相次ぐマイナトラブルで総務官僚“天下り”団体が「利権拡大」焼け太り 血税使い予算6倍増!(日刊ゲンダイ 公開日:2023/07/19 06:00 更新日:2023/07/19 06:00)
相次ぐトラブルも、利権拡大のチャンスなのか。マイナンバーの問題を巡っては政府やシステムを請け負う民間企業ばかりが矢面に立たされているが、忘れちゃ困るのは制度の運用団体の存在だ。トラブル続出で関連業務が増えるほど団体の「懐」が潤う。焼け太りの構図なのである。
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マイナカード発行など事業の中核を担うのは、「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)」。国と複数の地方が共同で運営する組織で、総務省とデジタル庁が所管する。副理事長や理事など主要ポストは所管の総務省出身者が「現役出向」という形で務めてきた。事実上の「天下り」である。
「前身は『住民基本台帳ネットワーク』を運営していた財団法人『地方自治情報センター』で、民主党政権下の『事業仕分け』では2000億円もの公費を受け取りながら住基ネットが普及しないことに批判が集中。天下りの自粛、役員の高額報酬の見直し、調達改善の3点を求められました」(野党関係者)
当時は存続すら危ぶまれたが、2014年4月にマイナンバー制度の導入準備に伴い組織替え。名称も改めて、しぶとく生き抜いてきた。月額の役員報酬も「見直し」を求められた当時(理事長=約96万円、理事=約81万円)から現在(理事長=117.5万円、副理事長=96.5万円、理事=81.8万円)の方が増えている。
そればかりか、マイナカードが急速に普及したことで事業予算も急拡大。18年度決算ベースの約472億円から今年度は約1880億円に約4倍も増えた。うち約1086億円は国からの補助金と委託費、約104億円は地方からの負担金だ。原資はいずれも血税である。
さらにマイナカード発行に関する業務に絞ると、予算は18年度決算の約130億円から今年度は約780億円と実に約6倍増だ。マイナカードの普及枚数や関連業務が増えるほど予算も膨らむ。
群がる面々はウハウハ
問題は相次ぐマイナトラブルの対策費と称して、さらに血税が注入されかねないことだ。
「河野デジタル相は3年後に導入を目指す新たなマイナカードについて、『新しい読み取り機が必要になる可能性はある』と言及。新システムが再び必要になれば、確実に整備に向けた予算がJ-LISに降りる。関連業務の受注は制度設計に関わった富士通、日立製作所、NEC、NTTデータ、NTTコミュニケーションズの5社が、ほぼ独占。受注企業の多くはJ-LISに社員を出向させる“我田引水”状態で、自民党にもせっせと献金し、幹部官僚OBの天下り先にもなっています」(野党関係者)
この利権構造を断ち切らない限り、“天下り”団体に群がる面々は焼け太りにウハウハである。