NHK党を離党したアイドル議員が、今だから話す「NHK党の離党者続出」の真相

NHK党のアイドル議員が離党した理由 政治・経済

「立花党首から言われたことに開いた口が塞がらなくなった」NHK党のアイドル議員が離党した理由(マネー現代 2023.02.09)
「ガーシーは論外」…NHK党を離党したアイドル議員が、今だから話す「NHK党の離党者続出」の真相(マネー現代 2023.02.09)

今川芳郎 フリーライター

昨年7月17日。参院選の投開票からちょうど1週間が過ぎた日の夜、佐藤恵理子(えりい)上尾市議会議員(36歳)が、突如NHK党からの離党を表明した。佐藤氏は「えびぴらふ」の名前でネットアイドルとして活躍し、グラビア写真集を出した過去も持つ異色の政治家だ。

NHK党党首である立花孝志氏は即座に、

〈佐藤えりい上尾市議 が他党に移籍して次の上尾市議会議員選挙を戦うのであれば、これまでの佐藤市議の事を私のYouTubeで全部暴露します。私は裏切り者の公人に対しては厳しいですよ。〉(立花氏のツイッターより)

と脅しとも取れるツイートを公開し、去り行く元同志に怒りを滲ませた。

参院選比例代表では、ガーシー(東谷義和)氏を擁立し当選させたNHK党だが、そのガーシー氏はいまだ一度も登院せず、滞在先のドバイで独自のSNS活動を継続中。今年に入り、複数の著名人らが脅迫や名誉毀損容疑の告訴状を警視庁に提出し、警視庁がガーシー氏の関係先を捜索していたことが明らかになるなど、話題に事欠かないNHK党だが、昨今、党員の離党が相次いでいる。立花氏、そしてNHK党は一体どこに向かおうとしているのか――。

無所属となった佐藤市議に、離党の真相や立花氏のこと、今後の活動など、赤裸々に語ってもらった。

(取材・文 今川芳郎)

唐突な地方切り捨て

――佐藤さんは、離党を発表した直後にご自身のツイッターで「頻繁な党名の変更」「度重なる方向転換」「同姓同名作戦(註:昨年の参院選比例代表で、れいわ新選組代表の山本太郎氏と同姓同名の候補者をNHK党が擁立したこと)」「詐欺をしている人(註:昨年の参院選にてNHK党が擁立したガーシー氏を指す)を応援したくなかった」など、離党に至った理由をいくつか挙げてましたが、何が決定打になったのでしょう。離党を考え始めたのは、いつごろですか?

佐藤恵理子(以下、佐藤) 実は、離党する半年以上前から考えていたことだったんです。

NHK党の場合、立花党首がYouTube上でメッセージを発信することによって、党員に対して業務連絡するケースが多いのですが。2021年秋、そのYouTubeを通じて「現職の議員は全員辞職して、来年の参院選に出る」よう、言われました。突然の出来事に、空いた口が塞がりませんでしたよ。「えっ、どういうこと?」って。

――それは、どういう方針なのでしょう?

佐藤 つまるところ、私たちは参院選でNHK党として票を獲得するためだけに、当選する見込みもないままに選挙に駆り出されるということです。そのために、議員辞職しろと。

昨年、ガーシー氏が比例代表から出馬して当選しましたけど、これは極めて異例のこと。色んな自治体で現職議員を務めている私たち党員からすると、かなり大きな賭けというか、ほぼ負けが決まっている戦いなんです。各党員は、それぞれの議会で課題に取り組んでいるわけですので、「ちょっとどうなのかな?」と。結果的に、私はこの要請を拒んで上尾市議会議員を続けたわけですが、立花党首の運営方針に強い不信感を覚えました。

NHK党の運営方針にうんざり

――地方を切り捨ててでも国政で勢力を増す方が重要だという、立花氏の判断だったのですかね?

佐藤 ええ。昨年の参院選でも、NHK党は多くの候補者を擁立しましたが、一言で言えば、政党交付金目当てなんです。

交付の対象となるのは、「国会議員を有し、かつ、前回の衆議院議員総選挙の小選挙区選挙若しくは比例代表選挙又は前回若しくは前々回の参議院議員通常選挙の選挙区選挙若しくは比例代表選挙で得票率が2%以上の政治団体」と決まってまして、その政党が擁する国会議員の人数、衆院選・参院選での得票数によって金額が決まることになっている。当選しなくても、票が集まれば集まるほど、交付金が入る仕組みになってまして、その仕組みを狙っているのです。

もちろん、党の運営にお金が必要になることは理解できますが、交付金をかき集めるために、現役議員に辞職させてまで候補者を乱立するというのはちょっとどうなのかなと……。

――なるほど。その甲斐あってと言いますか、今年NHK党に交付される政党交付金は3億3400万円に上ると、1月に発表されました。昨年1年間のNHK党への交付額は2億4200万円ですから、9000万円近く増える見通しになっています。

佐藤 ええ。それ以前の衆院選の時にも、「諸派党構想」と言って、交付金を得るために思想は関係なく、とりあえず候補者を乱立させた過去がありました。その際に、獲得できた助成金の額に応じて、寄付という形で候補者にバックが入ることを謳っていた。つまり、「儲かるから、うち(NHK党)から出てくれ」と。NHKの被害者たちを守るという党の活動にも、お金が必要になりますから、ある部分では納得していたのですが、次第に「選挙ビジネス」的な立花党首のやり方に違和感を覚えるようになりました。

餃子屋を経営してNHK党の党員に働いてもらうと言い出したり、党名を頻繁に変えたり。党首の言うことがコロコロ変わりますし、やることに一貫性がないなと徐々に感じるようになりました。そうしたことが積み重なって、昨年の参院選で「もう付いていけないな」と限界を迎えた。

急速に進む古参メンバーの“立花離れ”

――ガーシー氏の擁立も、離党の大きな理由だったのでしょうか?

佐藤 はい。ガーシーの件は、いまだに納得できません。彼は詐欺容疑でドバイに逃亡している人物ですからね。そもそも、NHK党は、NHKの違法な取り立てに苦しんでいる被害者を助けるための政党だったわけで、詐欺行為の被害に遭った方々のことを考えると、とても理解できない。当選したところで国会に出るわけでもありませんし、そんな人を担いでどうなるのかと。

政見放送でも、俳優の綾野剛さんを始め、芸能人やスポーツ選手の悪事を暴くと息巻いてましたよね。個人のSNSでやるのは問題ないと思うのですが、それを政治の舞台でやるというのはいかがなものかと思います。一般の人を攻撃するために、政治を使うなんて、私からすると論外。しかも、そんな人物を党がバックアップするなんて、意味がわからない。全く、賛同できなかった。本当に話題性だけですからね。

――そうした党の方針に付いていけず、昨年、佐藤さんのように離党する方が続出しましたよね?

佐藤 参院選の直前には、結党当初から党を支えてきた大橋昌信元副党首(柏市議会議員)が、除名という形で離れていったんですよね。ガーシー氏の擁立に強く反発していて、YouTube上で立花党首と大喧嘩した挙句の離党でした。その1日後には、小野沢たけし議員(新座市議会議員)も電話で立花党首に離党を告げていますし、同時期に立花と長く活動を共にしたコールセンター長も、置き手紙を残して辞めていったそうです。党の古参メンバーを中心に、「立花離れ」が急速に進み、次々に辞めていきました。

――そんな中、参院選後に佐藤さんも離党を表明されたわけですが、離党は立花氏に直接伝えたのですか?

佐藤 はい。7月17日の夜、電話で立花党首に離党を伝えました。ガーシー批判は流石にまずいと思ったので、党を離れる理由として「(参院選の)数字を見た上で次の選挙は難しいと感じた」と伝えました。あの時はとにかく立花党首を怒らせないように、ということだけ考えていて。まあ、案の定、怒っちゃいましたけど(笑)。

「徹底的に攻撃する。ツイッターで暴露する」と言われました。「議員を辞職しろ」と言われることはなかったのですが、今後他の政党に籍を移して、上尾市議選に出たら、ツイッターで暴露してやると。別に、暴露されるようなことは身に覚えがないので、気にしませんでしたけど。

小野沢議員に至っては、離党後に「これまで党が支払った675万円の返還や慰謝料」を求めて裁判を起こすとツイッターで攻撃されてましたし、辞めていった人に対して、容赦なく徹底的に攻撃する姿勢が怖いなと感じました。

次第に強まっていった独裁色

――以前は、立花氏について「ああ見えて、面倒見もいいし、優しい人」だと仰ってましたが、いま振り返ってみて、どんな人物なのでしょう?

佐藤 もちろん、お世話になった部分はありますし、立花党首への感謝の気持ちは今も変わりません。でも、離党した今だから言えますが、身内には優しい反面、離れていった人や意見を異にする人に対しては過剰に攻撃を加える。それも、インターネット上で晒すことを匂わせるような、過激で陰湿なやり方も含めて手段は選ばない。そういった彼の二面性が恐ろしいところだと思います。

私が入党した当時は、まだ党員も少なく小さな組織だったので、アットホームで仲間意識も強かった。現在の幹事長は、他党から来た黒川敦彦さんですし、副党首はホリエモンの運転手をされている齊藤健一郎さん。立花党首はホリエモンが好きなので、ホリエモンの関係者と交流を深め「そっちに染まってしまったな」と感じていた。古参メンバーがどんどん離れていって、こういった新しい方が要職に就くようになると、かつての仲間意識は薄れていきました。

それから、毎回YouTubeで公開されている定例会を見ていても感じるのですが、立花党首に意見を言いにくい空気が強まったように感じる。まあ、そもそもが立花氏の独裁色が強い組織ですので、仕方ないと言えばそれまでなのですが。組織が小さかった頃は、党員同士が話し合う機会も多かったんです。そういう場で、古参メンバーが立花党首に意見を言うこともありました。でも、組織が大きくなるにつれ、立花氏に意見を述べる党員はいなくなっていったように感じます。

何か意見を述べると、すぐに立花党首に言いくるめられてしまうし、場の空気も悪くなってしまうので、ほとんどの党員は話を聞いているだけ。いつからか、立花党首の話を聞いて「へぇ、そうなっていくんだ」と受け入れるだけになっていた(笑)。

他党だと、色んな党員が意見を述べて、党として議論を深めることが多いと思うのですがね。もっと意見を述べやすい環境だったら、古株の方々もNHK党を離れていかなかったんじゃないか、とか色々思いますが、こればっかりはなんとも言えませんね。

離党後の変化

――実際に離党されて、何か反響はありましたか?

佐藤 これまで支持してくれていた方々には、ツイッターで「離党するなら辞職しろ」と言われることが多かったです。離党した当時は、立花党首が私のことを「暴露する」とツイートしていたので、そこから飛んでくる方が多かったのかな。

中には、私と同様に立花党首の運営方針に疑問を持っていて、離党するに至った私の決断に共感を寄せてくれる方も。「離党しても、このまま頑張ってくれ」とか、「(立花党首に)ついていけないよね」と声をかけていただくこともありました。

個人的には、議員辞職は考えてません。もちろん、党のバックアップがあって当選した部分も大きいと思うのですが。当然ながら、市議になると、政党活動以外にも、やらなければならない日々の仕事がたくさんありますので。そういう意味でも、選ばれた以上、任期である4年間は務め上げる義務があるかなと。

私の場合、党への貸付金もなく、金銭的に党から援助を受けていたわけではありませんでした。現在も、上尾市議会議員としてのお給料以外は貰ってません。まあ、肩書きが変わったぐらいの変化ですよね。今は、離党してスッキリしてます。

――2019年に上尾市議選で当選してから3年以上経ちましたが、市議会議員としてどんな活動に力を入れているのですか?

佐藤 実際に困っている市民の方々から、色んな相談を受けるようになりました。そうした声を議会に届けたい、という気持ちが一番強い。相談を受けた問題を自分なりに調べて、議会で質問することが多いですかね。どんどん一般質問して、市民の声を届け、市政を変えていくのが市議会議員の仕事だと思ってますので。

それで、要望が通った時はやりがいを感じます。市民から受けた相談をもとに、市議会に要望を提出して「ゼロカーボン・シティ」が宣言され、今ではゴミを減らしていく取り組みに予算が割かれるようになりました。

街頭でも、不定期でビラ配りをしてますし、今後も、直接市民の方の声を聞く機会を大事にしていきたいですね。「議員って何をしているのか、よく分からない」という人が大半だと思うのですが、もっと市議会を身近に感じてもらえるような、環境作りをすることが大事だと感じています。

――今年、上尾市議の任期を満了するわけですが、最後に今後の展望を聞かせてください。国政へのご興味は?

佐藤 そういった野心はありません。今年の市議選で、二期目も務められたらなと思ってます。とりあえず、今は市議会議員として上尾市の問題に取り組むべきだと思ってます。

個人的にはゴミ処理問題を改善したいなと思ってます。市民からも、声が上がっているのですが、缶やビンなど、資源ごみの回収が上尾市では月に一回しかないんですね。単純に収集車が足りないという事情もあるのですが、上尾市では地域リサイクルに力を入れており、市内には130を超える地域リサイクル実施団体が存在します。資源ごみの回収には、そうした団体が従事しているのですが、市が収集車を増やして回収頻度を増やしてしまったら、彼らの仕事を奪うことになりかねない。そういった問題を解決するために、議論を重ねていく必要があると感じています。

今川 芳郎 YOSHIRO IMAGAWA
フリーライター。’88年、宮城県生まれ。編集プロダクション勤務、週刊誌記者を経て現職。得意とする分野は、芸能、サブカル、健康、貧困問題など幅広い