「世界戦争」か「親米政権」か…ロシア軍、敗色濃厚で表出「ポストプーチン」の行方(Asagei Biz 2022年10月25日 18:00)
2月に始まったロシアによるウクライナへの侵攻から10月24日で、8カ月が経過。一時は優勢だったロシア軍も徐々に形勢が逆転。プーチン大統領による「動員令」以降はロシア軍内部での崩壊が加速し、徐々に敗色が濃厚になってきている。
そこで今、クレムリンではこの戦争を続けるのか止めるのかを巡り、「強硬派」と「実務派」が入り乱れて、プーチン氏の後継争いが本格化しているという。
「新たに強硬派の後継候補として名前が挙がっているのが、特別軍事作戦を統括指揮する『ハルマゲドン将軍』ことセルゲイ・スロビキン総司令官です。彼はチェチェン共和国やシリアの軍事作戦にも深く関与し、今回の東南部4州に戒厳令を発令したのもスロビキン氏の意向が反映されているといいます。プーチン氏にモノを言える立場ですから、有力候補の1人であることは間違いないでしょう」(軍事ジャーナリスト)
一方、実務派の後継者候補と目されているのが、元大統領のドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長のほか、セルゲイ・キリエンコ大統領府第1副長官、セルゲイ・ソビャニン・モスクワ市長、ドミトリー・コバリョフ大統領府局長という、これまで何度も名前が取りざたされた顔ぶれだ。
「以前は、プーチンの右腕であるニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記や、セルゲイ・ショイグ国防相も、ポストプーチンとして名前が挙がっていましたが、パトルシェフ氏は高齢ですし、ジョイグ氏もウクライナ侵攻における度重なる失態で人望と人気が凋落。すっかりその目はなくなったといわれています」(同)
次期大統領となる人物は、現大統領の指名により代行に就き、数カ月後に大統領選が行われ正式に任命されるというのが通例だが、それは現大統領が力を保持している場合。そうでなくなった時には当然、別のルートで決定されることになる。
「仮にウクライナ戦争でロシア軍が敗北し『宮廷クーデター』でプーチン氏が権力の座から引きずり降ろされると、まったく予期せぬ候補者が現れる可能性もあるでしょう。
その際にはプーチン氏以上に狂信的な独裁者が政権を獲り、世界戦争に発展するという最悪のシナリオもある一方で、プーチン体制が倒れれば次の政権は親米に舵を切るという専門家の見方もあります。
というのも、このまま経済制裁が解除されなければ、北朝鮮のようにロシアの経済は完全に干上がってしまう。かといって、これまで以上に中国に依存すれば、属国のような“主従関係”ができあがる恐れもあります。
かつて、日本やドイツが米国に敗戦した後、親米路線をとって経済が急成長した例もあり、ロシアがそれをしないとは言い切れないということです」(同)
現段階ではロシアの親米転化など想像はできないが、何でもありなのが戦争で、想像できないことが実際に起こるのが敗戦処理だ。いずれにせよ、この戦争の終わらせ方がロシアの命運を左右するは間違いない。
(灯倫太郎)