか、裏目に出た格好だ。

深刻なのは、自民党支持層の理解も得られていないことだ。国葬をめぐり、賛成は47.3%と半数に届かず、反対は33.2%。旧統一教会に関する首相らの説明も、「納得できる」はわずか13.0%で、「納得できない」が63.9%と大きく上回った。

与党内は危機感に覆われつつある。自民党の森山裕選対委員長は森山派会合で「支持率が非常に厳しい状況になってきた」との認識を示し、二階派幹部は「歯止めがかからない。菅政権の末期と似てきた」と嘆く。首相の身内である岸田派中堅も「肌感覚で逆風を感じる」と不安を口にした。

「首相が何をしたいのか分からない」との不満も強い。小泉内閣は郵政民営化、安倍内閣はアベノミクスや憲法改正を打ち出して求心力を保ち、長期政権につなげた。岸田内閣は「新しい資本主義」を看板政策に掲げるが、自民党内ですら理解が広がっているとは言い難い。公明党ベテランは「政権の柱がない。全て対症療法で右往左往している」といら立ちをあらわにした。

国葬は27日に行われ、臨時国会は10月上旬にも召集される。自民党関係者は「国葬が終われば批判は落ち着く。政策で結果を出せば支持率は元に戻る」と指摘。物価高などに対応する総合経済対策を議論する臨時国会が、政権の分水嶺になるとの見方を示す。

公明党の山口那津男代表は15日、記者団に「『支持を得られていない』と謙虚に受け止め誠実に取り組むほかない」と語った。