韓国にも抜かれた!日本人の給料が上がらない信じられない現実(北見昌朗、坂田拓也 幻冬舎 2022.5.27)より抜粋
韓国にも抜かれた日本の平均年収の無残
アメリカ中東部、バーボン発祥の地として知られるケンタッキー州の町で、郵便物集配人の募集広告が掲示されていた。時給は18.51ドル(2036円)。同様の仕事が日本では時給1000円程度で募集されているため、アメリカの賃金は日本より2倍高いことになる。しかもこの広告はニューヨークなどの大都市ではなく、国内では賃金水準の比較的低い町で掲示されていたものだ。
日本人の平均年収は、金融危機に襲われた1997年をピークとして、現在まで20年以上の長きにわたり減少傾向が続いている。物価も上がっていないため減少を実感することは難しいが、年々上昇してきた諸外国と比べると、日本人の給料の低さが際立ってくる(以下、金額は日本円に換算)。
主要先進35カ国の1997年の平均年収ランキングは、1位のスイスが599万円、2位のルクセンブルクが590万円、3位のオランダが570万円。以下、アメリカ、ベルギー、オーストリア、アイスランド……と続き、日本は14位の422万円だった(OECD=経済協力開発機構の調査、以下同)。
当時の日本はバブル崩壊後だが、平均年収が減りはじめたのは1997年以降のことだ。バブルを迎えて日本経済が世界のトップクラスになり、しかも1997年時点では一人当たりGDP(国内総生産)が世界4位だったにもかかわらず、平均年収は14位に甘んじていたことになる。より大きな問題は、日本人の給料がその後上がっていないことだ。
2020年の世界の平均年収ランキングと1997年からの上昇率を見ると、1位はアメリカの763万円(38%)、2位のアイスランドは742万円(49%)、3位のルクセンブルクは724万円(23%)と、1997年に比べて平均年収の額そのものが高くなっている。4位以下、上昇率だけを取り上げると、スイス(19%)、オランダ(14%)、デンマーク(30%)、ノルウェー(56%)、カナダ(33%)、オーストラリア(27%)と続く。
これに対して日本人の平均年収は、1997年から2020年までわずか0.3%の上昇でしかなく、順位は14位から22位まで落ち、スウェーデン(上昇率49%)、ニュージーランド(同34%)、スロベニア(同53 %)、そして韓国(同45%)に抜かれてしまった。