明窓 女性活躍にうんざり(山陰中央新報デジタル コラム 2024/2/2 04:00)
「女性活躍推進」と聞いてどう思う-。先月、そんなお題で話し合う機会があった。参加者24人は全員女性。「逆に男性を差別していないか」「その言葉にはうんざり」「男女問わず活躍したい人が活躍できればいい」。さまざまな声の中、好意的な意見が少なかったのは、どこかもやもやした思いがあるからだろう。
女性だけがあえて「活躍」を期待されるのは月経、妊娠、出産、育児、更年期などさまざまな体の巡りがある中で制度や環境、意識も十分に整っておらずキャリアが途切れがちだからだ。人口減少が進む中、労働力を確保したい経済界の事情もある。
推進しない理由はないが、もやもやするのは、発想の土台が男性目線にあるように映るからだ。自分たち男性がつくった社会をベースに活躍してね、と押し付けられたような感覚も個人的には覚える。
それは自民党の麻生太郎副総裁が先日の講演で「俺たちから見てても、このおばさんやるねえ」と上川陽子外相の手腕を褒めた発言でも見て取れる。「俺たちから」がまさにそれだ。女性閣僚を起用した岸田文雄首相の「女性ならではの感性を発揮して」発言にも通じるが、何をベースにした、どこからの目線なのだろう。
上川外相は「どんな意見もありがたい」と問題にはしない意向だが、隠れた特権意識がはびこる政界よりも先に職場、地域、家庭など身近なところから、意識を変えたい。(衣)