「民主主義」とは? 語源や「資本主義」「社会主義」との違いなどを解説(RUN-WAY Walkers 2022.10.22)
「民主主義」とは?
「民主主義」は、みんなで物事を決めようという考え方です。
日本の「国」でいえば、国民が国のあり方を決める権利を持っているということです。
有権者というのは、権利を持っている人のことです。
選挙を通して自分の権利を代表者に委ねて、政治を任せます。
「民主制」の政治体制は、「民主主義」の考え方に基づくものです。
「民主主義」の語源とは?
基本的に、「民主主義」というのは、英単語の「democracy」を訳したものです。
「民主主義」の語源は、古代のギリシア語の「demos」(人々)と「kratos」(力)になっています。
日本語にこれを訳すときに、「民主主義」としました。
しかし、主義というのはもともとイズムのことです。
「民主主義」は主義ではありませんが、日本は舶来の考え方であるとして輸入しました。
なお、主義などといわないで、人々の力として直訳してもよかったでしょう。
また、日本は当時天皇制であったため、天皇主権が力を人々が持つとぶつかるというような考えもあったかもしれません。
どこか危ないものとして明治の日本人に「民主主義」が受け入れられました。
なお、みんなで物事を相談して解決するということは、古くから日本では行われてきたものです。
「民主主義」のメリットとは?
ここでは、「民主主義」のメリットについてご紹介します。
政治に国民の意見が反映されやすい
「民主主義」は、政治に国民の意見が反映されやすいものです。
というのは、直接国民が選んだ政治家によって政治が実際に行われるためです。
例えば、原子力発電を推し進めるという議員と原子炉夢発電を止めるという議員がいるとしましょう。
このときは、どちらを有権者が選ぶといいかわかりやすいでしょう。
原子力発電をもし推し進めたいのであれば前者の議員を選んで、原子力発電を止めたいのであれば後者の議員を選ぶのみです。
どちらの議員を多くの有権者が選ぶかによって、そのまま有権者の意見が政治に反映されます。
平等性・公平性が維持される
平等性・公平性が、「民主主義」では維持されるというメリットがあります。
「民主主義」の国では、一票を投じる権利が一人一人の有権者に同じようにあります。
18歳になると、日本では学生、主婦、社会人などに関係なく全ての有権者に投票権があります。
これが、例えば、30歳以下の有権者は一票、女性の有権者は二票などのように条件が年齢や性別などによって違うと、平等性・公平性が維持できません。
当然でしょうが、全ての有権者に同じ条件が与えられていることが「民主主義」のメリットです。
独裁体制が起きにくい
独裁体制が、「民主主義」では起きにくくなります。
というのは、「民主主義」は政治家を定期的に選び直せることがメリットであるためです。
例えば、日本であれば衆議院選挙が4年以内に1回行われ、参議院選挙が3年に1回行われます。
法律でこのことは決められています。
もし国民が独裁体制が起きたことがわかると、国民はその時点で政治家をすぐに選び直すことができます。
一方、独裁体制の国であれば、選挙さえもないため、いつまでも総理大臣や大統領がそのままということも起き得ます。
「資本主義」「社会主義」と「民主主義」の違いとは?
ここでは、「資本主義」「社会主義」と「民主主義」の違いについてご紹介します。
「資本主義」と「民主主義」の違い
「資本主義」というのは、生産手段を持っている資本家が、生産手段を持っていない労働者を使って儲けを追い求めるものです。
「資本主義」の大きな特徴は、自由に個人がお金を儲けることができ、競争が自由に行われることによって全体の経済が発展するということです。
一方、「資本主義」は、冨を競争に勝った者が入手し、貧富の差が競争に負けた者と生まれることもあります。
「資本主義」も「民主主義」も国家の体制について使われるものですが、使われる分野が違います。
「資本主義」は経済体制に使って、「民主主義」は国の政治の体制・ありかたに使います。
「社会主義」と「民主主義」の違い
先にご紹介したように、「資本主義」は貧富の差が生まれるということがありますが、「社会主義」は貧富の差を失くして平等な社会を全ての人が築こうとするものです。
「社会主義」では、富の再分配を行い、私有財産を禁じることによって平等な社会にすることを目指します。
全てのものが国(社会)のものになるため、貧富の大きな差が無くなりますが、頑張っても報われないということから経済が停滞しやすくなります。
「資本主義」に対抗する思想が「社会主義」であるため、「民主主義」とは主として経済の仕組み、経済システムについての思想であるということで違います。
「民主主義」の対義語とは?
ここでは、「民主主義」の対義語についてご紹介します。
「専制」
「専制」は、上に立つ人が政治判断を独断で行う政体です。
「専制」としては、「王政」や「独裁制」、「絶対君主制」などがあります。
主権が国民にないため、「民主主義」の対義語になります。
「絶対君主制」
「絶対君主制」は、ほとんど「専制」と同じで、君主が政治判断を独断で行う政体です。
「君主制」としては「立憲君主制」(制限君主制)もあるため、全般の「君主制」が「民主主義」の対義語ではありません。
「絶対君主制」だけが、「民主主義」の対義語になります。
正しくは、「絶対君主制」が「立憲君主制」(制限君主制)の対義語ですが、「立憲君主制」はほとんどの「民主主義」の国が採用しているため、「絶対君主制」を「民主主義」の対義語としてもいいでしょう。
「貴族制」
「貴族制」は、特権的な少数の貴族が支配階級の政体です。
国民主権とは全く逆であるため、「民主主義」の対義語になります。
「封建制」
一見すると、「封建制」は「民主主義」の対義語のように思えますが、正しくは対義語ではありません。
「封建制」というのは、土地を君主の下の諸侯が領有して、人民を統治するものです。
「封建制」の対義語は「郡県制」で、統治システム、統治制度の一種です。
「民主主義」は政体であるため、システムである「封建制」とは少しレイヤーが違います。
しかし、封建的が民主的の対義語としては使えます。
「民主主義」の対義語として間違っているということではありませんが、「封建制」は少し違っています。