大阪の人以外はよくわからない日本維新の会、どれくらい信頼できる政党なのか 維新と“イシンジャー”に批判的な大阪の人が語る、大阪で起きていること

先の統一地方選で勢力を拡大した日本維新の会 政治・経済

大阪の人以外はよくわからない日本維新の会、どれくらい信頼できる政党なのか 維新と“イシンジャー”に批判的な大阪の人が語る、大阪で起きていること(JBpress 2023.9.2(土))

長野 光

今年4月に行われた統一地方選挙で、他の候補に大差をつけて当選し、大阪府知事の続投を決めた日本維新の会の共同代表を務める吉村洋文氏。大阪市長選挙でも、維新の横山ひでゆき氏(元大阪府議会員)が当選した。

吉村氏は会見で、「府民のみなさんと約束したことを必ず実行する」と語ったが、維新政治の矛盾を指摘する声も少なくない。「維新政治は嘘ばかり」と語る日本城タクシー株式会社、代表取締役の坂本篤紀氏に真意を聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──坂本さんは維新政治をどう見ていますか、維新政治の特徴や政治手法について感じていることを教えてください。

坂本篤紀氏(以下、坂本):私はよく「維新に批判的」などと言われます。維新を支持する方々の中でも、反対意見に聞く耳を持たない、議論にもならない維新の信者、通称「イシンジャー」には、私の意見は批判的に聞こえるのかもしれませんが、私の感覚では、ごく普通のことを指摘しているに過ぎません。

年収が2億5000万円あるわけではないし、イーロン・マスクみたいな稼ぎ方をしているわけでもない。そんな私からすると維新の政治感覚は肌に合わない。

たとえば、維新が謳う「教育の無償化」などがそうですが、彼らは平気で前言を翻す。

「完全無償化ですよ」「私立高校にただで通える」などと言い切っていましたが、実際には「上限」や「所得制限」などについて、いまだに議論している最中だという。「なんや、やってなかったんかいな」という話です。

しかも、この10年で公立学校を10校以上閉鎖している(昨年8月の時点で、大阪府は10年間で15校の高校を廃校にする計画を立てている。廃校が検討されている学校も含めると、2014年度から2023年度の間に廃校する学校の数は17校になる)。

もともと入学金も授業料も安い公立を閉めて、「私立に行きなさい」は政策としておかしい。

維新流・民営化の評価

──維新と言えば新自由主義というイメージがあります。大阪でもいろんなことを民営化してきました。

坂本:「民営化がどうして必要なの」と問いたい。国鉄の民営化だって、何がどうよくなったというのか。残った二十数兆円の借金を国民にかぶせて、その分不景気になり、地方では鉄道が走らない状況になってしまった。

民営化で無くしていいものと悪いものがある。

学校に利益を求める。ごみ収集を民間に委託しようとする。民営化しても、儲かるとはとても思えないし、儲からなかったらゴミを回収してくれないようになってしまう。お金にならないことをするのが公の仕事でしょう。

大阪市の場合は、交通局を民営化するという馬鹿げたことをやりました。

横浜の市営バスの運転手さんの年収は740万円ですが、大阪はバスの運転手さんの給料が400万円台になってしまった(大阪市は民営化により、大阪運輸振興への業務委託を進め、運転手の給与が引き下げられた)。たくさん黒字を出してほしいわけではないけれど、これはおかしい。

公立病院が赤字だから閉めるというが(橋下徹氏の知事時代、行政の無駄を省くとの号令のもと、公立病院の数を減らした)、患者が良い医療を受けて、それに払う対価が安かったから公立病院が赤字になっているわけでしょう。診察を受けた患者で言えば黒字や。誰のために政治をしているのか。

中央区の一等地にあった大阪市立東商業高等学校は分かりやすい例で、3年連続定員割れしたという理由で廃校にされ、その後に建てられたのがタワーマンションとスーパーマーケットです。それで、入学金の高い私立に行きなさいというのが今の大阪の政治です。

「大阪の成功を全国へ」と言っていますけど、実際には失敗している。

最初のころの話と違う大阪万博

──維新は大阪のビジネス界とどんなつながりを持っているのでしょうか?

坂本:一般社団法人大阪青年会議所(JCI大阪)との関係があるのではないかと思います。大阪は自民党からの鞍替えも多い。自民党はもともと大阪では選挙で弱かった。このままじゃ泥船だからということで維新に寝返った。

維新は世襲議員を目の敵にして「自分たちにはしがらみはない」というけれど、大阪の府議会議員や市議会議員を見たら、ほとんど2世です。3世という人までいる。

「おおさか維新の会」の結党大会を終え、記者会見する当時の橋下徹大阪市長(中央)。左は松井一郎大阪府知事(当時)、右は吉村洋文氏(写真:共同通信社)

──2025年大阪万博が近づいていますが、あまり準備が進んでいないことなどが話題になっています。

坂本:あれは沼万博です(笑)。もともとゴミを焼いた灰や浚渫で掘った道頓堀川のヘドロで埋め立てて作ったのが夢洲。なんであんなところで万博しようと考えたのか理解できない。

チケットを企業に押し付ける。学校にも万博へ行けと求める。予算に関しても、「1250億円でいける」なんて言っていたのに1850億円に引き上げられる。全然話が違う。

最近の吉村知事の囲み取材を見たら、「万博は国の行事ですから博覧会協会を通じて急がせます」なんて言って、「なんだったら手伝いましょうか」という態度に転じ始めている。「鶴見区あたりの陸地でやります」と言って謝ればいいのに。

しかも、統一地方選挙が終わるまで万博の工事の遅れを口にしなかった。夢洲と結ぶ橋の構想も嘘、橋の新設も見送りにして、もともとあった夢舞大橋だけでやることになった。最初のころの話と全然違う。

「身を切る改革」の本質

──笹川理府議が5月末に、別の大阪維新の会の女性市議にセクハラやパワハラをして離党しました。梅村みずほ参院議員も今年5月、名古屋出入国在留管理局で病死したスリランカ人女性・ウィシュマさんについて、「ハンガー・ストライキによる体調不良で亡くなったのかもしれない」と発言し、日本維新の会から党員資格停止6カ月の処分を受けました。

昨年8月には、福岡市の堀本和歌子市議会議員が、別の元衆議院議員の男性の名前で「旧統一教会の式典で韓日トンネルへの賛意と、祝辞を述べさせていただきました」などと記したビラを博多区内で配ったとして、警察から任意で事情を聞かれ、10月に日本維新の会を離党しています。

ビックリするような問題行動を起こす議員が次々と維新から誕生しています。

坂本:維新議員の不祥事を真面目に読み上げたら2時間くらいかかる。「身を切る改革」が口癖ですが、身内には甘いのが維新の実情で、身内の義理を果たすという意識だとしたら、ほとんどヤーサンの世界です。

「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」と書いて問題になった長谷川豊という人もかつて維新にいましたが、維新に一番欠けているのは当事者意識です。

ただのポピュリズムとも少し違って、方向性としてはトランプに近いものを感じる。自分たちの利益につながる強固な2割くらいの有権者の支持を固めて、そっちを向いてだけ政治をする。そうすると、当日の投票率が4割だったら大阪では確実に過半数が取れる。

大阪都構想をなぜ住民投票にしたのか。議会で通そうとしたら半分以上の支持を集めなければならないから無理だと考えたということです。

長野光(ながの・ひかる) ビデオジャーナリスト

高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。