ペンス氏、トランプ氏の台湾発言批判 「危険なほど狭い理解と無知」(毎日新聞 2024/8/22 09:30 最終更新 8/22 09:30)
米共和党のペンス前副大統領は21日のワシントン・ポスト紙(電子版)に寄稿し、中国が統一圧力を強めている台湾への支援を軽んじるトランプ前大統領の発言について、「世界における米国の役割に対する危険なほどの狭い理解と、米国の離脱がもたらす広範囲にわたる影響への無知を反映している」と酷評した。
寄稿は、ペンス氏と保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の創設メンバーであるエド・フルナー氏との連名によるもの。
トランプ氏は、米ブルームバーグ通信が7月に公開したインタビューの台湾防衛に関するやりとりの中で、米国と台湾は約1万5290キロ離れているが、中国から台湾は約110キロだと指摘。「我々は保険会社のようなものだ。台湾は我々に防衛費を支払うべきだ」などと不満を示した。
ペンス氏らは寄稿で、「共和党内で台湾やその他の同盟国を見捨てることを主張する、厄介な孤立主義の傾向が表れつつある」と指摘した。トランプ氏の台湾との距離に関する発言を挙げて批判し、台湾が中国に統一されれば米国の安全保障の約束は「空約束」とみなされ、米国に中国を阻止する能力も意思もなければ多くの国は自国防衛のために核兵器開発に向かうと説明。このため核軍拡競争を引き起こす可能性があるなどと警告した。
そのうえで「米国は台湾を断固として支援しなければならない。それが米国の国益にかなうからだ」と強調。トランプ氏らを念頭に「孤立主義者に惑わされている余裕はない」と訴えた。
ペンス氏はトランプ氏を副大統領として支えたが、2020年大統領選の敗北を覆そうとしたトランプ氏への協力を拒否し、21年1月の連邦議会襲撃事件後にたもとを分かった。【ワシントン西田進一郎】