新興宗教7団体に「旧統一教会問題」を直撃!創価学会「霊感商法は悪質」、真如苑「同じことを繰り返している印象」(FLASH編集部 2022.08.02 06:00)
安倍晋三元首相の襲撃事件で注目を浴びる旧統一教会と政治家の関係。新興宗教各団体は、どうみているのかーー。
本誌が各宗教団体に質問状を送ると、7団体が詳細に回答した。以下に掲載しよう。
各宗教団体への質問
(1)旧統一教会は、霊感商法などが社会問題になっている団体です。こうした旧統一教会について貴団体はどのような見解を持っていらっしゃるでしょうか。
(2)貴団体は、旧統一教会と国会議員や地方議員との関係について、どういった見解を持っていらっしゃるでしょうか。
(3)貴団体は、宗教団体と政治がどういった関係にあるべきだと思われるでしょうか。
(4)貴団体は、国会議員や地方議員とどういった関係を構築なさっているでしょうか。
真如苑
1936年に伊藤真乗氏が設立した真言宗系在家仏教教団。現在は伊藤真聰氏が継主。1953年に宗教法人として認証。本部は東京都立川市。信者数は約93万人。
(1)(2)につきましてずいぶん以前から、同じことを繰り返しているという印象です。
(3)特にしておりません。
(4)ご信徒には、様々な政治信条の方がおられますので、教団として政治に関与しておりません。
新日本宗教団体連合会
1951年に設立した新宗教団体の連合組織。通称新宗連。2012年に公益財団へ移行。立正佼成会や円応教、PL教団など約60団体が加盟。新宗教教団の結束で世界平和を目指す宗教運動を推進する。
(1)(2)当連合会に加盟していない団体についてのコメントは控えさせていただきます。
(3)政界に限らず、公益財団法人としてより良い社会形成の事業推進のため、諸団体と関係を構築しています。
(4)日本国憲法に定める「信教の自由」「政教分離」が遵守され、特定宗教が国家や政府に特別視・利益供与されないようなものであってほしい。
ワールドメイト
1984年に設立された神道系の宗教団体。深見東州(本名・半田晴久)氏が教祖を務める。2012年に宗教法人として認証。総本部は静岡県伊豆の国市。2019年1月現在会員数は約8万2000人。2020年には、小沢一郎、鈴木宗男、前原誠司ら各議員に寄付。深見東州氏は実業家として「みすず学苑」という予備校の運営も手掛ける。
(1)旧統一教会は「この世に価値を置かず、あの世で幸せになる」という、キリスト教系の価値観を継承しています。こうした考え方の宗教は、時として、非常に反社会的で、過激な行動を起こす事があります。ただ、安倍元首相が凶弾に倒れた原因を、旧統一教会への恨みや、狙撃犯の母親が異常に信仰熱心だった等に求める論調が昨今行き過ぎているのではないかと考えます。
(2)旧統一教会が違法に政治に関わったという話は、今のところ聞こえてきません。聞こえてくるのは、旧統一教会と親しくしていた、政治家達の話ばかりです。旧統一教会が問題だとすれば、比較にならないほど大きな、創価学会と公明党との問題をどうするのかを論ずべきと考えます。
(3)選挙活動のボランティアに駆り出したりといったことは、一切しないという原則を厳守しています。本当に社会に有為な政治家を、与野党に関係なく、法的に問題のない形で財政面のみ応援しています。
(4)政治家が1つの宗教団体に偏るのは問題ではないかと思います。現実には、多くの政治家は、複数の宗教と等距離で関わっているようです。それなら、たいして問題はないと考えます。
ひかりの輪
オウム真理教が名称を変えたAleph(アレフ)から独立して、2007年に設立された宗教団体。オウム真理教で広報を担当していた上祐史浩氏が代表を務める。「脱麻原彰晃」を主張しているが、公安調査庁は観察処分を継続。一連のオウム事件の被害者支援機構と合意し賠償金を払い続けている。会員数は約150人(2019年)。
(1)霊感商法を含めて違法行為は厳に慎むべきであり、民事的な解決に加えて、警察当局の厳重な取り締まりを期待します。
(2)独自の知識はなく、報道等で勉強しております。
(3)数名の国会議員の方とオウムの反省をテーマに対談したことがありますが、それ以外は全くありません。ましてや、継続的な関係の構築は全くありません。
(4)政権与党に関しては、政教分離原則に基づいて、特定の宗教に肩入れしたり、弾圧したりしないことが原則だと思います。
幸福の科学
1986年、大川隆法総裁が立宗した、仏教を基盤とする新宗教。1991年に宗教法人として認証。2018年には、国内信者数1100万人、海外信者数100万人と発表している。歴史上の偉人など、霊人の思考を明らかにする「霊言」や、3000書を超える大川総裁による著書など、活動は多岐にわたる。幸福実現党の支持母体。
(1)宗教は本来、「神仏の子」としての人格向上や理想社会の実現を目指す素晴らしいものです。組織的に正体を隠した勧誘や詐欺的行為を行うことは、宗教以前の問題だと考えます。
(2)社会的に問題のある団体であるにもかかわらず、それに目をつぶって利用し続けてきたことは問題だと思います。
(3)幸福実現党の地方議員を応援しつつ、独自の国会議員の輩出を目指していますが、信者一人一人の自由意思は尊重しています。
(4)政治は本来、「神仏の理想」を体現した世界を、地上に実現すべきものと考えています。政治が混迷するなかにおいては、宗教はその理想を示す役割があると考えます。
創価学会
1930年に牧口常三郎氏と第2代会長の戸田城聖氏が創立した在家仏教団体。池田大作氏が名誉会長を務める。1952年に宗教法人として認証。総本部は新宿区信濃町。会員数は、公称では日本827万世帯、海外280万人。世界192カ国に活動を広げている。「聖教新聞」などの機関紙の発行や、創価大学などの学校運営も手がける。公明党の支持母体。
(1)ご指摘の宗教団体について委細は分かりかねます。いわゆる霊感商法については、トラブルが多発しており、悪質な社会問題と考えます。
(2)法的な問題や事件を多発させる団体と議員との関係は、政治家自身が高い見識に基づいて、また公職にある者として責任を持って判断すべきものと思います。
(3)(4)当会は公明党の支持団体です。党に対しては、「大衆とともに」との立党精神を根本に、社会の安定と国際社会の平和に寄与する政治を望んでいます。
立正佼成会
1938年に設立された日蓮系・法華系の新宗教。庭野日敬氏が開祖。現在の会長は庭野日鑛氏。信者数は102万世帯、約222万人。創価学会に次ぐ規模の信者数といわれる。本部は東京都杉並区。もともとは霊友会から派生したもの。7月の参院選では立憲民主党の議員を応援していた。
(1)他のご教団に対して評価をする立場にはございません。
(2)他のご教団に対して評価をする立場にはございません。
(3)宗教と政治は、「人々を幸せにする」「調和の世界をつくる」という点で、共通の目的を持っています。私たちは宗教者としての役割を果たしつつ、国や地域社会がより良い方向に向かうよう、政治に対して高い関心を持ち、取り組んでいく必要があると考えています。具体的には、政治に対する基本姿勢「五項目」(生命(いのち)の尊厳を守る、平和主義の推進、思想・良心・信教の自由を守る、政教分離の原則を守る、政治倫理の確立)を政治課題として掲げ、国会議員や地方議員へその実行を求めつつ、「一党一派に偏しない」、「人物本位」を原則として、各拠点(教会)で取り組みを検討し、会員一人ひとりが主体的に判断し投票していけるよう、政治意識の高揚に取り組んでいます。
(4)弊会は、憲法20条を厳守し、政教分離の原則を守ることを大切にしています。政教分離の原則とは、国家と宗教の分離を目指すもので、厳密には、政治権力が特定の宗教教団を援助、あるいは圧迫しないように定めたものと理解しています。そのため、特定の宗教団体が、自らの利益のために政治的影響力を持つことに反対しています。
無回答・回答拒否の団体
また、無回答・回答拒否の団体も。
・霊友会「今回の取材についてはお断わりします」
・天理教「取材はお断わりします」
・日本会議「質問への回答は控えさせていただきます」
・世界救世教「個別のご質問に対するコメントは控えさせていただきたいと存じます」
・PL教団「取材は受けておりません」
・神社本庁「お答えすることはありません」
◇
雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏は、「慎重な模範回答が多い」と解説する。
「多くの団体が社会に糾弾されてきたため、一概に旧統一教会を批判できないのでしょう。そもそも日本の旧統一教会の初代会長は立正佼成会の出身者。冷戦期には当時の保守系新宗教と協力し合い、ここまで大きくなった経緯がある。政治的に政教分離を打ち出すのは当然ですが、創価学会、幸福の科学は、独自の政党の支持母体として積極的に政治に関わっています」
小川氏が注目したのは真如苑の回答だった。
「真如苑は、政界とのつき合いが基本的にないため、回答も歯切れが良い。しかも信者数が減っていないのも特徴的です。一方、創価学会や立正佼成会など、ほぼすべての教団で信者数の減少は深刻です。宗教団体本来の姿に立ち返るべきです」
政治と宗教の関係は変わるのか。
(週刊FLASH 2022年8月16日号)