ブチャ以外でも「400人以上行方不明」 ウクライナ、ロシア非難
ロシアが侵攻したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊では、300人を超す遺体が見つかったブチャ以外でも、消息が判明しない多数の住民の存在が伝えられている。拷問を受けたとみられる遺体も各地で見つかっており、ウクライナ側は戦争犯罪や人道に対する罪だとロシア軍への非難を強めている。
キーウ近郊のホストメリ村にある自警組織の幹部はラジオ局に対し、非常事態省や警察と村内の家屋の地下室を捜索しているが、約400人以上と連絡が取れていないと証言。この幹部によると、ロシア軍は35日間にわたり村を占拠し、村長らを殺害したほか、複数の住民の遺体がブチャで発見されたという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、近郊の町ボロディアンカでもブチャを上回る犠牲者が出た可能性があると指摘。「解放された多くの村で、占領者(ロシア軍)は80年前のナチス占領時代にも見られなかったような行為に及んだ」と述べた。
米・同盟国、対ロシア追加制裁発動へ 民間人殺害受け
米国は主要7カ国(G7)や欧州連合(EU)と協調し、対ロシア追加制裁を6日に打ち出す見通し。米ホワイトハウスによると、ウクライナ首都近郊ブチャの民間人殺害に対応する意図もあり、ロシアへの新規投資を禁止するほか、政府当局者や銀行を対象に指定する。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は5日、ロシアに対する追加制裁を提案、加盟国の承認待ちとなっている。ロシア産石炭の禁輸やロシア船舶の港湾利用禁止が含まれる。
フォンデアライエン欧州委員長は、ロシア産原油輸入禁止に向けた取り組みも進んでいると表明。EUはロシア産天然ガスへの依存度が高く、ロシアからのエネルギー輸入全面禁止には消極的な姿勢を示してきた。
しかし、ドイツのベーアボック外相は、石炭禁輸は化石燃料輸入全面禁止に向けた第一歩になると述べ、対ロシア姿勢の強硬化を示唆した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は早朝のビデオ演説で、ロシア軍が犯した「戦争犯罪の重大さに匹敵する」追加制裁が必要だと訴えた。
ロシア外交官追放の動き拡大 民間人殺害発覚後、200人超―欧州
ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊でロシア軍撤退後に民間人とみられる遺体が多数見つかった後、欧州でロシアの外交官や大使館職員を追放する動きが一段と拡大している。ドイツやフランスに続き、5日には欧州連合(EU)やイタリア、スペインも追放を発表。AFP通信によると、対象者は2日間で計200人を超えた。
EUは、ブリュッセルにあるロシアのEU代表部の19人を「外交上の地位に反する活動に携わった」として「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定。ベルギー国外に退去させる。
イタリアは「国家安全保障」に関する必要性を理由に30人を追放。スペインは「国家の利益への脅威」をもたらしているとして、約25人の追放を決めた。さらにスロベニアは33人、エストニアは14人、ルーマニアとポルトガルは各10人を対象にした。
一方、独は40人、仏は35人の追放をそれぞれ4日に決定している。
ウクライナ「ロシア排除を」 実効性なき国連安保理
「ロシアを(拒否権行使できる立場から)排除する。あるいは、どのような改革ができるのかを示す。不可能なら、皆さんは解散だ」。ウクライナ情勢をめぐり、5日開かれた国連安全保障理事会(15カ国)の公開会合。ウクライナのゼレンスキー大統領は理事国に向かってそう演説し、常任理事国のロシアが拒否権を持つために身動きできない安保理の改革を迫った。
「手首を切り落とされ、喉をかき切られた人。自分の子供の目の前でレイプされ、殺された人。舌を切り裂かれた人は、彼ら(ロシア兵)が聞きたいことを言わなかったというだけの理由だった」
ロシア軍による民間人の虐殺が起きた疑いがある首都キーウ(キエフ)郊外ブチャを前日に視察したゼレンスキー氏は、会合でそう報告した。「これは過激派組織イスラム国(IS)のテロリストとどう違うのか」とも述べ、「第二次世界大戦後、最も凶悪な戦争犯罪だ」として、国際法廷で直ちに裁くよう求めた。
ウクライナ侵攻 避難民20人、来日
ロシアの侵攻を受けるウクライナからの避難民20人を乗せた政府専用機が5日、ポーランドから東京・羽田空港に到着した。20人は6~66歳の男性5人、女性15人で、政府専用機に外国の民間人を搭乗させるのは異例。政府は当面半年程度の日本受け入れを想定し、一時滞在場所の提供や生活費の支給、日本語教育などの支援を行う。
搭乗したのはウクライナの隣国ポーランドに逃れ、在ポーランドか在ウクライナの日本大使館に日本への渡航希望を伝えていた人たち。林芳正外相が岸田文雄首相の特使としてポーランドを訪問したのを機に、随伴する予備の政府専用機への搭乗を人道的観点から認めた。
コロナ感染「10~20代の増加顕著」 厚労省アドバイザリーボード
厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」は6日の会合で、全国の感染状況について「新規感染者数は全ての年代で増加傾向に転じている」とする評価をまとめた。5日までの直近1週間の全国の新規感染者数は前週の1.08倍で、2週にわたり増加。「10~20代の増加が顕著で今後の動向に注意が必要」とした。
厚労省によると、新規感染者数が前の週より増えたのは34都道府県。療養者数も増加傾向に転じているとした。
九州地方の増加が顕著で、宮崎県が全国で最も伸び幅が大きく1.68倍、大分県が1.39倍など九州・沖縄の8県はいずれも前週比で増加している。島根県が1.42倍、新潟県が1.38倍など地域により伸びが目立つところもあり、東京都は1.04倍、大阪府は0.97倍だった。
また、国立感染症研究所は、オミクロン株の派生型で感染力が強い「BA.2」の広がりを推計。6月第1週時点で100%置き換わるとの見通しを示した。
全国で新たに5万4884人が感染 前週より1000人増 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染者は6日、全国で新たに5万4884人確認された。前週水曜より約1000人多かった。死者は66人、重症者は前日と同じ508人だった。新規感染者は、東京都8652人▽大阪府4896人▽神奈川県3956人▽福岡県2702人――など。長野、新潟、宮崎県で過去最多を更新した。
首都圏JR運賃、来春10円値上げ バリアフリー化で
JR東日本は5日、2023年3月ごろに首都圏の鉄道運賃を10円値上げすると発表した。値上げ分を駅のバリアフリー化を進める費用に充てる。
初乗り運賃は切符の場合、140円から150円に、ICカードは136円から146円になる。値上げするのは山手線や中央線など利用者が多く、運賃が割安に設定されている首都圏の「電車特定区間」。今回の値上げによる増収効果は毎年約230億円という。子どもは値上げ後の大人運賃の半額とする。
イーロン・マスク氏、保有資産27兆円 ベゾス氏抜き初の世界一
米誌フォーブスが5日発表した2022年版の世界長者番付で、米電気自動車大手テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が保有資産2190億ドル(約27兆円)で初のトップとなった。昨年まで4年連続で首位だった米アマゾン・コム創業者のジェフ・ベゾス氏は2位だった。
マスク氏は昨年より680億ドル増え、世界的な環境規制の強化を受けてテスラの株価が高騰したのが資産額を押し上げた。マスク氏は米宇宙企業スペースXのCEOも務めており、米短文投稿サイト、ツイッターの株を大量保有し、取締役に就任することも判明した。
【1年前の今日の出来事】 2021年4月6日