ジャーナリスト立花隆さん死去 「知の巨人」、80歳―「田中角栄研究」
さまざまな分野で著作を残し、「知の巨人」とも評されたジャーナリストで評論家の立花隆(本名橘隆志)さんが4月30日午後11時38分、急性冠症候群のため、入院先の病院で死去した。80歳だった。
1940年、長崎市生まれ。両親ともクリスチャンの家庭で育つ。父が赴任していた中国・北京で敗戦を迎えた。東京大文学部仏文科を卒業した64年、文芸春秋に入社し雑誌記者となるが66年に退社。同学部の哲学科に学士入学し、在学中に「立花隆」の名でルポライターを始めた。
74年、調査報道に基づく「田中角栄研究―その金脈と人脈」を発表。時の首相の金権政治の実態を暴いた特集は、同年12月の内閣総辞職の引き金となり、一躍名をはせた。
執筆分野は幅広く、政治、社会、人文、生命科学分野など多岐にわたった。日本人科学者がノーベル物理学賞を受賞した素粒子ニュートリノ研究など、最先端科学技術の取材に力を入れ、サイエンスライターとしても知られた。
1983年菊池寛賞、98年司馬遼太郎賞。主な著書に「日本共産党の研究」「宇宙からの帰還」「脳死」「死はこわくない」など。
五輪ウガンダ選手団、2人目のコロナ感染 泉佐野市の宿舎で待機中
大阪府泉佐野市は23日、東京オリンピックの事前合宿のため同市に滞在中のウガンダ選手団から、新たに20代の1人が新型コロナウイルスに感染した、と発表した。ウガンダ選手団の感染者は、19日夜の来日時に成田空港の検疫で1人が確認されており、今回で2人目。泉佐野市によると、PCR検査(遺伝子検査)の結果、陽性が確認された。無症状で、滞在先のホテルから療養施設などへの搬送を検討している。市は選手団の送迎などを担当した市職員4人を自宅待機とした。
専門家組織、東京の「リバウンド強く懸念」 7月には変異株過半予測
新型コロナウイルス感染症の対策について助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」(座長・脇田隆字国立感染症研究所長)の会合が23日、東京都の感染状況について「新規感染者数は横ばいから増加に転じる動きがみられ、リバウンドが強く懸念される」と評価した。
東京都の感染状況は22日までの1週間の感染者数が2841人で、前週(9~15日)の1.08倍となっている。今後の見通しについて、「ワクチン接種によって高齢者の重症化が抑えられることが期待されるものの、リバウンド後に感染者数の急速な増加が続けば、重症者数も増加し、医療の逼迫につながる可能性もある」と警鐘を鳴らした。
アストラゼネカ社製ワクチン 厚労省「60歳以上に推奨」で検討
厚生労働省は、英アストラゼネカ社製の新型コロナウイルスワクチンについて、公費により無料で打てる予防接種法上の臨時接種の対象に位置づけた上で、60歳以上への接種を推奨する方向で検討を始めた。30日に開かれる同省の予防接種・ワクチン分科会で議論する。厚労省は5月に特例承認したが、海外で血小板の減少を伴う血栓症の副反応がまれに報告され使用の推奨年齢を限定していることから、国内での使用を当面見送っていた。接種対象について引き続き検討することとし、関連学会が血栓症の診断や治療に関する手引の策定を進めていた。
福島第1処理水の海洋放出方針 全漁連、政府決定に反対の特別決議
全国漁業協同組合連合会(全漁連)は23日、通常総会を開き、東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する方針を政府が決定したことに関し「到底容認できるものではない」とし、反対する特別決議を全会一致で採択した。
福井・美浜原発3号機が再稼働 「40年超」では国内初
関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)が23日、再稼働した。東京電力福島第1原発事故後に原発の運転期間が「原則40年、最長で20年延長」に定められて以降、運転開始から40年を超えた原発としては国内初の再稼働となった。後に続く「40年超原発」運転に向けた試金石となる。新規制基準下での再稼働は、40年未満も含めると6原発10基目。
美浜3号機は1976年12月に運転を開始。加圧水型で、出力は82.6万キロワット。東日本大震災後の2011年5月以降、引き上げられた規制基準に適合するための審査や安全対策工事などのため、約10年間、停止していた。16年11月、原子力規制委員会が運転延長を認可。杉本達治知事は21年4月、再稼働への「地元同意」を表明した。
ロシア軍、北方領土などで大規模演習開始 日米同盟けん制か
ロシアで極東地域を管轄する東部軍管区は23日、北方領土やサハリンなどで1万人以上が参加する大規模演習を始めたと発表した。期間は5日間の予定。ロシアは近年、実効支配を続ける北方領土で駐留部隊の軍備を増強し、軍事演習も常態化させており、米露の対立が続く中で、極東でも軍事活動を活発化させているとみられる。
東部軍管区によると、演習は北方領土の国後、択捉両島や日本海などで実施され、約500両の軍事車両や太平洋艦隊の艦艇12隻などが参加。空挺部隊などによる上陸作戦も想定されている。演習は二つの仮想国家連合間の抗争を想定しているとしており、日米同盟へのけん制の可能性もある。
北方領土では2月にも約1000人規模の演習が行われた。今月には太平洋に展開した露海軍の艦艇約20隻による大規模な演習も行われている。択捉島周辺の海域では16~18日に爆撃訓練が行われるという通告もあり、日本外務省は16日、「北方四島における訓練や軍備強化は受け入れられない」として外交ルートを通じて抗議を行った。