2021年3月10日

変異株、21都府県で271人感染 1か月で4倍以上に
厚生労働省は10日、新型コロナウイルスの変異ウイルスについて、9日時点で、空港検疫を除いた国内分、21都府県で計271人の感染が確認されているとの調査結果をまとめた。1か月前から4倍以上に増えた。変異株は従来の株より感染力が強い可能性が指摘されており、同省は検査や行動歴の調査を強化している。国立感染症研究所などでゲノム解析して、変異株の種類が確定したものをまとめた。内訳は、英国で報告されたものが260人と96%を占め、南アフリカで報告されたものが8人、ブラジルで報告されたものが3人だった。

尾身会長「早晩、コロナ変異株が主流に」 モニタリングの強化を訴え
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は10日の衆院厚生労働委員会で、今後の感染状況に関し「早晩、変異株が主流になる」と述べた。感染力が強いと指摘される変異株に対し、監視態勢強化の必要性を強調した。全国各地で変異株の感染が広がっているとして「間違いなく既存株に取って代わるプロセスが始まっている」と言及。大学や医療機関、検査機関の協力を得て「オールジャパンでモニタリングを強化することが急務だ」とした。

医師会長、変異ウイルスの検査強化要請 第4波に危機感
日本医師会の中川俊男会長は10日の会見で、現在の感染状況について「国内各地で変異株が確認されている中で、首都圏では新規感染者数の報告が下げ止まりの状態から横ばい、あるいは増加の兆候がみられる」。昨夏の「第2波」でも下げ止まりが続いた後の11月以降、より大きな第3波につながった経験を踏まえ、「第3波が下げ止まっている現在、リバウンドでさらに大きな第4波が襲来する恐れがある」と危機感を強調した。第4波を防ぐには、これまでの対策の徹底に加えて新たな対策が必要だと主張。変異株を見つけるための検査の強化を盛り込んだ政府の分科会の提言を支持するとした。

ブラジル型変異にも効果 ファイザーのワクチン
米製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンが、ブラジル型の変異ウイルスに対しても効果があるとする実験結果が9日までに公表された。同社のワクチンはこれまで、英国型と南アフリカ型の変異ウイルスへの効果が実験で明らかになっていた。

使途不明4億円超 幼稚園連合会の事務局長、口座を一元的に管理
「全日本私立幼稚園連合会」で少なくとも4億円を超える資金が使途不明になっている問題で、連合会の事務局長が、関連団体の公益財団法人や河村元官房長官が会長を務める団体の口座についても、一元的に管理していた。連合会の調査に対し事務局長は「香川敬前会長の指示で現金を引き出した」と説明し、去年12月に退職した。一方、香川前会長は「口座の管理は事務方が行っており、個人的な流用は断じてしていない」と説明している。

野田聖子氏・高市早苗氏ら、NTT側が接待か 文春報道
NTT側が総務官僚を接待していた問題をめぐり、文春オンラインは10日、NTT側が当時総務相だった自民党の野田聖子幹事長代行、高市早苗衆院議員のほか、当時総務副大臣だった坂井学官房副長官、寺田稔衆院議員の4人を延べ6回接待していたと報じた。4人がいずれも総務相や総務副大臣だった2017年11月~20年9月にかけてNTTの澤田純社長らが接待していたという。文春は「NTT内部告発者」から資料を入手したとしている。

日米2プラス2、16日開催 中国の「海警法」懸念、同盟強化確認へ
日米両政府は10日、米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が来日し、16日に日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開催すると発表した。開催は約2年ぶり。経済と軍事の両面で存在感を強める中国をにらみ、日米同盟強化や「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた協力を確認する見通しだ。

3度目の給付金1人15万円 バイデン政権、対策実施へ
米下院は10日にも、総額1.9兆ドル(約200兆円)に上る追加経済対策の法案を可決する。上院で修正した法案を改めて承認するもので、バイデン大統領が近く署名する。対策はリーマン・ショック後を上回る規模。経済復興に向け、あえて景気過熱のリスクを取るが、株式市場の動揺や金利上昇の懸念は根強い。対策の目玉は第3弾の直接給付だ。年収7万5千ドル(約820万円)までの個人と、年収15万ドルまでの夫婦は1人当たり最高額の1400ドル(約15万円)を受け取ることができ、3月中に給付が始まる見通しだ。

困窮者に現金再給付を 自民・岸田前政調会長、菅首相に提言
自民党の岸田文雄前政調会長は10日、菅義偉首相を首相官邸に訪ね、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた追加経済対策の提言書を手渡した。生活困窮者に限定した給付金の再支給や、社会人を対象にした技能向上支援策「GoTo学び直し」の実施が柱。首相は「参考にする。同じ問題意識を持つ点がいくつかある」と答えた。

原発事故後の食品輸入規制、今も42の国・地域で 動き鈍い東アジア
2011年3月の東京電力福島第1原発事故に伴い、近隣国を中心に導入された東北産などの農林水産物や食品への輸入規制が、10年を経た現在も続いている。日本政府は科学的根拠に基づかない風評被害として撤廃を求めてきたが、特に厳格な輸入停止措置を取る中国や韓国などの緩和の動きは鈍く、近隣では固定化しかねない懸念もある。輸入停止措置を取るのは中国、香港、マカオ、台湾、韓国の5か国・地域。他に米国やEUの27か国など計37か国・地域は、検査証明を求めるなど規制措置を取る。

原発の不正入室「警備員が社員に忖度」 東電が報告書
東京電力は10日、柏崎刈羽原発(新潟県)で社員が他人のIDカードを使って不正に中央制御室に入った問題の再発防止策をまとめた報告書を原子力規制委員会に提出した。社員に対する「警備員の忖度」などがあり、「厳格な警備業務を行い難い風土」が一因になったと分析した。対応策として、警備業務に関する管理職を新たに配置するなどの体制強化を掲げた。