⇒ 日米の金融政策の差異が円安の唯一最大の要因-榊原氏
⇒ 円が150円を超えれば日銀は「多少懸念」すると思う
「ミスター円」の異名を取る榊原英資元財務官は、日米の金融政策の方向性の差異が広がるのに伴い円相場が1990年以来の水準まで下落する可能性があると述べた。
榊原氏は米連邦準備制度のタカ派姿勢と日本銀行の金融緩和策の差異が引き続き円安の唯一最大の要因だと指摘。その差が縮まるまでは、円には対ドルで下押し圧力が続く公算が大きいとの見方を示した。
現在は青山学院大学教授の榊原氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「年末にかけて、140円から150円の間で推移すると市場で予想されており、円がその水準に達する可能性は十分にある」と発言。「150円を超えれば、日銀は多少懸念すると思う」と語った。
円売りは今年人気のマクロトレードとなっており、米国債利回りの上昇を受けて円売り・ドル買いが進んでいる。日銀は円安でも緩和姿勢の維持を表明しており、下落基調が早期に反転する可能性は低い。
円は今月に入り一時1ドル=131円35銭と約20年ぶりの安値を更新し、過去3カ月のパフォーマンスはG10通貨で最下位。150円台を付ければ1990年8月以来となる。
円急落は日本の通貨当局による口先介入を誘発したが、下落基調に歯止めをかける効果はほとんど見られていない。榊原氏は「これは金融政策の相違が理由で生じているものだ」とし、円安の合理的な説明が依然としてあるため、当局がもっと本格的な介入に踏み切る可能性は低いとコメントした。
【原題】Mr. Yen Says Currency May Weaken to 150 Level Last Seen in 1990(抜粋)