トランプ氏「マスク氏に失望」 EV促進巡り溝、決裂
トランプ米大統領は5日、ホワイトハウスで記者団に対し、実業家イーロン・マスク氏が大型減税関連法案への批判を強めていることについて、電気自動車(EV)促進策の撤回を盛り込んでいるためだとの見解を示した。マスク氏には「非常に失望した」と不快感をあらわにした。
これに対し、マスク氏はSNSで「私がいなければ、トランプ氏は(昨年の)選挙に負けていた」と踏み込んだ。マスク氏はトランプ氏の大統領選を巨額献金で支え、「政府効率化省(DOGE)」のトップとして政権の重点施策である行政の無駄削減を進めた。しかし、ここへ来て両氏の決裂は決定的となった。
マスク氏、米政府に宇宙船使わせず トランプ氏、スペースX排除示唆
マスク氏、米政府に宇宙船使わせず トランプ氏、スペースX排除示唆
米実業家イーロン・マスク氏は5日、X(旧ツイッター)で「(同氏が率いる)米スペースXは、直ちに宇宙船の運用停止に着手する」と述べ、米政府事業への協力中止を表明した。大型減税関連法案を巡って関係が急速に悪化するトランプ米大統領が、マスク氏の企業への補助金や契約打ち切りを示唆したことに反発した。
スペースXの宇宙船「クルードラゴン」は、米国にとって国際宇宙ステーション(ISS)への唯一の輸送手段となっている。中国やロシアが宇宙空間の活用に取り組む中、スペースXの排除は米国の安全保障に悪影響を与える恐れがある。
防衛支出5%目標提案へ NATO首脳で合意目指す
北大西洋条約機構(NATO)は5日、ブリュッセルの本部で国防相理事会を開いた。ルッテ事務総長は終了後の記者会見で、加盟国の防衛費を国内総生産(GDP)比で3・5%、軍関連インフラ整備などにGDP比1・5%を充てる目標を提案すると明らかにした。今月下旬にオランダのハーグで開く首脳会議で合意を目指す。
トランプ米政権は加盟国の防衛費をGDP比5%に引き上げることを求めてきたが、防衛費と関連費用の合計で5%とすることで、米側の理解を得たい考え。だが急激に支出を増やすことについては一部加盟国から抵抗もあり、実現には難航も予想される。
賃上げこそ成長戦略 コストカット型経済から脱却…財政健全化目標は後退・骨太原案
賃上げこそ成長戦略 コストカット型経済から脱却―財政健全化目標は後退・骨太原案
政府は6日、経済財政諮問会議(議長・石破茂首相)を開き、経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」の原案を示した。日本経済は30年続いた「コストカット型経済」からの終わりを迎えつつあるとの基本認識を表明。その上で「賃上げこそが成長戦略の要」との考えの下で「物価上昇を安定的に上回る賃上げを実現する」と明記した。
石破政権として初めての骨太方針で、6月中旬の閣議決定を目指す。首相は会議の席上、「デフレに逆戻りせず、成長型経済への移行を確実なものとするため、当面のリスクへの備えに万全を期しつつ、日本経済、全国津々浦々の成長力を強化していく」と強調した。