もうすぐ訪れる「タワマン大崩壊時代」…頑張って購入した「サラリーマン」の悲鳴が聞こえる

もうすぐ訪れる「タワマン大崩壊時代」…頑張って購入した「サラリーマン」の悲鳴が聞こえる 社会

もうすぐ訪れる「タワマン大崩壊時代」…頑張って購入した「サラリーマン」の悲鳴が聞こえる(GGO編集部 2022.5.15)

増え続ける超高層マンション、いわゆる「タワマン」。以前は購入者の多くが富裕層でしたが、最近は、「頑張ってタワマン購入」の共働き世帯が増えているといいます。しかし購入前に考えておきたいのが、数十年後のタワマンの姿。憧れが崩れていく姿をみていきましょう。

なぜタワーマンションは増え続けているのか?

不動産経済研究所『超高層マンション動向』によると、2020年時点、首都圏には917棟のタワーマンションが竣工。そのうち分譲が759棟、賃貸が158棟でした。2021年以降に誕生するタワマンは、全国では280棟、そのうち173棟となっています。

そもそもタワーマンションという法的な基準はありません。建築基準法や小穂某法では、31m、60m、100mと、建物の高さによって基準が設けられていることから、一般的に高さ60m以上、階数にするとおおよそ20階以上のマンションをタワ―マンションと呼んでいます。

タワーマンションは、高さ31m以上の建物に対して義務となっている中央管理室の設置に加え、構造強度について、地震時の揺れについて検証し、震度6強から7の地震の際、高さに対する揺れがおおむね1/100以内、つまり高さ100mの場合は、最上階の揺れが振幅1mを越えないように設計。国土交通省の大臣認定を受けることが義務となっています。

また設備の安全性については、エレベーターであれば、震度6強〜7の地震でもエレベータのかごが脱落しない、震度5弱程度の地震ではエレベーターが直ちに停止するなどの基準が設けられています。

また火災の際の対策も気になるところ。消防法では高さ31m以上で非常用エレベーターの設置が義務付けられているほか、じゅうたんやカーテンなどは防炎物品を使用するよう定められています。さらに高さ100m以上であればヘリコプターの緊急離着陸場の設置は必須です。

そのような厳しい基準のうえで造られているタワーマンションですが、日本で初めて登場したのは、1976年、現在の埼京線「北与野」、総戸数463戸の大規模マンションである「与野ハウス」といわれています。

当時は、容積率や日照権などの規制が厳しく、建設には広大な敷地が必要でした。そのため、比較的土地を確保しやすい郊外や河川近くが選ばれていました。

そのような状況が変わったのが1997年。建築基準法が改正され、共用部分が容積率算出上の延床面積に算入されなくなりました。また都市計画法の改正により、容積率も緩和。それによりタワーマンションが建てやすい条件が揃うことに。以降、人口密集地にタワマンが乱立することになったのです。

タワーマンションの大規模修繕…手法は確立されてなく費用は割高、さらに

防災等の都市計画の点でも、また販売戸数を増やすことができるという開発側の事情の点でも、今後もタワーマンションは増え続けるといわれています。

また以前はタワーマンションの購入者は富裕層というのがお決まりでしたが、昨今の超低金利を受けて、メインの購入層は会社員の共働き層へと移っています。もちろん超都心、すべてが億ションというプレミアムな物件は次元の違う話ですが。

ただ一般層がタワーマンションを購入するときに気をつけたいのが、購入後、およそ30~40年経ったあとのこと。

マンションの場合、およそ15〜20年ほどで大規模修繕が必要となります。もちろんタワーマンションも同様です。通常のマンションの場合、その手法が確立されていて、見通しを立てることが容易。費用的なズレもそれほど大きくはありません。

国土交通省が2018年に実施した『マンション大規模修繕工事に関する実態調査』によると、大規模修繕工事の1戸あたり工事金額は、1回目(367棟)で中央値98.7万円、平均値100.0万円、2回目(201棟)で中央値95.6万円、平均値97.9万円。床面積1平米当たりの工事金額は、1回目(473棟)は中央値1万0,648円、平均値1万3,096円、2回目(249棟)は中央値1万1,752円、平均値1万4,640円でした。

一方、タワーマンションはどうでしょうか。現時点では、大規模修繕の手法は確立されておらず、すべてオーダーメイドという状況です。今後、通常のマンションのように手法が確立されればいいのですが、まだ棟数が少なく、各ゼネコンが最新技術を用いて施行していることから、画一的な手法を確立するのは難しいだろうといわれています。

タワ―マンションの修繕費の相場は、通常マンションの2倍程度といわれていますが、1回目の修繕は当初の見通し内で対応できたとしても、30~40年で迎える2回目の大規模修繕では予想を超え、数億円単位で予算が足りないというタワーマンションが急増しているというのです。

このような問題に拍車をかけているのが、タワーマンションの戸数の多さ。区分所有者が多ければ、それだけ合意形成が難しくなります。修繕を行うには所有者の一定以上の賛成が必要ですが、それがタワーマンションだとかなりの難易度。「修繕費が大きく足りないので、追加で費用を出し合いましょう」という状況になったとき、はたして合意が得られるか……。必要な修繕が行えないと、至る所で破損や腐敗が進むことになるのです。

このような状況は一般のマンションでも起こっていること。街中で「管理はどうなっているのだろう……」と首をかしげたくなるボロボロのマンションを見たことがないでしょうか。そのような状況になるタワーマンションが今後は増えていくだろうというのです。

少し無理をしてだけど、頑張ってタワマンを買った!という一般世帯も多いでしょう。その数十年後、憧れて買ったタワーマンションが哀れな姿に……そんな事態に陥るリスクを負っています。もちろん、すべてのタワ―マンションが同じ道を辿るわけではありません。管理が行き届き、言われている通り、高い資産価値を保ち続けるものもあります。タワーマンション購入で失敗しないためにも、いかに長期的な視点で検討するかが鍵となります。