約50億円の収益を上げた個人投資家が解説、投資経験ゼロでも儲けはがっちり「ほったらかし投資」のすすめ

「ほったらかし投資」のすすめ 政治・経済

約50億円の収益を上げた個人投資家が解説、投資経験ゼロでも儲けはがっちり「ほったらかし投資」のすすめ(週刊女性 2024/8/17)

2月に日経平均株価がバブル超えを果たし、7月も最高値を更新した。新NISAによる非課税の恩恵も受けられる今、「なんだか、投資を始めないとソンしそう」と思う人も少なくないようだ。

「銀行に預けてもお金は増えませんからね」と話すのは、個人投資家のたけぞうさん。元証券マン、在籍中に約50億円の収益をあげた敏腕ディーラーだ。こう続ける。

「定期預金の金利は比較的高いところでも年0.2~0.6%ほど。近年の物価上昇にとても追いつきません。つまり預貯金だけしていては、お金は目減りしていきます」

今の時代は「お金は、眠らせておく(貯金)」のではなく、「働かせる(投資)」ことも考えたほうがいいという。

初心者は「ほったらかし投資」から始めよう

でも、世の中の景気がよくなっているとは思えないのに、なぜ株価が上昇するのか?

「2020年から始まったコロナパンデミックによって経済活動が停滞しました。それで政府が、企業や国民の生活を支えるため、国債を大量に買い取ったり、特別給付金を支給したのです。結果、世の中にお金が大量に出回り、金融市場にも流れ込んだ。世界中で同じようなことが起こり、世界的な株高と物価高になったわけです。

また、円安も追い風。海外で稼ぐグローバル企業には有利ですし、国内でのインバウンド需要も好調。企業の売り上げが伸びれば当然株価も上昇します」(たけぞうさん、以下同)

なるほど。実際に、今最も勢いがある産業、半導体関連企業の株価は、ここ1年で2倍、3倍になったところも少なくない。もう少し長い期間で見ると、あのディズニーランドを運営するオリエンタルランドの株価は、15年で約15倍に上昇。

大きなリターンを期待できるのが株式投資の魅力でもある。

その半面、投資には下がるリスクもある。株に興味はあるものの……「損をすることもあるから怖い」「難しくてよくわからない」「投資に費やすお金も時間もない」と、

一歩を踏み出せない人が実はとても多い。

「いやいや、投資ってそんな難しいものでも怖いものでもありません。もちろん短期間で大儲けしようとすれば大きなリスクを伴います。ですが、そんな危険を冒さなくても、銀行に預けるような感覚で、コツコツ利益を積み重ねていく手法があります」

と、たけぞうさん。それが、ほったらかし投資。買ったあとは、“ほったらかし”で、値動きに一喜一憂する必要はない。年月をかけてゆっくりとお金を増やしていく方法だ。

積立投資信託はこの2商品を

「初心者はまず、新NISA口座で、積立投資信託から始めてみてはどうでしょう」

投資信託とは、国内外の株などを詰めたパッケージ商品のようなもの。積み立てなら1000円単位で始められ、まとまったお金がなくても気軽に投資ができる。銀行の積立預金のように、最初に金額を設定しておけば、毎月自動的に買い付けが行われる。

「インデックスファンドという、株価などの指数に連動した値動きをする商品は、比較的値動きが緩やかで大きく下がるリスクが少ない。これを長期で運用するのがポイント。

というのも、積立投資信託は複利で運用されます。元本に運用利益が加わって、そこにまた利益が加わるので雪だるま式に増える。長く運用するほど利益が膨らむんです。もちろん預金金利と違って利回りは確約されたものではないですが、平均すると年5〜6%の利回りで増えている商品は少なくありません」

仮に、毎月3万円を積み立てて年6%の利回りの場合、ざっくり計算すると、10年で491万円(元本360万円)、20年で1386万円(元本720万円)、30年で3013万円(元本1080万円)に!

長く続けるほど大きな利益を期待できるのだ。新NISA口座であれば、その利益に税金がかかることもない。

では、数多いインデックスファンドの中からどの商品を選べばいいのか?

イチ押しは、オルカン。オールカントリーの略で、全世界株式インデックスファンドのひとつ。具体的な商品名を挙げると、『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』です。

もう1つ、アメリカの代表的な企業で構成されている株価指数、S&P500に連動するインデックスファンドもおすすめ。『eMAXIS Slim米国株式(S&P500)』『SBI・V・S&P500インデックス・ファンド』などの商品があります。

オルカンとS&P500、どちらか1つの商品よりも2つの商品を毎月買い付けるほうがリスクヘッジになります」

配当金を見込める優良企業の見つけ方

次に、少しリスク許容度を上げて、個別株に挑戦すると、投資の楽しみが広がる。

「株には3つの楽しみがあります。1つは売却益。買ったときよりも株価が上がれば、その差額が利益に。2つ目は企業が生み出した利益の一部を株主に還元する、配当金。3つ目が株主優待。その企業の製品や割引券などさまざまな優待があります」

前述の投資信託のように、株も手間暇かけずコツコツ増やす方法があるという。

「よほどのことがない限りは暴落しない安定株を、毎月購入して積み立てていくのです。例えばNTT株。7月時点の株価は158円ほど。1単元(100株)1万5800円で買えるので、手元の資金があまりなくても始められます。

毎月25日など購入日を決めて買い付け注文を出すだけなので、手間もかかりません。NTTの配当利回りは約3%。積み立てた資産の3%を毎年配当金として受け取れます」

配当金は、株を保有しているだけでもらえる、まさに“ほったらかし投資”の王道。

ただし株価は変動するので、利益が確約されているわけではない。企業の業績によって支払われないこともある。

「長期にわたって配当金を株主に還元している安定企業を探すには、日本経済新聞社が公表する『連続増配株指数』と『累進高配当株指数』を参考にするとよいでしょう。この2つは企業の配当に着目した指数です。

連続増配株指数に選ばれた企業は、原則10年以上、増配(前期よりも配当金を増やすこと)を続けています。

10年、20年の間には東日本大震災やコロナショックなど経済が不況のときもありますが、それでも配当金を増やすことができたわけです。つまり安定した利益をあげている優良企業といえます」

ただしこれらの優良企業の多くは株価が高く、積み立てには向かない。ボーナスなどまとまったお金が入ったときに購入を検討するとよいだろう。

「最後に、みなさんにお伝えしたいのは、ここで紹介した株や投資信託は低リスクではあるものの、元本割れするリスクもあります。投資は絶対に、余剰資金で行ってください。生活に必要なお金を投入しないこと。心とお財布に余裕をもって行うのが、ほったらかし投資の成功の秘訣です」

たけぞう
個人投資家。1988年に証券会社に入社し、30年間勤務。4年間の“場立ち”を経て、20年間以上、証券ディーラーとして活躍。多い時には約10億円の資金運用を託され、約50億円の収益をあげる。