「茶番劇だ」「ぶれすぎ」…裏金が響いて「非公認」の議員ら不満顔 萩生田光一氏、下村博文氏の胸中は

自民党の平沢勝栄元復興相=10月9日、国会で 政治・経済

「茶番劇だ」「ぶれすぎ」…裏金が響いて「非公認」の議員ら不満顔 萩生田光一氏、下村博文氏の胸中は(東京新聞 2024年10月9日 19時48分)

自民党は9日、派閥政治資金パーティー裏金問題に絡み、今回の衆院選(15日公示、27日投開票)に選挙区で立候補予定の12人を非公認とすることを決めた。対象となった議員らは報道陣の取材に「党が決めたことだから従う」「初心にかえって出直す」と口をそろえた一方、党執行部への不満や怒りの声も漏れた。(政治部、社会部、デジタル編集部)

平沢勝栄氏「逆に頑張ろうと燃えている」

「こんなの茶番劇だ」

自民党が9日午前に発表した衆院選の第1次公認で旧二階派から唯一、非公認となった平沢勝栄元復興相=東京17区=は、衆院を解散する本会議前の東京新聞の取材に声を荒らげた。「一人一人状況が違うから、線引きが公平かどうかという問題はある。対象になって、頭にきている人はいると思う。若い人はかわいそうだ」

平沢氏は、9月の自民党総裁選では石破茂氏を支援。告示直前の9月8日には、地元・葛飾柴又を「寅さん」のコスプレをした石破氏とともに練り歩いた。「一生懸命、応援はしたけどね」と振り返った。

衆院解散直後にも報道陣の取材を受けた平沢氏は、「葛飾区の(自民党の)区議会議員、逆に頑張ろうということで燃えている。みんな若干気が緩んできたところだったから、公認を外れたことで気を引き締めてくれたということで、ありがたいと思っている」と自らに言い聞かせるように語った。

下村博文氏「一事不再理であるべきなのに」

「一事不再理みたいなことであるべきなのに、またするというのはちょっとぶれすぎだと思う」

下村博文元文部科学相=東京11区=は衆院解散後、党執行部が当初は原則として全員公認する方針だったにもかかわらず、一転して一部を非公認とする判断になったことに苦言を呈した。下村氏以外に非公認となった旧安倍派の10人を「私は前から分かっていたが、全く(政治資金収支報告書に)不記載という自覚がない中で、ふたを開けたらそうだと言われた方々がかわいそうだ。確信的にしたわけじゃない」とおもんぱかった。

下村氏は、衆院選の争点が裏金問題一色になることを懸念。「それだけで本当に日本の国政、大丈夫なのと、相当心配する人もいる。これからの未来をどう作っていくかが、選挙で本来問われるべきだと思うし、そういう話をしていきたい」と話した。

細田健一氏「いい加減にしろという気持ちはある」

細田健一氏=新潟2区=は報道陣に、「朝、報道で知ったが、相当びっくりしたというのが正直なところだ。どういう理由でこういう判断が出されたとか、よく分からないので、相当困惑している」と吐露。

公示まで数日というタイミングでの決定となったことに関しては、「正直勘弁してほしい。いい加減にしろという気持ちはある」とうんざりした様子で話した。

小田原潔氏「一生懸命戦って、石にかじりついてでも当選して帰ってくる」

小田原潔氏=東京21区=は、知り合いの記者から午前9時すぎに「ひどいですね」というショートメールが来て、「そういうことか」と気付いたという。

報道陣から「非公認となることを想定していたか」を問われ、「ゼロではないが、やや意外ではあった。ただ、不平不満があるとかそういう意味ではない」と説明。「一生懸命戦って、石にかじりついてでも当選して帰ってくる。それだけだ」と話した。

高木毅氏「若い皆さんの非公認、申し訳ない」

高木毅元復興相=福井2区=は「初心にかえって一から出直すつもりで、しっかり戦い抜きたい」と報道陣に語った。

非公認の決定については「党が決めたことだから、受け止めて従う」とした上で、「私のことはともかく、若い皆さんが非公認ということで、大変厳しい選挙を余儀なくされるだろうと思う。派閥の幹部だった者として、申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」と話した。

福井2区には、高市早苗・前経済安全保障担当相の夫で落選中の山本拓・元衆院議員が立候補を表明している。「保守分裂」選挙となることについては、「どなたが出られても、常に挑戦者という気持ちでやっている。今回もそうした気持ちで戦いたい」と述べた。

萩生田光一氏「初心にかえって故郷の代表を目指す」

萩生田光一元政調会長=東京24区=は衆院本会議直前に事務所のX(旧Twitter)でコメントを発表。

「色々な想いはございますが、ここは党に所属する議員として、決定を真摯に受け止めて無所属として戦いに挑む決意です。初心に帰って故郷の代表を目指し、新たな気持ちでがんばる所存です」と記した。

非公認となった12人は以下の通り(選挙区は次期衆院選から適用される新しい区割り)。

萩生田光一氏(元党政調会長、元経済産業相) 東京24区
高木毅氏(元党国対委員長、元復興相) 福井2区
西村康稔氏(元経済産業相) 兵庫9区
下村博文氏(元文部科学相、元党政調会長) 東京11区
平沢勝栄氏(元復興相) 東京17区
三ツ林裕巳氏 埼玉13区
菅家一郎氏 福島3区
中根一幸氏 埼玉6区
小田原潔氏 東京21区
細田健一氏 新潟2区
越智隆雄氏 東京6区
今村洋史氏 東京9区  ※元職

平沢氏は旧二階派で、他の11人は旧安倍派。越智氏は不出馬を検討する考えを表明している。