第2次補正予算案審議入り 自民・西田昌司議員がプライマリーバランスの黒字化目標の撤廃を総理に迫る

参議院本会議の代表質問において、財務省の間違った「PB黒字化論」の撤廃を求める 政治・経済

「安倍氏の遺言」自民議員、財政収支目標の撤廃迫る 首相は拒否

「安倍氏の遺言」自民議員、財政収支目標の撤廃迫る 首相は拒否(毎日新聞 2022/11/22 16:18 最終更新 11/24 02:21)

2022年度第2次補正予算案が審議入りした22日の参院本会議の代表質問で、自民党の西田昌司参院議員が安倍晋三元首相の「遺言」と主張し、政府が掲げる国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化目標を撤廃するよう岸田文雄首相に迫る場面があった。首相は「現時点で目標年度の変更が求められる状況にはない」と拒否したが、低支持率にあえぐ岸田政権への風当たりの強さを感じさせる一幕となった。

自民党安倍派に所属する西田氏は「親安倍」議員として積極財政論を主張している。PB黒字化目標を巡っては今年6月、政府の経済財政運営の指針「骨太の方針」への書きぶりで積極財政派の安倍氏と財政規律派の首相が対立。結局、安倍氏に配慮し、骨太では目標年度に直接触れなかった。

西田氏は代表質問で、国債発行残高が増えても財政破綻は「到底考えられない」と主張。PB黒字化目標撤廃がウクライナ問題や物価高などの「危機を突破する最善策だ。安倍元総理がご存命なら、必ず撤廃を岸田総理に要求したはずだ」とまくし立てた。

西田氏の質問中には、岸田首相が苦笑する場面も。首相は「市場や国際社会で中長期的な財政の持続可能性への信認が失われないことが重要だ」と、財政健全化の必要性を強調した。

参議院本会議 令和4年11月22日(火) 自民党・西田昌司議員の発言録

尾辻秀久議長 西田昌司君。

西田昌司議員の質問

自由民主党の西田昌司です。会派を代表して、令和四年度第二次補正予算案に対して質問をいたします。

まず、コロナ禍に加え、ウクライナ侵略に伴う大きな経済的混乱への対応を含めた新たな措置も盛り込み、昨年同様の大型補正予算を編成されたことに対して大きく評価いたします。

その上で、今回の補正には計上されていませんが、コロナ禍で苦しむ事業者の過剰債務の軽減を我が党の参議院選挙の公約に掲げています。その背景には、そもそもゼロゼロ融資は、岸田総理が政調会長だったときに、緊急事態宣言等で経済活動抑制に協力してもらった事業者が営業を毀損し、倒産しかねないとして、営業補償の代替として始めたという経緯があります。融資という形態にしたのは、営業補償を行うとしても、当時はその額も分からないという事情があったからです。

そして、今、ポストコロナに向けて経済を回復させないとならないときとなりました。それに伴い、来年から、ゼロゼロ融資を借りた事業者の多くで返済が始まります。借り入れた事業者の中には、念のために借り入れたというところもあれば、この融資で実際命拾いをしたところもあります。また、企業によっては依然営業が回復しておらず、返済期限が来ると倒産しかねないというところも多くあります。

私は、具体的な債務減免の額については、コロナ禍で増えた累積赤字額とコロナ融資を受けた金額のどちらか少ない方とすることを提案します。これにより、実際に赤字になった企業だけが債務減免の対象になります。また、コロナ禍の中で既に数年度税務申告がなされているため、確定申告書の添付を債務減免の申請要件にすれば減免のための改ざんは不可能になります。このようにすればモラルハザードも生じません。

しかも、債務減免がされれば、それにより企業が利益が出れば税金を払いますから、政府にお金が戻ってくることになります。逆に債務減免をしなければ、繰越損失が残っている限り利益は出ず、政府への納税もありません。また、過剰債務が原因で返済不能になり倒産してしまえば、債務そのものが返済されない上、失業者も増え、経済全体に悪影響を与えます。

このように、債務減免した方が企業にとっても政府にとっても得なのです。そもそも政府のコロナ抑制策に従って生じた債務ですから、責任は政府が取るべきです。

そこで、コロナ融資の債務減免はコロナ禍の営業補償としてやるべきと考えますが、総理の見解を求めます。

今後、インバウンドが回復してくることに伴い、航空会社などはコロナ禍で減らした機材や人員を確保しなければなりませんが、コロナによる巨額の債務がのしかかっており、そうした投資ができません。そもそも米国では、日本と桁違いの数兆円規模の支援策が講じられています。一方で、日本の企業には巨額の債務が残ったままとなれば、国際競争力も減退し、インバウンドで経済を牽引することもできなくなります。

そこで、中小企業だけではなく、ANAやJALなどの大企業についても債務減免措置を講ずるべきと考えますが、総理の見解を伺います。

今回の補正予算案は、我が党の強い要望で三十兆円規模の大型補正予算案となりました。その一方で、その代わりに来年度の当初予算はその分削減するという財務当局からの圧力があったとも言われています。そうであれば、来年度の当初予算がかなり低く抑えられることが懸念されます。コロナ禍もまだ収まっていませんし、今回の補正予算に計上されていないコロナ債務減免も必要となります。

私は、来年度当初予算は額を抑えるのではなく、より一層財政拡大しなければならないと思いますが、総理の御見解をお聞かせください。

大型補正予算の編成には国債発行が必要ですが、この国債発行について誤った認識をしている方がたくさんおられます。今回の補正により、言わば一年で二年分に近い財政措置をしたことになります。こうしたことを受け、このままでは財政破綻すると前の財務事務次官は喧伝をしていました。しかし、ハイパーインフレの発生も金利の暴騰も、その兆候すらありません。また、急激な円安も収まりつつあります。これらはいかんともし難い事実です。

そもそも、国債発行は、予算執行を通じて民間側の預金残高を増やします。これは理屈ではなく、事実としてそうなっているのです。そこで、政府の赤字は民間の貯蓄の増加になるということは紛れもない事実であるということについて、総理の御見解を伺います。

さらに、財務大臣にしたことがありますが、国債の償還は税金ではなく、新たな国債を発行して得たお金で借り換えています。このことも事実であるということにつき、総理の御見解をお聞かせください。

国債の利払い費は政府の負担でありますが、現在、国債残高の半分近くは日本銀行が保有していますから、利払い費の半分は日銀に支払われることになります。日銀法により、経費を差し引いた残りは国庫に納入することになっています。このことから、少なくとも日銀が保有する国債については、国債の償還も利払いも事実上国庫に影響を与えていないということになります。この点について、財務大臣も認めたところでありますが、総理の御見解を求めます。

以上のことを踏まえると、国債の残高が増えても、その償還や利払いで国家が破綻するということは到底考えられないということになります。それよりも問題であるのは、国債の増加によって政府の負債は増え、片や民間の貯蓄が増えますが、この民間側に回ったお金が使われていないことです。経済を活性化させるには、国が財政出動をして予算を膨らませることにより民間にお金を回すことも必要ですが、民間にはそのお金を使ってもらわなければなりません。そのためには、デフレ状況、先行き不安状況を払拭して、お金を投資できる環境をつくることが大切です。

そのために重要なことの一つは、日本の長期の投資計画を国が示すことです。残念ながら、この国の長期計画は、バブル崩壊後、財政再建を理由に廃止されました。新幹線や高速道路などのインフラ整備の長期計画が示されて、これを十年で完成させるという事業が実行されれば、間違いなく民間投資は政府の計画に沿って拡大されることとなります。政府が予算措置した以上に民間がお金を使い、経済の好循環、そして経済成長へと向かい出します。

問題は、国が長期の投資計画を示せなくなったのはなぜかということです。本来、インフラ整備は、財政法で認められている建設国債の発行でできるはずです。しかし、プライマリーバランスの黒字化が閣議決定されて以降、赤字国債だけではなく、建設国債も抑制されてしまい、結果的に長期の投資計画はできず、なかなかデフレから脱却できない状況に陥りました。

私は、亡くなった安倍元総理と一緒に自民党に財政政策検討本部をつくって様々な議論をしてきました。その結論は、プライマリーバランスの黒字化目標が日本の経済を縛っていった根本的な問題であったということです。安倍元総理が御存命ならば、必ずプライマリーバランス黒字化目標の撤廃を岸田総理に要求していたはずであります。早晩、二〇二五年のプライマリーバランス目標が大きな問題となります。

そこで、日本をデフレに引っ張っている一番の問題であるプライマリーバランス黒字化目標は直ちに廃止、若しくは、最低でも五年から十年は黒字化目標は先送りすべきだと私は考えます。総理の御見解を求めます。

昨年の衆議院選挙に続き、今年の参議院選挙でも勝利し、岸田内閣は上々の滑り出しでした。しかし、大臣の連続辞任など様々なことが原因で内閣支持率は急降下しています。一昨日もまた大臣の辞任がありました。これは異常事態と言わざるを得ません。

一方で、大型補正予算の編成など、岸田内閣は政策的には大きな間違いはないと私は考えています。総理は、この間の急激な支持率の低下の原因は何と考えておられるのか、また支持率を上げるにはどうすべきと考えているのか、お伺いいたします。

高い支持率で始まった第一次安倍内閣は、消えた年金問題などいわれなき安倍バッシングで短命に終わりました。しかし、第二次安倍内閣は、その失敗を糧に鬼となって政権復帰を果たしました。この危機を乗り越えるには、岸田総理も鬼になる覚悟が必要です。特に、コロナやウクライナ、急激な円安など、今までの財務省主導の財政政策ではこの危機は突破できません。安倍総理の遺言であるプライマリーバランス黒字化目標の撤廃がこの危機を突破する最善策であることを訴えて、私の質問を終わります。

岸田文雄内閣総理大臣の答弁

西田昌司議員の御質問にお答えいたします。

コロナ融資の債務減免についてお尋ねがありました。

今後、コロナ融資の返済本格化を迎える中小企業を支えるため、まずは積み上がった債務の借換えの円滑化に向けた新たな保証制度、これを創設いたします。

また、債務減免を含む再生支援を進めることも重要であり、全国の中小企業活性化協議会を通じた取組を強化いたします。例えば、これまで策定を支援した再生計画のうち、八四%は返済猶予を伴うものですが、残り一六%は債務圧縮や減免を実現しています。こうした事例のうち、宿泊業などの業種ごとの再生支援制度の活用事例集を作成し、全国の協議会へ横展開することで、協議会による再生支援の一層の強化に取り組んでまいります。

なお、コロナ債務の一律減免については、モラルハザードや、既に返済を開始した事業者との間の公平性などの観点から慎重に判断する必要があると考えております。

また、航空会社も含む新型コロナの影響を受けた大企業の支援も重要であると認識をしており、事業者の立場に立った追加融資等を含む最大限柔軟な資金繰り支援を引き続き行うよう、官民金融機関宛てに関係省庁から累次にわたって要請をしているほか、御指摘の航空会社についても、航空使用料や航空機燃料税の減免、航空機燃料に対する激変緩和補助などの支援を行っているところであり、引き続き大企業を含む事業者支援に重点的に取り組んでまいります。

来年度当初予算の額についてお尋ねがありました。

令和五年度予算においては、新型コロナや物価高騰といった足下の喫緊の課題に引き続き機動的に対応しつつ、骨太方針二〇二二等を踏まえ、我が国が直面する内外の重要課題への取組を本格化させるため、予算を大胆に重点化してまいります。

今後の予算編成過程を通じて、こうした基本方針に基づき必要な施策を積み上げていく中で具体的な予算額も決まってくるものと考えておりますが、必要な政策対応をしっかりと行うことができるよう、質の高い予算を作り上げてまいりたいと考えております。

そして、国債の発行や償還、日銀保有の国債についてお尋ねがありました。

一般論として、政府が国内の企業や家計に対して財政支出を行った場合、民間の預金は増加いたします。しかし、財政支出が国債の発行を伴う場合、その償還や利払いがその時点の国民の負担となるとも考えております。

また、国債の償還のために更に国債を発行するいわゆる借換えを行うこともありますが、これによって毎年の国債発行額が増え、債務残高が一方的に増えた場合、財政の持続可能性に対する信認が失われかねない、このように考えております。

日銀保有の国債については、必ずしも利息収入分全額が国庫納付されるわけではありませんので、国庫負担がないとは言えないと考えております。

そして、財政健全化目標についてお尋ねがありました。

私の経済財政運営の基本は、従来から申し上げてきたとおり、経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして財政の健全化に取り組んでいくというものです。

御指摘の財政健全化目標についての政府の方針は、骨太の方針二〇二二に記載のとおりであり、また、本年七月の経済財政諮問会議において、現時点で目標年度の変更が求められる状況にはないことが確認をされています。

いずれにせよ、市場や国際社会において中長期的な財政の持続可能性への信認が失われないことが重要です。同時に、現下の経済にしっかり対応し、経済の再生を図り、責任ある経済財政運営を進めてまいります。

そして、最後に、支持率に関する見解についてお尋ねがありました。

支持率の現状については様々な原因があり、一概にお答えすることは難しいですが、政権に対して厳しい御意見があることは、これは真摯に、そして謙虚に、丁寧に向き合っていかなければならない、このように考えております。

支持率を上げるために何かをするというのではなく、時代を画するような様々な困難に直面する中にあって何が国民にとってベストなのかを考えながら、総理大臣として決断と実行を積み重ね一つ一つ結果を出すことが、結果として国民の皆さんからの支持につながる、このように考えております。

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