ワクチン対策で「迷走中」の岸田総理が、河野太郎のツイート「4万超のいいね」に焦ったワケ(週刊現代 2022.02.16)
2月7日、いつもは静かな霞が関の中央合同庁舎8号館が、月曜から物々しい雰囲気に包まれた。出入りするワクチン担当の厚労省キャリア官僚が言う。
「大量の段ボール箱を11階まで運び上げなければならず、エレベーターは引っ越し組で大混雑。予算委員会の真っ最中で忙しくて、みんな気が立っているのに……。しかも、2日間で作業を終わらせろと言うんですから」
岸田官邸が、政府のワクチン担当チームの「大移動」を突然命じ、現場の大混乱を招いた。
きっかけは5日、前ワクチン担当大臣の河野太郎氏がツイッターでワクチン接種の遅れについて〈私の時はチームは大臣室の隣にいたけれど、今は隣の建物の地下〉と指摘し、大臣と官僚の連携が悪いと批判したことだ。
「これに4万8000件も『いいね』が付き、岸田総理が珍しく焦った。
11階にある堀内(詔子ワクチン担当)大臣の隣室に、菅政権でワクチン担当だった課長や審議官の机を大急ぎで移動させるよう指示したのです。引っ越し先の部屋は別の部署が使っていましたが、すぐに出て行かせた」(全国紙厚労省担当デスク)
批判されてものらりくらりとかわすだけだった岸田総理が、河野氏の「鶴の一声」に見せた過剰反応。岸田派から「コネ枠」的に引き上げた堀内氏が追い込まれ、政権のアキレス腱と化していることを、とうとう無視できなくなったのだ。
だが、この決断はむしろ逆効果かもしれない。
「河野さんは『厚労省が堀内大臣に情報を上げないのが悪い』と言うけれど、製薬会社との交渉やワクチン配分の詳細なんて、堀内さんに話しても分からない。事態がより悪化するだけです」(前出・厚労省キャリア)
こんなゴタゴタが起きている間にも、感染は広がってゆく。
『週刊現代』2022年2月19・26日号より