あなたの民を正しく治める知恵をお与え下さい。
ソロモン(BC10世紀)は、旧約聖書に登場する古代イスラエル王国の第3代の王。父はダビデ。古代イスラエル王国の最盛期を築きました。晩年は律法で禁じた異教の偶像崇拝に陥ったため、死後、王朝は、南朝ユダヤ王国と北朝イスラエル王国に分裂しました。
最盛期には、ソロモンの知恵と目もくらむような栄華は近隣諸国に知れ渡り、親交を求めて来朝する王や使者が絶えなかったと言います。
ソロモンの知恵を確かめようとやって来たシバの女王は、難問を投げかけましたが彼はすべてに難無く応えたので、女王はソロモンを褒め称え、たくさんの金と香料、宝石を献上しました。映画、歌劇、音楽で有名な「シバの女王」のことです。
二人の女が一人の子どもを連れて奉行所にやって来た大岡裁きの物語は、ソロモン裁きをモデルにして作成されました。
ソロモンの知恵の由来は、旧約聖書『列王記上』に記載されています。
ソロモンはダビデの後を継いで若き10代で王に就きます。ある夜、エホバが夢に現れて、「あなたは何が欲しいですか」と聞きます。ソロモンは、「私はほんの若者で、支配の仕方がわかりません。ですから、あなたの民を正しく治める知恵をお与え下さい。」と答えました。
エホバは,ソロモンの願いを喜ばれて、こう言われます。「あなたは長生きすることや富を得ることを求めないで、知恵を求めたので、私はあなたに、今までの誰よりもすぐれた知恵を与えます。また、あなたが求めなかった、富と栄光とを与えます。」
列王記上 第3章
05 その夜、主はギブオンでソロモンの夢枕に立ち、「何事でも願うがよい。あなたに与えよう」と言われた。
06 ソロモンは答えた。「あなたの僕、わたしの父ダビデは忠実に、憐れみ深く正しい心をもって御前を歩んだので、あなたは父に豊かな慈しみをお示しになりました。またあなたはその豊かな慈しみを絶やすことなくお示しになって、今日、その王座につく子を父に与えられました。
07 わが神、主よ、あなたは父ダビデに代わる王として、この僕をお立てになりました。しかし、わたしは取るに足らない若者で、どのようにふるまうべきかを知りません。
08 僕はあなたのお選びになった民の中にいますが、その民は多く、数えることも調べることもできないほどです。
09 どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください。そうでなければ、この数多いあなたの民を裁くことが、誰にできましょう。」
10 主はソロモンのこの願いをお喜びになった。
11 神はこう言われた。「あなたは自分のために長寿を求めず、富を求めず、また敵の命も求めることなく、訴えを正しく聞き分ける知恵を求めた。
12 見よ、わたしはあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はいない。
13 わたしはまた、あなたの求めなかったもの、富と栄光も与える。生涯にわたってあなたと肩を並べうる王は一人もいない。
14 もしあなたが父ダビデの歩んだように、わたしの掟と戒めを守って、わたしの道を歩むなら、あなたに長寿をも恵もう。」
15 ソロモンは目を覚まして、それが夢だと知った。ソロモンはエルサレムに帰り、主の契約の箱の前に立って、焼き尽くす献げ物と和解の献げ物をささげ、家臣のすべてを招いて宴を張った。