ハリス氏が大統領候補指名の受諾演説、「全ての米国人のための大統領になる」…米民主党大会最終日

ハリス氏が候補者指名を受諾 国際

ハリス氏が大統領候補指名の受諾演説、「全ての米国人のための大統領になる」…米民主党大会最終日

ハリス氏が大統領候補指名の受諾演説、「全ての米国人のための大統領になる」…米民主党大会最終日(読売新聞 2024/08/23 11:51)

米イリノイ州シカゴで開かれている民主党大会は最終日の22日、大統領候補に指名されたカマラ・ハリス副大統領(59)が受諾演説を始めた。黒人、アジア系として米国初の女性大統領を目指しており、演説で「全ての米国人のための大統領になる」と誓った。11月の大統領選で、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)と対決する。

ハリス氏は演説冒頭、インドから乳がん研究者となるため米国に移民した母親に「美しい労働者階級地域」で育てられた生い立ちを紹介し、庶民性をアピールした。

政治的な分断が進む米国にとって、今回の大統領選は「対立を乗り越える貴重な機会になる」と強調した。支持政党にとらわれず新たな前進の道筋を描くチャンスだとして、幅広く支持を訴えた。演説では自らが当選すれば、「高い理想のもとに団結し、耳を傾ける大統領になる」と語り、「常に国民のために戦う」とも約束する。

さらに、「強い中間層(ミドル・クラス)こそ、米国の成功に不可欠だ」と述べ、「中間層を築くことが大統領としての目標だ」と明言する。その上で、米国では全てが可能だとして、どんな境遇からでも成功に手が届く「アメリカン・ドリーム」の実現を手助けする姿勢を強調する。

トランプ氏については「多くの意味で不真面目な男だ」と批判し、返り咲いた場合の影響は「極めて深刻だ」と主張する。2020年大統領選の結果を覆そうとしてトランプ氏が起訴された事件で、連邦最高裁が大統領在任中の公的行為は刑事訴追を免れると判断したことを念頭に、権力が乱用される可能性を指摘する。

ハリス氏はカリフォルニア州出身。地方検事や州司法長官、上院議員を務めた後、民主党のジョー・バイデン大統領(81)の下、女性初の副大統領に就任した。白人男性で副大統領候補のミネソタ州、ティム・ウォルズ知事(60)とともに、共和党のトランプ氏、副大統領候補のJ・D・バンス上院議員(40)に挑む。

ハリス氏が指名受諾演説 米民主党大会最終日

「人々を団結させる大統領」主張へ

ハリス氏が指名受諾演説 「人々を団結させる大統領」主張へ 米民主党大会最終日

11月の米大統領選で政権維持を目指す民主党の党全国大会は22日、中西部イリノイ州シカゴで最終日を迎え、大統領候補のハリス副大統領(59)が指名受諾演説を行う。共和党候補のトランプ前大統領(78)と世論調査の支持率で競り合う中、党の結束を固め、無党派層の支持獲得に向けて弾みをつけたい考えだ。

陣営が事前に公表した演説の草稿によると、ハリス氏は「高い志のもとに人々を団結させる大統領になる」と訴え、有権者の声に耳を傾けると強調する。「常に米国民のために戦う」と誓い、大統領選勝利への協力を求める。

また「力強い中間層は米国の成功に常に不可欠だ」と語り、力強い中間層の構築を大統領としての「目標」に掲げる。

ハリス氏は人工妊娠中絶の権利擁護や中間層の底上げに向けた生活費負担の軽減などを各地の遊説で訴えている。

19日に始まった党大会では、出馬を辞退したバイデン大統領(81)からハリス氏への世代交代をアピール。党内で人気の高いオバマ元大統領(63)やヒラリー・クリントン元国務長官(76)らが演説し、ハリス氏勝利へ協力を呼びかけた。

ハリス、トランプ両氏は9月10日に接戦州の東部ペンシルベニア州で開かれる討論会に臨む。

ハリス氏が候補者指名を受諾 「分断乗り越え新しい道進む機会」

ハリス氏が候補者指名を受諾 「分断乗り越え新しい道進む機会」

11月の米大統領選で民主党の候補者指名を受けたハリス副大統領(59)は22日、中西部イリノイ州シカゴでの党全国大会で指名受諾演説を行った。ハリス氏はこの選挙について、米国が「過去の冷笑主義や分断を乗り越え、新しい道を進む機会だ」と語った。

またハリス氏は「ここ数週間の道のりは疑いようもなく予期しないものだった。しかし私は、あり得そうもない旅路になじみがないわけではない」と語り、黒人とインド系の血を引く女性として初めて副大統領となった自身の経歴を紹介。初の女性大統領として政権を率いる準備はできているとアピールした。自身の原点としてサンフランシスコの下町で過ごした生い立ちも披露した。

ハリス氏「中国との競争に勝つ」 「世界でのリーダーシップを強化」と受諾演説

ハリス氏「中国との競争に勝つ」 「世界でのリーダーシップを強化」と受諾演説

米民主党のハリス副大統領(59)は22日の党候補者指名受諾演説で、「宇宙空間や人工知能(AI)の分野で中国との競争に勝利し、世界での米国のリーダーシップを放棄するのではなく強化する」と力を込めた。

またハリス氏はウクライナ情勢に絡み、共和党候補のトランプ前大統領(78)は「北大西洋条約機構(NATO)を解体すると脅し、プーチン(露大統領)の侵略を助長した」と指摘。自身の当選後はバイデン政権の路線を引き継ぎ、「ウクライナやNATOの同盟諸国とともに立つ」と強調した。

ハリス氏「金正恩はトランプを操作できると知っている」 強権体制との対峙を強調

ハリス氏「金正恩はトランプを操作できると知っている」 強権体制との対峙を強調

米民主党のハリス副大統領(59)は22日の党候補者指名受諾演説で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は11月の大統領選で共和党候補のトランプ前大統領(78)が勝利することを期待していると指摘。「なぜなら、彼ら(北朝鮮)はお世辞やごますりで簡単に(トランプ氏を)操作できると知っているからだ」と述べた。

また、ハリス氏は「トランプは強権指導者たちに責任を取らせようとはしない。それは自分も強権指導者になりたがっているからだ」と痛烈に批判。自身が当選したら「米国の安全と理想を弱めることは決してしない」と語った。

ハリス氏「イスラエルの自衛能力を確かに」 武器禁輸論に否定的な姿勢

ハリス氏「イスラエルの自衛能力を確かに」 武器禁輸論に否定的な姿勢

11月の米大統領選で民主党候補に指名されたハリス副大統領(59)は22日の指名受諾演説で、パレスチナ自治区ガザ情勢を巡って「イスラエルの自衛権を常に支持し、(同国の)自衛能力を常に確かなものとする」と語った。民主党の一部が主張するイスラエルへの武器禁輸に否定的な考えを示した。

その一方でハリス氏は、パレスチナの「尊厳」や「自決権」を重視し、将来のパレスチナ国家独立によるイスラエルとの「2国家共存」を支持する姿勢を強調した。