“辞任ドミノ”次は…秋葉復興大臣に“照準” 自民内からも「岸田政権もうもたない」
“辞任ドミノ”次は…秋葉復興大臣に“照準” 自民内からも「岸田政権もうもたない」(テレ朝news 11/22(火) 12:12配信)より抜粋
■“辞任ドミノ”に自民議員「他人事内閣」
わずか1カ月で3人の閣僚が辞任に追い込まれ、苦境に立たされている岸田政権。
週末にANNが行った世論調査では、岸田内閣の支持率は政権発足以来、最も低い30.5%と危険水域とされる30%割れが間近に迫っています。不支持率は、3.8ポイント増えて44.7%となりました。
与党内からも厳しい声が上がっています。
公明党・山口那津男代表:「総務大臣になる人の足元で、そういう課題があったということを聞いて驚きました。説明をするように努力をされてたと思いますが、なかなか不透明感が残ったなという印象」
自民党・中堅議員:「岸田政権は、もうもたないでしょう。総理の周り、支える人が本当にいない。皆が当事者意識なく、他人事みたいになっている。『他人事内閣』ですよ」
このまま“辞任ドミノ”が続けば、政権への逆風はさらに強まる可能性があります。
■次は秋葉大臣に“照準”…「岸田降ろしも」
21日夜、岸田総理は森元総理をはじめとする、早稲田大学のOB・OGらが集まった会合に出席。岸田総理を激励する会となったのでしょうか。
そうしたなか、野党が次に照準を合わせているのが秋葉賢也復興大臣です。
自民党閣僚経験者:「3週間で3人の辞任は、なかなかの記録だ。次は秋葉大臣がロックオンだろう。あの答弁ではもたないよ」
「親族に政治資金を還流させているのではないか」との疑惑が浮上している秋葉復興大臣。その舞台となっているのが、仙台市にある2つの関連事務所です。
政治資金収支報告書によると、後援会事務所は所有者である母親に対し、家賃として8年間で580万円を支払っていました。
そして、隣の自身が代表を務める事務所の所有者は妻。同じく家賃として、10年間で793万円を支払っています。
この問題について秋葉復興大臣は、次のように説明しました。
秋葉復興大臣:「現実に他人が所有している不動産を借りているわけですから。その対価として家賃を支払うのは、むしろ当然のことだと」
自民党閣僚経験者:「野党は、次は秋葉大臣を確実に落とせると思っている。これまでは寺田大臣の後ろに隠れていたけど、秋葉大臣が表に出てきたら、寺田大臣よりひどい。岸田政権は、もうもたないだろう。自然発生的に岸田降ろしが始まるのではないか」
(「グッド!モーニング」2022年11月22日放送分より)
当選無効の恐れも…秋葉賢也復興相「選挙運動員買収」疑惑
当選無効の恐れも…秋葉賢也復興相「選挙運動員買収」疑惑(FRIDAY 2022.11.23)
〝政治とカネ〟をめぐる問題の渦中にある秋葉賢也復興相(60)。そのもとで公設第1秘書を務めるN氏は、地元仙台の事務所を預かる番頭格である。11月17日、そのN秘書がFRIDAYデジタルの取材に対して次のように語った。
――昨年の衆院選で、Nさんは、支援者や支援企業をまわって、秋葉さんへの投票を呼びかける活動をしたんでしょうか。
「そうですね、可能な範囲で、秘書としてやったというかたちですね」
――秋葉さんへの支援を求める選挙運動をしたということ?
「そうですね」
――選挙期間の12日間にわたって、そうした動きをした。
「そうです、はい」
2021年の衆院選で、秋葉氏の当選のために選挙運動をしたーー。公設秘書(実際は衆院解散にともない失職)として、当然のことのように聞こえるこのやりとりは、実は、ある不正を認めた〝自白〟の可能性がある。このことの検証を行う前に、まずは秋葉氏をとりまく政治状況をふり返る。
11月20日、『週刊文春』の一連の報道によって、政治資金や選挙運動をめぐる問題が次々と明るみになった寺田稔総務相が、岸田文雄首相に辞表を提出。岸田政権が懸念していた閣僚の〝辞任ドミノ〟が加速するなか、そのドミノのピースの1つと目されてきたのが秋葉氏である。
本誌はこれまでに、秋葉氏が代表を務める政党支部が、活動実態が不透明な義兄の政治団体に対して600万円を寄付していたことや、秋葉氏の複数の政治団体が、事務所家賃として合計1414万円を妻や実母に支払っていたことなどを報じた。
「10月に開会した臨時国会の予算委員会などで、野党議員がこうした疑惑を取りあげると、秋葉氏は『他団体のことなので承知していない』『母は別人格だ』などと答弁し、正面から向き合おうとしなかった。野党側は秋葉氏の説明に納得しておらず、疑惑はくすぶったままです」(全国紙政治部記者)
秋葉氏のカネに厳しい視線が注がれるなか、本誌が着目したのが、昨年行われた衆院選における「選挙運動費用収支報告書」である。選挙運動のために集めた資金とその使途が記され、秋葉氏の場合、自身が代表の政党支部や支援団体からの寄付で1640万円を集め、そのなかから609万円を使ったことがわかる。
その支出内容を検証すると、まず目立つのが、ポスティング代として仙台市内の事業者に支払った72万円である。公職選挙法によれば、候補者個人が、選挙期間中に有権者らへ配布できる印刷物は具体的に定められているうえ、それらの配布方法も決まっている。
「候補者が配布できる印刷物には、事前に選挙管理委員会(選管)に届け出をしたビラとはがきがあります。ビラを配布する場合、新聞折込が利用できるほか、選挙事務所や個人演説会場、街頭演説会場にかぎって配ることができる。また、はがきを配布する場合は、郵便局を利用することが定められている。したがって有権者の自宅ポストに直接投函するポスティングやダイレクトメールによって、ビラやはがきを配布することはできません。ただし、違法性の判断をする場合、何をどんな地域にポスティングしたのかなど、具体的な状況を踏まえる必要があります」(総務省選挙課)
収支報告書からは、秋葉氏側が具体的に何をポスティングしたかは読みとれないが、選挙運動のための支出だったことは明記されている。このため、投票を呼びかけるビラ、もしくははがきをポスティングするという不正行為を行った可能性が浮かぶのだ。
不審な支出はまだある。それが、選挙運動の報酬としてN氏に対して支払われた12万円と、I氏への8万円である。このN氏は冒頭で登場した秋葉事務所の公設第1秘書であり、I氏は公設第2秘書なのだが、このことのなにが問題なのか。
公選法では、選挙運動員のうち、報酬を支払うことができる対象を限定している。具体的には事務員や車上運動員(いわゆる「うぐいす」)、手話通訳者、労務者などで、逆に言えば、こうした実務に携わっていない一般の選挙運動員に報酬を支払うことはできない。
「公選法がいう事務員は、選管などへの届出が必要な書類の作成、領収書の仕分け作業、パソコンを使った各種データの入力、来客へのお茶出しなどを行うのが一般的。労務者も、選挙事務所の指示を受けてポスター貼りなどを行う人で、街頭などで候補者への投票を呼びかける一般の選挙運動員とは明らかに役割が異なります」(自民党ベテラン秘書)
収支報告書の記載が事実であれば、選挙運動の対価として報酬を受けとっていたという2人の秘書は、選挙期間中、こうした単純業務に従事していたことになる。
「本来ならば、秘書は候補者と一緒になって有権者に投票をお願いする立場です。それが、事務所でお茶汲みをして、選挙運動をしていなかったというのはあり得ない。私がそんな秘書を見かけたら『なにをやっているんだ』と不満の一言も言いたくなる」(前出とは別の自民党秘書)
そこで、昨年の選挙期間中、 N秘書が実際にどんな活動をしていたのかを確かめたのが冒頭のやりとりである。N秘書は報酬を受けとっていたにもかかわらず、選挙運動をしていたと認めたのだ。さらに、I秘書も選挙運動を行っていたという。
――昨年の衆院選では、秋葉さんを支援している企業をまわったり、県議や市議と一緒になって支援者に秋葉さんへの投票を呼びかけたりといった活動をしていましたか。
「まあ、そうですね」
――街頭にも立った?
「もちろん、そうですね、はい」
――街頭で秋葉さんへの支援を呼びかけた?
「そういうことですね、はい」
――衆院選の場合、選挙期間が12日間あるが、連日そうした活動をしていたんですか。
「そうですね、はい。ええ、そのへんは間違いないと思いますよ」
公選法に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が次のように指摘する。
「N秘書やI秘書の発言が事実であれば、運動員買収になり、お金を受けとった秘書たちは被買収の罪に問われる可能性がある。罰則は、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金です」
また、収支報告書によると、N秘書は選挙運動の会計を担う出納責任者でもある。
「出納責任者は買収の罪に問われる可能性があり、その罰則は、4年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金とより重くなる。このことは候補者である秋葉氏本人も同じです。秋葉氏の罪が問われない場合でも、出納責任者らの違反が確定し、連座制が適用されれば、秋葉氏の当選が無効になる可能性もあります」(同前)
「作っているのは秋葉本人と夫人」
このような刑事責任を問われる可能性があるにもかかわらず、選挙運動の実態をあっさりと認めた秘書たち。ただ、出納責任者でもあるN秘書は、自らの発言の重大性を理解していて然るべきである。割りきれない思いから、さらに取材を進めると、複数の秋葉事務所関係者が次のような実態をうち明けた。
「秋葉事務所で、実際に収支報告書を作っているのは秋葉さん本人と夫人です。秋葉さんが県議だった頃までは、W秘書(現在は退職)が作成していたが、国会議員になってからは秋葉さん夫妻が手がけるようになった」
「選管などに提出された収支報告書の会計責任者の欄には、秘書の氏名の記載と捺印があるが、あれは秋葉さん夫妻が勝手に名義を使っているだけ。事務所内の机から、秘書の印鑑を勝手に持ちだして押すこともあります。会計責任者を務める秘書は、収支報告書ができあがった段階で確認を求められるだけで、収支の内容を細かくチェックすることはない」
こうなると次のような疑問が浮かぶ。果たしてN秘書たちは、自らに選挙運動の対価が支払われていたことを知っていたのかーー。あらためてN秘書に聞いた。
――昨年の衆院選の選挙運動費用収支報告書は、Nさんがまとめたんですか。
「そうですね、私がいつも、選挙管理委員会の方に提出しています、はい」
――提出したのではなく、収支報告書を作成したのは誰なんでしょうか。
「えーと、すみません、それは、私の方でお答えができないです。申し訳ないんですけれども」
――そうすると、作成したのはNさんではない?
「うーんと、私ではないですね、はい」
――先日の取材で、昨年の衆院選で選挙運動に携わっていたと説明された。一方で、Nさんと同僚のIさんに報酬が支払われている。このことはご存じですか。
「うーん、私は知っています、はい」
――Nさんに支払われたのは12万円ですか。
「えーとですね、金額はごめんなさい、ちょっとあの、金額はお答えできないんですけれども。私はもらっています」
――そうなると、一連の金銭のやりとりは運動員買収にあたるのではないでしょうか。
「運動員買収……」
――選挙運動員に対しては、基本的に報酬を支払うことはできないことになっている。
「うーん。申し訳ありません、そのあたりのことは、私の方からお話しすることは難しいと思うんです」
こう言って答えに窮してしまったN秘書。あらためて秋葉事務所に対して、運動員買収疑惑や、収支報告書作成の実態、ポスティング代の詳細などについて書面で尋ねたが、期限内に回答はなかった。
〝辞任ドミノ〟から脱する窮余の策として、早期改造も検討しているという岸田内閣。保身の前に、政治とカネの疑惑に正面から向きあうことが先決である。
取材・文:宮下直之(ノンフィクションライター)