日印「顕著なビジョンの一致」 外交関係格上げ10年で大使寄稿

駐日インド大使 “防衛装備品分野”日本の協力に期待感 国際

日印「顕著なビジョンの一致」 外交関係格上げ10年で大使寄稿

日印「顕著なビジョンの一致」 外交関係格上げ10年で大使寄稿(時事通信 2024年08月14日18時06分配信)

インドのジョージ駐日大使は、インドが15日に78回目の独立記念日を迎えるに当たり時事通信に寄稿した。対中けん制を念頭に連携する「自由で開かれたインド太平洋」構想などを通じ、日印が「顕著なビジョンの一致を見せている」と友好関係を強調した。日印は今年、外交関係を「特別戦略的グローバルパートナーシップ」に格上げして10年の節目を迎えた。

ジョージ氏は日印関係について「共通の価値観と相互尊重に基づく永続的な友好関係」だと指摘。「互いを補い合い、より平和で繁栄した持続可能な世界を追求することで、さらに協力を強める潜在力がある」と表明した。

防衛面では、合同演習や戦略対話を重ねることで関係が深化したと分析。2020年の物品役務相互提供協定(ACSA)締結でその傾向が「さらに促進された」とつづった。

また、27年時点で5兆円を目標額としている日本の対印投資が「インドの経済成長や雇用創出に重要な貢献をしている」と評価。両国が月探査で連携したり、デジタル分野で関係を深化させたりしていることにも触れた。加えて「人材育成など人的交流は関係の基盤となる」として、教育分野を含めた交流強化を呼び掛けた。

◇駐日インド大使寄稿要旨

一、インドは有権者9億人超と世界最大の総選挙実施を通じ、代議制政治への決意を示した。

一、外国投資の増加、スタートアップ環境整備などを通じ、急速な成長を遂げた。ITやデジタル技術、宇宙開発などで優れた能力を示している。

一、2023年の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)議長国を務めるなど責任ある大国になった。新興・途上国「グローバルサウス」の優先課題を重要議題として採り上げた。

一、24年は日印が外交関係を「特別戦略的グローバルパートナーシップ」に格上げして10周年の節目。両国関係は首脳会談などを通じ強化されている。

一、日本の対印投資はインドの経済成長や雇用創出に重要な貢献をしている。

一、日印はデジタル分野で協力を発展させ、月探査でも連携範囲を広げている。

一、合同演習や戦略対話を重ねることで、防衛面の関係が深化した。物品役務相互提供協定(ACSA)締結でその傾向がさらに促進された。

一、教育分野や観光で人的交流を強化したい。

一、日印は「自由で開かれたインド太平洋」構想などを通じ、顕著なビジョンの一致を見せている。

一、日印関係は、共通の価値観と相互尊重に基づく永続的な友好関係。両国は互いを補い合い、より平和で繁栄した持続可能な世界を追求することで、さらに協力を強める潜在力を持っている。

駐日インド大使寄稿全文
駐日インド大使寄稿全文 時事通信2024年08月14日18時06分配信

駐日インド大使 “防衛装備品分野”日本の協力に期待感

駐日インド大使 “防衛装備品分野”日本の協力に期待感(日テレNEWS NNN 2024/08/15 23:44)

海洋進出を強める中国を念頭に日本とインドは外交や防衛の分野でも結びつきを強めています。こうした中、インドのジョージ駐日大使が日本テレビのインタビューに応じ防衛装備品の分野でも協力を進めることに期待感を示しました。

インドのジョージ駐日大使はインタビューの中で日本とインドの両国関係について次のように評価しました。

インド ジョージ駐日大使

「インドと日本は真のパートナーだ。政治・ビジネス・防衛・安全保障や戦略的関係などあらゆる分野で、日本とインドは特別な関係」

またクアッド=日本やアメリカ、インドなど4か国による連携の枠組みも通じて海上交通の要となるインド洋の航行の安全確保などに努めていきたい考えを示しました。

インド ジョージ駐日大使

「(中東と日本を結ぶ)シーレーンは、日本の経済的安定と安保に極めて重要。シーレーンはインド太平洋地域の安定に大きく関わっている。インドは海洋大国として、クアッドや他の国々のパートナーとして、インド洋・インド太平洋地域の安定・安全・繁栄を確保する」

一方、防衛分野については日印両国が防衛装備や技術の面で協力を深めることに期待感を示しました。

インド ジョージ駐日大使

「インドと日本は防衛技術の分野でも協力できる。防衛技術のあらゆる分野で日本と協力する用意がある。インドが産業と防衛の両方で製造拠点となったとき、技術と経験を持つ日本企業はインドに移転し、合弁事業を立ち上げるべき。そうすれば印日は進歩を遂げ、同志国をサポート出来る」

ジョージ大使はこのように述べ、インドが防衛装備の国産化を進める中で日印両国の防衛産業の提携強化にも意欲を見せました。

また、自衛隊とインド軍の間では共同訓練の頻度が増えていますが、ジョージ大使は「多くの共同軍事演習を行い信頼関係を築いてきた」と評価しました。また、ジョージ大使はインド経済について「GDPで毎年8%の成長を続けている」とさらなる成長に自信を示すとともに、格差解消などへの取り組みを続ける考えを強調しました。

インド ジョージ駐日大使

「経済格差はある。現在世界全体が直面している問題。社会のあらゆる階層の人々が雇用を得られるよう仕組みを作っている」

ジョージ大使はさらに日本企業によるインドへのさらなる投資拡大に強い意欲を見せました。

インド ジョージ駐日大使

「インドには1500社の日本企業があるが、私の目標はさらに大きい。目標は1万5000社にすること。ビジネス関係の飛躍的な進歩が必要」「より多くの日本企業がインドに進出し、インドでより大きな企業になる必要がある」